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とろけるCheese  作者: KoKoRo
122/156

Cheese122〜思い出の曲〜

 文化祭初日、校内は異様なほど活気に満ち溢れていた…。



樽本「あ!?みつけた〜!!」



龍(うわっ、また逃げねーといけねっ)



………ドタドタッ


(ドレスを持ち上げ、全速力で走る龍)



樽本「坪井く〜ん!そっちにいったよ〜〜!!」



龍(!?)



坪井「ジャジャジャジャーン☆」


(突然、壁の隙間から出る坪井)



龍「挟み打ちかよ……、畜生がッッ」


……ドタタ――タンッ


(目の前にあった障害物を駆け上がり、坪井を飛び越える龍)



坪井「わぉ!人間技じゃないね?でも、そっちには――…」



龍(ヘッ、ざまぁみろ……!!??)



優「万事休す…だね」



龍「骨なし野郎!?」



優「失礼だな。俺は骨太だよ?」



………ガシッ


(飛んできた龍の腕を捕まえる優)



坪井「やりぃ♪さっすが野高くん!」



龍「三人でグルしてやがったのかよ」



優「俺達は賞品めあてで君を捕まえたわけじゃないから。…はい、これ。負けた変わりにうちのクラスのタコ焼き食べに来てね」


(龍にビラを配る優)



龍「…宣伝かよ」



優「確か君、立川さんと同じクラスだったよね?彼女にも食べに来てって伝えといてくれないかな」



龍「俺は一日中逃亡しなきゃいけない身なんで、アイツに会える保証できねーから」



優「あはは…、そんなこと言わないでよ…」



龍「まぁ、要するに、言いたきゃ自分で言えよってことで」



優「……」



樽本「野高くーーん!次は三年生の階行って、チラシ配ろー!」



優「あ、うん」



………タタッ


(龍の元を離れる優)



龍(いちいちめんどくせー奴…)





――その頃、屋上では…



―――♪♪――♪―♪


(ギターの音が響く)



―――ガチャ


(屋上の扉が開く)



圭「やーっぱりここに居たんだ。淳ちゃん」



淳「なんだよ、邪魔しに来たのか?」



圭「ちがいますぅ〜。つーか、たっちゃん!せっかくの文化祭なのに、一緒に回んなくていいの?」



淳「少しでも練習できる時間に練習した方がいいって、華ちゃんに言われた。俺だって一緒に回りたいけど、本番、明日だもんな」



圭「じゃあ、俺も混ぜて?んでさ、これ食おうぜ」



淳「タコ焼き?へぇ〜、旨そう」



圭「中にチーズが入ってんだってさ。すげぇ恰好で焼いてたよ。ザ・祭り!的な」



淳「ごめん、お前の表現じゃわかんない」






――その頃、職員室では…



高橋先生「いやぁ〜、うちのクラスの『鬼バトロワイヤル』は大盛況なんですよ〜!先生方も是非」



寺島先生「それって女装した男子を捕まえるってやつでしょ?いやいや、若い奴には敵いませんよ。体力の限界だ」



青山先生「体育教師が何を言ってるんですか。もっとしっかりして下さいよ」



寺島先生「鎌倉先生も、もう限界でしょう?」



鎌倉先生「決めつけないで下さい」



寺島先生「こりゃ失敬!それはそうと高橋先生!風の噂で聞いたんだが、奥さん、妊娠したんだって?」



高橋先生「え、ええ。まぁ…」



青山先生「あら、そうなの?おめでとうございます」



高橋先生「あ、どうも…」



寺島先生「なんだよ?あんまり嬉しそうじゃねーな」



高橋先生「いや、その…どうしても認めてもらえない子がいまして…」



寺島先生「えっ?嫁さんに隠し子でもいるのか!?」



鎌倉先生(…なんでそうなるんだ?)



高橋先生「いや、お互い初婚なので」



………カタッ


(テーブルに紅茶が置かれる)



田中先生「さ、これでも飲んでくださいな」



高橋先生「田中先生…ありがとうございます…」



田中先生「いえいえ。皆さんもどうですか?ついでにタコ焼きもどうぞ」



先生全員(紅茶とタコ焼きって合うのか?合うのか…?合うのかぁぁぁーーーー!!??)






――その頃、音楽室では…



――♪―♪♪―♪――♪


(ピアノの音が響く)



雅「……」




―――ぱちぱち


(拍手する音が音楽室に広がる)



雅「ずいぶん安っぽい拍手してくれるじゃない?華ちゃん」



華「!」



―――パチパチパチ


(拍手の音を大きくする華)



雅「……ばかな子」



華「今の曲ってなんていう曲なの?前とは違って、壮大な感じがした!」



雅「モルダウ。中学の時、合唱コンクールで弾かされた曲」



華「合唱コンクールかぁ…!懐かしいね。高校でもやりたかったなぁ」



雅「そんなのがあったら、また俺が伴奏やるはめになるだろ?勘弁してよ」



華「雅ちゃんって、中学の時は普通に男の子…だったんだよね?」



雅「そ。普通に学ラン着て、普通にズボン履いて…。今じゃ想像つかないだろうけど」



華「その頃の雅ちゃんに会いたいな。そしたらまた、今みたいに友達になれるかな?」



雅「友達…ね」



華「不満?」



雅「チケット配りをすっぽかして、油売ってる友達に捧げる曲はこれだな」



―――♪――♪―…


(ピアノを弾く雅)



華(なんだろう…、すごく哀しい曲に聞こえる…)



雅「チケット、配りに行かなくていいの?華ちゃん」



華「あ、うん。行かなくちゃ!その前にひとつだけ…今の曲はなんていうの?」



雅「ヒミツ。幼稚園の頃に通ってたピアノ教室で、先生が弾いてた曲なんだ。思い出の曲…かな」



華「そっか…、大切な曲なんだね」



雅「オラ!サボってないで、とっととチケット配ってこい!」



華「はいぃっ!!」


(ダッシュで音楽室を出る華)



雅(本当にばかだな。あいつは…)





――その頃、Cheese同好会では…



樽本「これ、おいしー!薄井くんが作ったの!?」



薄井「当然だ。朝の4時に起きて、仕込みに仕込みをかけた極上の一品だ!」



坪井「うめぇ〜!!チーズケーキって、こんなに旨いのな!」



薄井「……」



優「よかったな。褒めてもらえて」



薄井「あ、あぁ…」



優「……照れてる」



薄井「なっ…!照れてなどいないぞ!?断じて照れてないッ!」



坪井「お〜?照れてる照れてる〜!」



薄井「ちがぁぁう!!」



優「……」




―――この日、立川さんがCheese同好会に顔を出すことはなかった……。








〜思い出の曲〜 完。



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