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とろけるCheese  作者: KoKoRo
123/156

Cheese123〜心繋ぐメロディー〜

文化祭二日目となり、いよいよ一般公開当日となった。



玲「あんた達、気合い入れて逃げなさいよ!」



女装したクラス男子「うぃ〜ッス」



龍「……」


(無言で立ち去る)



玲(なんなのよ?あいつは…)



圭「いよいよ本番か〜!俺、かなり無茶苦茶に覚えてきたけど、頑張るから!」



淳「…無茶苦茶じゃ困る」



譲「よっ」


(教室の扉から顔を覗かせる譲)



圭「譲ちゃん!おっは〜☆」



淳「おはよう」



華(……!)



譲「……」


(華と目が合うが、反らす)



譲「自分のパートは完璧か?淳」



淳「まぁ、なんとか…ギリギリだな。お前は?」



譲「無茶苦茶に覚えてきた」



淳(圭とおんなじこと言ってるーーー!?)



圭「あはは!淳ちゃん、そんな顔すんなよ〜!緊張してんの?」



淳「え。今俺、どんな顔してた?」



譲「絶対成功させような」


(手を前にだす譲)



三人「オーーー!!!」




華(…頑張れ。淳くん)




―――その頃、写真部室では…



薄井「……」


(チーズケーキを並べる薄井)



優「おはよう」



薄井「ああ…なんだ、メダカくんか。おはよ」



優「朝から教室にいないと思ったら、こんなところにいたんだな」



薄井「今日は一般客が来るからな。昨日よりはちゃんとしないと、いかんではないか!」



優「今日は来るかな…?立川さん」



薄井「さぁ、どうだろうね」



優「……」




―――そして二日目の文化祭が幕を開けた。



玲「さぁ!!あんた達!逃げなさーーーいッ」



女装した男子「はぁ〜〜〜い」


(教室を出るオカマ達)



龍「……」


(玲の顔をみる龍)



玲「な…なによ?」



龍「なんでお前、そんなに髪、爆発してんの?いつものほうがいいぜ」


(教室を出る龍)



玲「これは髪型だっつーの!!アップにしただけだっつーの!!」



華「その髪型もかわいいと思うけど、おろしても玲はかわいいよ?」



玲「いやよ!アイツのいいなりにはなりたくないし!」



華(苦労するなぁ…。鈴木くん)



雅「は〜なちゃ〜…」



玲「それより華!文化祭、一緒に回らない?昨日はゆっくりできなかったし」



華「うん!」



雅(…チッ、捕られた)




―――その頃、生徒会室では…



書記「会長〜。午後からのギター同好会?のライブチケットが結構残ってるんですけど〜?」



浅井「何言ってんのよ。ほら、さっさと外行くわよ!」



副会長「え?なんでですか?」



浅井「なんでって…受付がてら一般客にチケット配りによ。当然でしょ?」



書記「何でそこまでせにゃあかんのですか?」



浅井「ライブやる三人が頼みに来たのよ。私はその瞳の輝きを買ったって わけ!」



書記(熱い…。熱血女だ…)




―――その後、文化祭を玲と回っていた華は、ふいに足を止めた。



華「……」



玲「池本達がやるライブってそろそろよね?華……って、なに立ち止まってるのよ?」



華「ごめん!ちょっと待ってて!」


(走り去る華)



玲「えぇ!?ちょっと、華ーー!?」






 音が聞こえたような気がした。



 昨日聞いた、あの哀しいメロディーが……




雅「………」


(音楽室の前で立ち止まる雅)



華(―――え?雅ちゃんが弾いてるかと思ったのに…)



雅「グリーンスリーブス……何でアイツが…」


(華と目が合う雅)



華「あ…雅ちゃ――」



雅「……」


(華を無視して通りすぎる雅)



華「―――」



―――♪――♪♪――♪



華(やだな……。こんなに哀しい曲を聞くと、わたしまで悲しくなってくる)



―――音楽室を覗くと、そこには……



華「!」



わたしのよく知っている、眼鏡を掛けた先生がそこにいた。



高橋「ん?なんだ、立川じゃないか。どうした?真ん丸い目なんかして」



華「先生、今の曲…」



高橋「ああ、僕が昔から好きな曲でね。これを弾くと楽になるんだ」



華「先生がピアノを弾けるなんて意外です」



高橋「はは、これでも学生の頃はピアノ教室の先生をしてたんだ」



華「ピアノ教室の先生…?……雅ちゃん…」



高橋「佐藤がどうかしたか?」



華「先生、雅ちゃんにピアノを教えていませんでしたか?雅ちゃんが今の曲をその時の先生が弾いた思い出の曲だって言ってたんです!」



高橋「そんなことを言ってたのか…。佐藤は」



華「先生……?」



高橋「名前をはっきり覚えてないが、熱心に僕の演奏を聞いてくれる天使みたいな子がいたんだ」



華「きっとその子が雅ちゃんだったんですよ!絶対!」



高橋「佐藤の弾くピアノは好きか?」



華「はい。雅ちゃんの弾くピアノは、音が透き通っていて、聞いているとすごく落ち着くんです」



高橋「立川は佐藤が好きなんだな」



―――そう言って微笑んだ高橋先生の顔をみて、わたしは思った。



―――今の言葉をそのまま、高橋先生に返してあげたい。





「はーーなーー!!どこにいるのーー?ライブ、もうすぐ始まるわよーー?」



華「あ…」



高橋「伊藤の声だな。行かなくていいのか?」



立川「い、行ってきます!」



高橋「―――立川!」



華「はい?」



高橋「頑張れ」



華「なにを……ですか……?」



高橋「いや、今のお前の顔をみてたら…なんとなく…」




―――すべてを―――




―――見透かされたような気がした―――



華「はい」


(音楽室を出る華)



…………カチャッ


(床に何かが落ちる)



高橋「おい!何か落としたぞ」


(床に落ちた物を拾う高橋)



高橋「ギターのストラップ……?」



華「それ、大切な人にあげるんです」



高橋「そうか…」


(華にストラップを返す高橋)



華「先生も、大切な人とちゃんと話して下さい。先生が想ってるくらい、きっとその子も先生のこと、大好きですから」



高橋「ありがとう。立川。お前みたいな生徒をもって、僕は幸せ者だな」



華「……」



高橋「ほら、早く行きなさい」



華「……はい」




―――もう、迷わない。







〜心繋ぐメロディー〜 完。



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