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とろけるCheese  作者: KoKoRo
132/156

Cheese132〜先手必勝〜

わたし、教師になる!



自分の口から出た途方もない夢。こんな決断をするなんて、高橋先生以上にわたしは驚いていた……。



高橋先生「た、立川が教師?」



華「はい。いけない…ですか?」



高橋先生「いや、夢を持つことはいいことだと思うよ。それに、僕も立川と同じ歳くらいに教師になりたいと思ったからね」



華「そうなんですか?」



高橋先生「ああ。そのかわり、たくさんのものを犠牲にしてきた。例えば、自由な時間…とか」



華「それって、ずっと勉強してたってことですよね?」



高橋先生「今からプレッシャーかけるようなこと言わないけど、本当に実現させたいのなら…諦めるな」



華「はい!頑張ってみます」



高橋先生「…さてと!未来の教師がHRサボっていいのか〜?罰として立川は色別対抗リレーに強制参加!」



華「なんですか?それ」



高橋先生「なんですかもなにも、一週間後にやる体育祭の種目だよ」



華「あぁ〜、なるほど!……って!?色別対抗はクラスの中で1番速い人が走るんですよ!?わたし、むむむっ無理ですッ!!」



高橋先生「文句があるなら今日サボったこと、職員会議で報告しちゃうぞ〜?」



華「出ます!出ますから許して下さい!?」



高橋先生「そうか!頼んだぞ〜」



華(うぅ、ビリ確実だぁ〜…)



高橋先生「あと男子一人、うちのクラスから出さないといかんなぁ…。立川!クラスの中で1番走るのが速いのは誰だ?」



華「鈴木くんです!」



高橋先生「鈴木は入院中だ」



華「じゃあ…」









―――その後、6時間目のLHRで種目決めが行われ…



圭「ははいのは〜〜い!俺、色別リレー出ま――す!」



高橋先生「…」(唖然)



華「…」(茫然)



クラス男子「マジかよ〜?堤之原〜!おまえ、速くねーだろ?」



圭「速いとか遅いとか関係なくない?大事なのはハートだろ?」



高橋先生「意味がわからないぞ〜?堤之原〜…」



圭「淳ちゃんもそう思うよな!?」



淳「………」


(黙々と何かを書き続ける淳)



高橋先生「池本〜?書くのは一時やめにして、そろそろ種目決めに参加してくれないか?」



淳「俺は余りでいいですから」



華(淳くん…?)



―――ガタッ


(急に立ち上がる雅)



雅「わたしが色別やります」



高橋先生「え?」



クラス女子「男女一人ずつだから、佐藤さん出らんないよ〜?立川さんが選ばれてるし」



雅「問題…ないですよね?先生」



高橋先生「な、何言って…」



圭「さささ佐藤さんって走るの速いよな〜!なっ?火護くん!」



火護「え?え―、まぁ…」



圭「どうしてもって言うなら、譲ってあげてもいいよ〜?男子二人が出るなら他のクラスから文句言われるかもだけど、女子二人なら…ねぇ!?」


(高橋先生を見る圭)



高橋先生(堤之原、おまえ…)



火護「他の立候補もいないし、それでいいと思います」



高橋先生「そうだな…。じゃあ、頼んだぞ。佐藤」



――――ガタッ


(無言で座る雅)



華(雅ちゃん、さっき…何か言おうとした……?)








―――その後、放課後となり…



―――♪♪♪♪


(ベースの重低音が教室に響く)



雅「堤之原くん」



圭「な〜に〜?あ、うるさいとか言わないでね?これでもボリューム下げて弾いてますから」



雅「個人的な話しがあるんですけど?」



圭「…さっきの話し?だって君、なんか全部言っちゃいそうな感じだったじゃん」



雅「あれで私をかばったつもりなの?……余計なことしないでくれる?」



圭「なんだよ、それ…」



淳「さっきから何の話?圭、お前なんかしたのか?」



圭「俺、何もしてないし!つーか、佐藤さんが…」



雅「ちょーどよかった、池本淳。話しがあるんだけど」



淳「今、忙しいんで」


――――ガシッ


(淳の書く手を掴む雅)



雅『立川華ちゃんについてなんだけど』


(耳元で囁く)



淳「!!」



雅「廊下出て話そっか?」



圭「おい…、淳ちゃんに何話す気だよ!」



淳「いいよ。俺も話したいことあるからさ」



圭「………」









―――教室から離れた廊下にて



淳「〜♪」



雅「鼻歌なんてずいぶんと余裕じゃない?」



淳「今ちょうど、頭の中でいいメロディーが浮かんだんだよね。忘れないうちに口ずさんでおいた」



雅「ふざけないでよ…。よくそんなヘラヘラしてられるわね!?華ちゃんがどれだけ傷ついたかわかってるの!?」



淳「佐藤さん、知ってるんだ…。俺達が別れたこと」



雅「どうゆうつもりなの?あんたが好きで華と付き合ったんでしょう?もう華のこと、眼中にないってわけ?」



淳「俺がフラれたんだ。…立川さんに」



雅「タチカワさん?」



淳「もう馴れ馴れしく呼べないよ」



雅「……お前みたいな男、フラれて当然だ」



淳「……」



雅「もう、いーや。お前に隠す意味もなくなった。華は俺が守る」



淳「好きだったんだな。佐藤はずっと…」



雅「あっれ〜?結構冷静じゃん?もっと驚くかと思ったのに」



淳「知ってたから」



雅「は?」



淳「後夜祭のとき、立川さんと踊ってたのはお前だろ?」



雅「なんのことだかさっぱり…」



淳「立川さんは知らない奴に誘われて踊るような子じゃないよ」



雅「華のこと何でも知ってる風な顔で言わないでくんないかな?ムカつくから」



淳「佐藤は逃げてるよな」



雅「!!」



淳「いつまで女の恰好してるつもり?俺には言えて、皆には言えない理由ってなに?」



雅「うるさい…」



淳「そんな生き方してないで、ありのままの自分で生きろよ」



雅「黙れ……っ!!」



淳「もう何も言わない。……俺、教室に戻るから」


(教室に向かって歩き出す淳)



雅「俺は…」


―――それでも


淳「……」


―――この気持ちだけは


雅「華が好きだからな!!」



……わかってるよ






―――譲らない









〜先手必勝〜  完。



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