Cheese121〜わたしにできること〜
時間はあっという間に流れ、気がつくと文化祭当日になっていた。
――1年C組 教室にて
玲「お〜、似合ってる!似合ってる!」
龍「似合ってねぇ!つーか、この恰好で校内逃げ回れってのかよ!?」←(ヒラヒラのドレスを着させられた龍)
雅「ついでにカツラでも被ったらどう?あ、これ私物なんだけど、特別に貸してあげる♪」
龍「金髪のタテロールじゃねぇか!?死んでも被るか!!」
高橋先生「男子が女装すると気持ち悪いなぁ〜!まぁ、捕まらないようにがんばれ」
華「今日は校内だけでやる文化祭だけど、明日は一般公開なんだよね?」
龍「一般ピーポーにこの女装姿見せろってのかよ…?」
華「鈴木くん、ファイトー!」
龍「立川…てめぇ…」
(華の頬をつねる龍)
華「い゛だいぃ〜!?玲ーー!!助けてーー!」
玲「あんた華に何しとんのじゃいっ!?」
雅(なーんか、華の奴…空元気って感じなんだよなー)
淳「華ちゃん」
華「淳くん…?」
淳「今ちょっといい?渡したいものがあるんだけど」
華「…うん」
――――ガラガラ
(廊下に出る華と淳)
華「渡したいものって何かな…?」
淳「明日の午後1時から体育館貸し切りでライブやるんだ。これ、チケット」
華「…!1番前の席?いいの…?」
淳「その席は華ちゃんだけの席。他の誰かには座って欲しくないんだ」
華「淳くん…」
淳「とかいって、チケットもまだたくさん残ってるけどね。生徒会の方に頼んで配ってもらってるけど、全然だし」
華「きっと満員のお客さんでいっぱいになる!大丈夫。わたしが保証するよ」
淳「…ありがとう」
華「最高の演奏をしてね」
淳「努力はする。今の自分が出来る演奏を、ただがむしゃらにやるよ。それが例え人に受け入れてもらえなかったとしても、俺は…」
華「きっと大丈夫だよ。淳くんの音楽に対する思いがどれだけ強いか、わたしは知ってるもん」
淳「華ちゃんがいてくれたからここまで頑張れた。悔いだけは残さない。絶対に」
―――それはちがうよ。
華「うん。…あ!チケットの残りって淳くん、持ってる?」
淳「ああ…持ってるよ。まだいっぱい余ってるから」
―――わたしは貴方の邪魔をしていただけ…。
華「そのチケット、わたしにちょうだい!ねっ?」
淳「いいけど、どうするの?結構余ってるけど」
華「えへへ〜。内緒」
―――淳くん
わたし、決めたんだ…。
せめてずっと、貴方を応援するって……。
―――そして、文化祭が幕を開けた。
玲「お客様二名入りま〜す☆」
女子A「パンフレット見て来たんですけど、ここって校内にいるオカマを捕まえてくればいいんですよね…?」
圭「イエ〜ス、ザッツライト♪」
玲「あんたは引っ込んでなさいよ!転校生!」
圭「え〜!?だって明日のライブまで暇なんだも〜ん。それに俺、今受付当番だし。仲良くやりましょーよ?アネキ」
玲「やめんかっ!?その呼び方ッ!!」
女子B「あの〜、もし捕まえてきたら景品が貰えるって書いてあるんですけど、景品ってなんですか?」
玲「ああ、それはー…」
雅「女の子への景品は、手作りのテディベアでーす。みんな、頑張って捕まえてきてね」
女子A&B(キレイな人ーー!!)
玲(なーにが「頑張って捕まえてきてね☆」よ。営業スマイルもろバレだっつーの!)
圭「あれ…?佐藤さんも受付だったっけ?」
雅「いいえ〜?」
圭「……じゃあ、なんでいんの?」
雅「暇だから☆」
玲&圭(文化祭、一緒に回る奴がいないんだーーーー!?)
華「これ、よかったら受け取って下さい!明日の午後1時から体育館でやるので、来てみてね」
女子A&B「ありがとうございます」
玲「華!?あんたもこんなところで何やってんの?」
圭「あ…それ、俺達のライブチケット…」
華「うんっ!ここに来てくれた人達に配ろうと思って」
圭「たっちゃん、俺達のためにそこまでしてくれんの…?マジ感動なんですけど!!」
玲「泣くな!バカ」
華「わたしにはこれくらいしか出来ないから…」
玲(華…)
――――その頃、3年G組では…
「ギャアアアーーー!」
(教室から悲鳴の嵐)
山田「いやぁ〜、大盛況!大盛況!」
浅井「ヒッ!?その恰好でこっちに来ないでよ!?」
山田「はぁ?ヅラ被ってるから前が見えねーんだよ。つーか、なんなんだよ?このヅラ!」
浅井「何って…去年の体育祭で使ったカツラよ。言ったでしょ?」
山田「こんな貞子みたいなヅラ、体育祭で使ったわけ?」
浅井「そうよ?借り物競争でね」
山田「誰が被ったんだ?」
浅井「寺島先生」
山田「………プッ、てらじまぁ?あの生徒指導の?」
浅井「そうよ」
山田「ハハハッ!最高傑作だな?それ!」
浅井「………」
山田「ひぃ〜!腹いてぇ〜!」
浅井「ねぇ、山田…」
??「うはははは〜い♪弱小お化け屋敷め!そんな脅かし方では僕は倒せんぞ〜?」
三年男子「くそぉ〜!なんなんだよ!?この金髪はッ!」
浅井(このバカみたいな声出してる奴って…)
山田「お?金髪くんじゃん。つーか、先輩様にダメ出したぁ、いい度胸してるねぇ?」
薄井「ダメ出しではなく、冷やかしだ」
山田(……うわっ。今すっげーイラッとした)
浅井「うちのクラスにケチつける気?薄井翔」
薄井「よっ!」
浅井「よ…よう…?」
薄井「これ、うちのクラスで出してるチーズINタコ焼きだ♪お昼に買いに来たまえ」
(山田と浅井にビラを配る薄井)
山田「へぇ〜、うまそうじゃん。…って、お前、クラスTシャツ作らなかったのか?制服のままじゃん」
薄井「クラスで統一した衣装なら、この下にしっかり着込んでいるぞ☆」
…………バッッ
(ブレザーを脱ぐ薄井)
山田&浅井「げ」
やがてこの文化祭が、運命の歯車を狂わす――…
〜わたしにできること〜
完。