Cheese115〜近距離恋愛〜
薬の臭いがツンとした。気がつくとわたしは、保健室にあるベットの上にいた。
華「……」ぼへぇ〜
(体を起こし、ぼーっとする華)
淳「あ、気がついた?華ちゃん」
華「淳くん…?あれ?わたし…」
淳「風邪だって。熱があるのに学校に来るなんて無茶しすぎだぞ?」
華「ごめんなさい…。まさか熱があったなんて思わなくて…」
…………ゴチッ
(華の額に軽く頭突きをする淳)
華「いたたっ」
淳「ほら、熱いよ?」
華「……淳くんのおでこ、冷たいね」
淳「………」
(華の頬に手を触れる淳)
華「!」
淳「風邪……移るかな」
華(キキッ、キス!?)
…………シャッ
(ベット回りのカーテンが突然開く)
田中先生「……あらまぁ、ずいぶんと大胆な子達ねぇ。お邪魔しました」
………シャッ
(再びカーテンを閉める)
華「みっ……見られた!?先生に見られちゃったよぉ〜〜!?」
淳「いや!まだ未遂だから!」
華「そうゆう問題じゃないと思いまふ…」
淳「……ごめん」
華「そんな!!謝らなくても平気だよ!嫌じゃないもん!」
淳「…へ?」
華「うわわっ!?今だけこっちは見ないでください!?恥ずかしいからっ…」
(枕で顔を隠す華)
淳「……ズルイよ。華ちゃん。そうゆう可愛いことされると、余計したくなる」
華「うぅ…!」
淳「さっき教室に薄井先輩が来てたよ」
華(え?なんで急に薄井先輩…?)
淳「華ちゃんを同好会に連れて行こうとしてた」
華「え!?まさか今日、サボろうとしてたことがバレたのかな!?」
淳「違うと思う。先輩、変だけどエスパーじゃないし」
華「そう…だよね…。明日は行かないと、先輩に怒られちゃうよね」
淳「……行くなよ。そんな同好会」
華「――え?」
淳「明日もあさってもその次の日も、毎日一緒に帰ろう」
華「毎日…一緒に…?」
淳「うん。だから同好会にはもう行かないで欲しい」
華「……うん、わかった。淳くんと毎日帰れるなんて、夢みたい。嬉しい…」
(泣き出す華)
淳「泣いたらダメじゃんか。ほら、笑って」
華「…うん!」
淳(ごめんね、華ちゃん。ごめん…)
――――翌日の早朝、学校にて。
雅「おっはよん♪華ちゃん!」
華「うわぁっ!?」
雅「…なんでそんなに驚くかなぁ?こっちがびっくりするじゃない」
華「ご、ごめんね。少し考えごとしてて…」
雅「考えごと?…ジャンルは?」
華「ジャ、ジャンル??えぇーと、部活…かなぁ?」
雅「部活ねぇ…。楽しい?」
華「楽しいよ!でも…辞めようと思って…」
雅「なんで?楽しいなら辞めなきゃいいのに」
華「…………」
雅「?」
龍「…おはよ」
雅「ぎゃびぃっ!?」
龍「びっくりしすぎだろ?マジ引くんだけど」
華(雅ちゃん、人のこと言えないかも…)
雅「…フンッ。そうだ、不良は何か部活やってないの?」
龍「は?不良って誰?」
華「鈴木くん」
龍「……」ギロッ
(華を睨む龍)
華「すすすすすいませんッ!!」
龍「部活なんか入ってねーよ。たりぃしな」
雅「昔はやってたじゃん。サッカー部」
華「……え?鈴木くん、サッカー部だったの?」
龍「ガキの頃の話だ」
雅「今もガキのくせにぃ〜!」
龍「………」ギロリ
(雅を威嚇した目で睨む龍)
雅「……申し訳ありませんでした」
華「部活に入った方が楽しいと思うよ?どうしてサッカー部、辞めちゃったの?」
龍「……」
雅「今から部活辞めようとしてる人が、何言ってんだか。説得力ないわよ〜?」
華「うぅ…」
……ドタドタ…ガラッ
(廊下からものすごい足音と共に、教室の扉が開く)
玲「遅刻セーーーーフ……よね?」
龍「………」フッ
華(あれ……?今、玲が来たとき、鈴木くん笑った…?)
龍「来んのがおせぇんだよ。タコ」
………ポイッ
(玲に向かって空のペットボトルを投げる龍)
………ガシッ
(それを掴みとる玲)
玲「誰がタコだってぇ〜!?このイカッ!!」
龍「意味わかんねーし」
華「………」
雅「どーしたの?華ちゃん。ぼーっとして。もしかして、まだ熱があるんじゃない?」
華「ううん、違うよ。ちょっと……ね」
雅「?」
――その日の昼休み……
龍「あぁ〜…、ねみぃ……」
華「鈴木くん」
龍「なんだよ?立川」
華「ちょっとお話があって……今、いいかな?」
龍「1分だけな。俺、購買で飯買いに行かねぇといけねーから」
華「うん。じゃあ、すぐ言うね」
龍「ああ」
華「鈴木くんの好きな人って、玲…?」
龍「………!?」
華(やっぱりそうなんだ!)
龍「変なこと言ってんじゃねぇよ。なんで俺があいつを…」
華「隠さなくてもいいよ?鈴木くんを見ていればわかるもん」
龍「………なにもかも透かしてるって顔してんじゃねぇよ。お前に俺の何がわかんだよ?」
華「……から」
龍「聞こえねーし」
華「好きだったからわかるよ。本当にわたしの勘違いだったらごめんなさい」
龍「…強くなったな。お前」
華「え……?」
龍「俺がキツく言えば、泣きだして諦めるんじゃねーかと思ってな。酷い男だろ?俺」
華「ふふっ。そうだね」
龍「否定しねぇのかよ…」
華「じゅあ、わたしの推理は正解?」
龍「…ったく、お前には敵わねぇな。当たりだよ、当たり」
華「へへへ」
龍「何だよ…。気色わりぃ」
華「鈴木くん、照れてる〜!」
龍「バッ…馬鹿言ってんじゃねぇッ!!!」
淳(華ちゃん…男にスキありすぎだよ…。あ、胸がチクチクする……)
悩み多き淳であった…。
〜近距離恋愛〜 完。