Cheese125〜最高の仲間達〜
文化祭2日目、午後1時。
――――開演――――
…………♪
(ギターの音が体育館に響く)
淳「………」
圭「あれ?幕上げないの?」
譲「初っ端からMCかよ」
『今日は――俺達、ピンクレモン…略してピンレモの初ライブです』
華(淳くんの声だ…)
『曲はぶっちゃけ…1曲しか出来てません』
「えぇ――――!?」
(会場から大ブーイング)
『でも、一生懸命、全員で作り上げた一曲です。聞いて下さい』
(幕が上がる)
――――ピカッ
(ステージにライトの光が降り注ぐ)
譲(うわっ…眩し…)
副会長(チャラチャチャッチャチャ〜ン♪生徒会特別使用のドデカライト〜!)
淳「圭!よそ見すんな。前見ろ、前!」
圭「え?あ、はい…」
淳「One,Two,One,Two,Three…」
(譲と目を合わせる)
譲(OK)
―――――♪♪♪
(ドラム音が響く)
淳「時期外れな曲ですが、聞いて下さい。タイトルは――『桜色』」
―――♪♪――♪
(ギターとベースがドラムと重なる)
―――♪
薄手のコート 袖通して
春の匂いがする 街へ
誰かの家の壁に そっと 花開くタンポポ
そう 今日は 小春日和
見慣れた景色も いつもと違う 君が隣にいるから
桜並木 君を導いて歩く 風に落ちる花びら
弧を描く空に浮かぶ雲
真顔で見つめてまた歩く
なんとなく切なくて 苦くて…
こんな想いをするなら
玄関から足を踏み出さなければよかった
――――♪♪(間奏)
――♪………
譲&圭(!?)
淳「――――」
――――その瞬間、体育館の屋根の上にて。
龍(ギター、音外したな)
―――体育館手前の廊下にて。
雅(あ〜あ、せっかく聞きに来てやったのに、この様かよ)
―――体育館の入口付近にて。
優(演奏が…止まっちゃった…)
薄井(…さぁ、どうする?)
――――体育館内にて。
山田(おいおい、顔真っ青じゃねーか…。大丈夫かよ…)
玲(早く次の演奏しなさいよっ…馬鹿!)
―――ステージ上では…
淳(手が…動かない……なんでこんな時に――――!!)
譲「………」
(ドラムを叩く譲)
――――――♪♪♪♪
(ドラム音に合わせてベース音が重なる)
圭「♪」ニカッ
(淳に向かって微笑む圭)
『そんな顔すんなって』
『俺みたく笑えって!』
淳「!」
『大丈夫だよ。
淳くんなら出来るよ。
心を落ち着けて、深呼吸。深呼吸。
ほら……輝く未来が見えてこない?』
―――ガンバレ―――
龍「池本」
雅「池本クン」
優「池本君」
薄井「ジュンジュン」
山田「淳」
玲「いけもとぉぉぉ」
――自分を信じて――
華「淳くん」
(手拍子をする華)
――パンッ――パンッ
――パンッ――パンッ…
(会場から手拍子の音が響く)
淳
――――♪♪―♪
誰かが遊ぶ空き地に そっと 花開くタンポポ
そう 今日は 最高日和
見慣れた桜も いつもと
違う 君が隣にいるから
桜並木 君を導いて歩く
風に落ちる花びら
手を繋ぐ幸せな二人
横目で流してまた歩く
なんとなく切なくて 苦くて…
こんな想いをするなら
家の中でねっころがっていればよかった
ふと頭を撫でたら
嫌そうな仕種で空回り
それでも僕が歩き出すと
君は喜んでついて来る
可愛い瞳をしたパピヨン
「犬かよッ!?」
(会場から大ブーイング)
―――――♪―♪♪
圭(そんな歌詞だったのかよ〜?マジ、最高〜!)←演奏しながら笑いっぱなしの圭
田奈(本当に楽しそう。堤之原さん)
桜(変な歌詞。でも、なんだかあったかい…)
茜(これが高校生の演奏…?凄すぎ…)
――――♪―♪♪
(演奏が終わる)
淳「たったひとつしかない曲を聞いてくれてありがとう。また来年出直して、このステージに立てるような演奏をしたいと思ってます。本当にありがとうございました」
譲「ありがとうございました」
圭「以上!ボーカルとギターやってる池本淳と、ドラムの鳴海譲とベースの堤之原圭でした〜!ピンレモをよろしくね☆」
(幕が降りる)
「え?もう終わり?」
「途中止まったけど、演奏は上手かったよね」
「今の曲、もう一回聞きた〜い!」
「アンコール」
「アンコール!アンコール!アンコール!…」
淳「!」
圭「マジで…?」
譲「どーすんの?リーダー」
淳「なぁ、圭。譲」
圭「ん?」
譲「なんだよ?」
淳「もっかい俺にチャンスくれるか…?」
圭「何言ってんの?淳ちゃん」
譲「当たり前じゃん。なぁ?圭」
圭「もち!」
淳「おまえら…」
譲「オラ!ボサッとすんな!行くんだろ?」
淳「おまえら本当、最高だな」
(三人で肩を組む)
圭「さっきみたいな顔すんなよ?淳ちゃん!どんなときも笑顔ね」
淳「おう」
譲「Are you lady?」
「Yes」
〜最高の仲間達〜 完。