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とろけるCheese  作者: KoKoRo
131/156

Cheese131〜先生と生徒〜

後夜祭の終了とともに、保健室から消えた薄井先輩の行方は未だにわからず、真相は闇の中だった……




―――それから数日後、学校にて



雅「おはよ」



華「…おはよう」



雅「後夜祭のとき、ひどいことしてごめんね。あの時はどうかしてたんだ」



華「………」



雅「華ちゃん…?」



―――ガタッ


(急に立ち上がる華)



華「わたし、ちょっと部室に行ってくるね。忘れ物しちゃったから」



雅「だってもうHR始まっちゃうけど…」



華「すぐ戻るよ」


(教室を出る華)



雅(もしかして俺、避けられてる…?)







教室を出たわたしは、なぜか屋上に続く階段を上っていた。



キーン―コ―ンカーンコーン…





華(あ、チャイム鳴っちゃった…。どうしよう…)



「サボり?」



華「え…?」



上の方から聞こえた声に反応し、わたしは顔を上げた。



華「鳴海くん…」



譲「ちょうどよかった。あんたに聞きたいことあったんだよ。淳、元気?」



華「わからない。それにわたし、淳くんとはもう…」



譲「知ってる」



華「……」



譲「言っとくけど、俺は謝らないぜ?」



華「わかってる。これは、わたしが出した答えだから…」



譲「…ふーん。バカそうにみえて、意外とタフなんだな」



華「あなたにひとつだけ約束してほしいことがあるんだ」



譲「約束?」



華「淳くんの夢を叶えてあげて」



譲「そんなことあんたに言われなくても叶えてやるよ。絶対にな」



華「約束だよ」



譲「……」





――その頃、1年C組、教室では…



クラス男子「先生――!鈴木くんと伊藤さんと立川さんがいませんけど、休みですか―!?」



高橋先生「鈴木は怪我で入院、伊藤は高熱で欠席、立川は――…」



クラス女子「さっきまで教室にいましたよ?」



高橋先生「机の上に鞄があるな…。誰か立川がどこに行ったか知らないか?」



雅「先生、気付かないんですか?」



高橋先生「な、なにがだ?」



雅「サボりですよ。先生の顔をみるのが嫌で逃げちゃったのかも」



高橋先生「立川はそんなことをする生徒じゃない!!」



雅「じゃあ探しに行けばいいじゃないですか?先生、あの子の担任なんでしょ?」



高橋先生「佐藤、何をイライラしているか知らないが、先生が戻ってくるまでに頭を冷やしておけ」



―――――ガラッ


(教室を出る高橋)



雅「………」



圭「たっちゃん、どこに行っちゃったんだろうね…。淳ちゃん」



カリカリカリカリ…


(文字を書く音が響く)



圭「淳ちゃん…?」






―――その頃、華は…



華(はぁ…。これってサボりなんだよね)



わたしは屋上を出てから、なるべく教室とは遠く離れた廊下を行ったりきたりしていた。



華(当たり前だけど、HR中の学校って静かだな…。何にも聞こえない…)



華「このまま帰っちゃおうかな…」



「駄目だ」



華「!?」


(後ろを振り向く華)



高橋先生「早く教室に戻るんだ」



華「先生…」



高橋先生「今戻れば特別に遅刻で済ませてやってもいい」



華「…先生は甘いですよ。どうしてもっと厳しく叱らないんですか?」



高橋先生「立川が僕の生徒だからだ。それ以外に理由はないよ。…さぁ、教室に戻ろう」



華「嫌です!!絶対にイヤ……」



高橋先生「伊藤がいないからか?」



華「それもありますけど、そうじゃない……。会いたくないんです」



高橋先生「…佐藤か?」



華「………」



高橋先生「なぁ、立川。先生と一緒にちょっとサボらないか?」



華「え……?」










―――先を行く先生の後を追って、わたしはある教室の前へとたどり着いた。



華「音楽室…?」



高橋先生「学校の中で1番好きな場所なんだ」



華「でも、鍵が閉まってるんじゃ…」



―――ガチャ


(ポケットから鍵を取り出し、音楽室のドアを開ける高橋)



高橋先生「僕がここの管理担当だからね。入ろうと思えばいつでも入れる」



華「先生…、吹奏楽部担当でしたっけ?」



高橋先生「ま〜、細かいことは気にするな!」



華「……」


(音楽室前に貼られた小さな表札を見る華)



華「ここ、川上先生担当って書いてありますよ?先生、もしかしてその鍵、持ち出したんじゃ……」



高橋先生「さぁ〜!立川〜!何かリクエストはあるか〜?先生が何でも弾いてやるぞ〜!!」


(ピアノの前に座る高橋)



華「…じゃあ、大塚愛の『さくらんぼ』」



高橋先生「………は?」



華「先生のウソツキ!!なんでも弾けるって言ったじゃないですかッ!?」



高橋先生「ははは、スマン、スマン!変わりに『月の光』を弾くよ」



華「そんな曲、知らないですよ…」



―――♪♪―――♪…


(ピアノを弾く高橋)



華(あれ…?この曲、どこかで聞いたことある…)



高橋先生「立川、先生はなんで先生なんだろうな」



華「…?教師になりたかったからじゃないんですか?」



高橋先生「…そうだな。先生は夢を叶えたからここにいるんだ」



華(夢……)



高橋先生「生徒の笑顔を見ているだけで、元気になれる。だから立川も、帰りたいなんて思わずに毎日笑って過ごして欲しいんだ」



華「先生…。わたし、今まで夢なんてなかった…」



高橋先生「立川…?」



華「わたしにはやりたいこととか何もなかったから、夢に向かって頑張ってる人が羨ましかった…」



高橋先生「…うん」



華「だからわたし…」



高橋先生「うん」



華「高橋先生みたいな教師になりたい!」



高橋先生「うん……エェ――――――!!??」







わたしも夢を持って生きたい。




あの人と肩を並べて歩けるように………









〜先生と生徒〜 完。



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