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とろけるCheese  作者: KoKoRo
130/156

Cheese130〜秘密のDance〜

保健室の入口に、不気味に佇むゾンビがいた…



――ポタッ…ポタッ


(龍の額から流れる血が床に落下)



華「鈴木くん、一体何が…!?」



龍「体育館の屋根から落ちた」



華「へ…?」



薄井「ほ〜う?体育館の屋根から地面とこんにちは(?)だね」



華「ヘェェ――!?」



龍「そいつに落とされた」


(玲を指差す龍)



華「玲が鈴木くんを!?玲がそんなことするはずないよ!何かの間違いじゃ…」



薄井「花子!冷静に考えろ!これは殺人事件だぞ!?」



華「わたしは冷静です!どちらかといえば、薄井先輩の方が落ち着いてないように見えます」



薄井「僕のテンションに『冷静』というものは存在しない!」



華(言い切った――!?)



田中先生「体育館から落ちたのなら、骨折の可能性だってあるわ…。頭を強く打たなかった?どこかひどく痛むところはある?とにかく今すぐに病院へ行きましょう!救急車を呼んだ方がいいかしら…」



薄井「落ち着きたまえ。田中ティーチャー」



華&田中(これが落ち着いていられる状況か――!?)



龍「わりぃ、さっき俺が言ったことはチャラにしてくれ。自分で転んで落ちた。伊藤は関係ない」



華(玲をかばってる…?)



薄井「裁判長!被害者があんなこと言ってますが、審議のほどは!?」



華&田中(誰が裁判長だ――!?)



龍「怪我してないんで帰ります。さよなら」



田中先生「怪我してないって…頭から血が出てるじゃない!」



―――ピシャッ


(保健室の扉を閉めて出ていく龍)



華「待って!!」



―――ガラッ


(廊下に出る華)



華「鈴木くん、玲に何かしたんでしょ!?」



龍「……」



華「まさかまた玲に喧嘩を売ったの!?」



龍「そんなんじゃねぇよ」



華「じゃあ何でっ…」



龍「立川には関係ねーだろ」



―――ドクドク…


(龍の額から大量の血が流れる)



華「血…!」


(ハンカチを持って龍に近寄る華)



龍「触んな。ハンカチ無駄にする気か?」



華「ないよりマシだよ!」


(龍の額にハンカチを押し当てる華)



華(止まって…。お願い、止まって!)



龍「おまえって本当…たりぃ女」



華(どうして?なんで止まらないの…!!)



龍「もうやめろ、立川」



華「いやだ!だってこのままじゃ鈴木くん、死んじゃうよ!早く病院に行かなきゃ…」



龍「だからたいしたことねぇって」



華「だって、こんなに血がっ…」



田中先生「今、救急車呼んだから安心して!死ぬんじゃないわよ!?」



華「田中先生!」



龍「…たりぃ」


(華にもたれ掛かる龍)



華「鈴木くん……?鈴木くん!?死んじゃいや――!!」



薄井「大丈夫だ。脈はある」



華「よかった…」






それからしばらくして、救急車が到着し、鈴木くんは病院へと運ばれて行った…




田中先生「たいした怪我じゃないといいわね」



薄井「体育館の屋根から落ちて、ここまで歩いてきた男だ。大丈夫だろう」



華「……」



―――〜♪


『ただ今をもちまして、後夜祭は終了致します。参加して下さった皆さん、ありがとうございました』


―――〜♪


(ゆったりとした音楽とともに放送が流れる)



薄井(…浅井くんの声だな)



華「終わっちゃったみたいですね…。後夜祭」



薄井「まだ踊りたり――ん!!」


(華の腕を掴む薄井)



華「なっ、なんですか!?」



薄井「なんですかって、踊るのだよ!パッパカチャラチャラ〜♪」


(華の手を掴みながらその場を回り出す薄井)



華「今踊ったりする気分じゃ…」



薄井「アッハハ〜♪」



華(そんなに無邪気な顔で笑われると、力が抜けるよ…)



田中先生「楽しそうね。私も交ぜなさい!」


(その場でスキップをする田中先生)



薄井「ノリノリだね?田中ティーチャー☆」



優「…何してんの?」



薄井「メダカァァ!!今までどこほっつき歩いてたんだね!?」



優「どこって、体育館だよ…。なかなか薄井が保健室から戻ってこないから迎えに来たんだ」



薄井「誰かと踊ったかい?」



優「踊るわけないだろ…。俺は――」


(華をみる優)



華「?」



優「…なんでもない」



薄井「今がチャンスだよ」



―――ドンッ


(華の背中を押す薄井)



華「ひゃっ!?」



優「危ない!」


(倒れそうになった華の肩に手を置く優)



華「ありがとうございます…」



優「立川さん、よかったら俺と…一緒に踊らない?」



華「え…?」



優「い、嫌ならいいんだ!突然こんなこと言っても、困らせるだけだってわかってるから…」



華「いいですよ、先輩。踊りましょう!」



優「へ…?いいの?」



華「はい!でもわたし、踊るの下手ですよ?」



優「うん、いいよ。俺がリードするから」


(華の手を取る優)



華「……」



優「今放送で流れてる曲、いい曲だね」



華「あっ…はい!そうですね」



優「ここでくるっと回ってターン」



華「わわっ!?」



優「うん、上手上手」



華(先輩がリードしてくれるから踊りやすいな…)



田中先生「……」ジ〜


(優と華を恨めしそうに見つめる田中先生)



華「ハッ!?先生も一緒に踊りましょう!」



田中先生「いいわよ、別に。若い人達の邪魔は致しません」



華(先生がすねてる――!?)



優「あれ…?薄井がいない…」



田中先生「道理で静かだと思ったら」



華(どこに行っちゃったんだろう…)







その頃、放送室では…



浅井「んぁ〜、疲れた疲れた!」


(時計を見る浅井)



浅井(もうこんな時間か。せっかくの文化祭なのに、全然楽しくなかったな…)



「お疲れ」


(浅井の頬にジュースの缶をあてる)



浅井「冷たっ!?なんだ、あんたか…」



薄井「今流してる曲は浅井セレクトかい?」



浅井「そーよ。悪い?」



薄井「全然。…僕は好きだな」



浅井「あ、ありがと…」



(浅井に手を差し延べる薄井)



浅井「え…?」



薄井「踊ろ?」






それもいいかなって、

少し思った…









〜秘密のDance〜 完。



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