Cheese113〜爆弾発言〜
なんで俺は、彼女を抱きしめているんだろう…?
どうしてこんなに彼女を苦しめているんだろう………?
華「野高先輩……離してください……」
優「―――…」
華「先輩…!」
薄井「なにしてんだね?君達」
華「薄井…先輩…」
優「いや、これは……水被っちゃって、寒いからギュ〜…なんちゃって…ね……」
(華から離れる優)
薄井(苦しすぎる言い訳だな…。まったく)
華「今週、水やり当番なんです。だからその、わたしの不注意でこんなびしょ濡れになって…」
薄井「ほう、水やり当番か。やけに回ってくるのが早いな…。誰かサボって次の奴に回してたりするんじゃないのか!?」
華「そんなこと聞かれても、わかりません!!」
薄井「まぁ、花子を責めても仕方あるまい」
優「ところで薄井、お前は何でこんなところに居るんだよ?」
薄井「机の中に妙な紙が入っていてね。何者かに花壇の前に来いと呼び出されたのだ」
華(…薄井先輩が来てくれてよかった…。野高先輩と二人で居る時と全然違う。三人で居ると、ホッとする……)
―――ドタドタドタッ
(前方から誰かが走ってくる)
一年女子「うーすいセンパーーーイッ!!」
薄井「誰だッッ!?」
一年女子「好きです!!付き合ってくださーーーーーい♪」
(薄井に飛びつく)
華(……なっ!?)
薄井「グェッ……この僕にタックルしてくるとはいい度胸だな!?しかぁ〜し!僕は君とは付き合わーーん!!」
優「はっきり言い過ぎだよ…」
一年女子「なんでだよっ!?」
優&華(逆ギレーー!?)
薄井「僕はそんなに軽い男じゃないぞ!?重い男だ!」
優(意味が違ってるよーーー!?)
一年女子「なんで駄目なんですか……?彼女がいるからですかっ!?まさか、その女ですか!?」
(華を指差す)
華「わっ…わたし!?」
薄井「違う」
一年女子「じゃあ、誰なんですか!?」
薄井「彼女はいないよ。でも、好きな人はいる」
優&華「!?」
薄井「大体、僕を好きになるなんて60年早過ぎる!!」
一年女子「……じゃあ、60年経ったら、付き合ってくれるんですか!?」
薄井「60年経ったら、僕はおじいちゃんだ!晩婚する気もないッッ!」
優(なんかとんでもない話になってるような…)
一年女子「わかりました…。先輩の気持ちが地球の裏側にあたるほど、遠く離れているって思い知りました…。潔く諦めます。……サヨナラッ」
(逃走)
華(……思い出した!あの子、E組の美化委員の子だ!!)
薄井「僕って……罪な男だな……」
優「自分で言うな!」
華「薄井先輩のバカッ!」
薄井「なにぃ!?」
華「もっと優しい言い方があるでしょう!?それなのに、60年とか意味不明な例えなんか出して傷つけて…!先輩は60年経ったって、絶対馬鹿ですよ!!」
薄井「馬鹿馬鹿言うな!僕は馬鹿じゃない!!大体、なんでそんなに怒ってんだ!?」
華「怒ってません!!わたし、あの子を追い掛けますから、失礼します!」
(一年女子の後を追う華)
薄井「……この僕が、花子に説教された……?えぇい!どれもそれも全部メダカくんのせいだ!!」
優「なんでだよ!?とばっちりだ!?」
薄井「うっははは!まだ花子が好きなくせに!諦めの悪い男だな?そんなことだから、花子の気分をがいするのだよ!!」
優「……お前だって、好きな人がいるんだろ?俺のこととやかく言う前に、自分の恋愛を進展させたらどうなんだ!?」
薄井「……カピコーーン」
優「……?なんだよ?その擬音……」
薄井「頭にキターーー!!くらえぃッッ!!必殺チーズバズーカァァァーーーー!!!」
(隠しチーズを手に持ち、優に突進する薄井)
優「ひい゛い゛い゛ーーーー※☆■◎♯▽§…」
―――その頃、華は、必死に一年女子の後を追い掛けていた。
華「待ってください!?」
一年女子「………」
(走り続ける)
華「止まってくれたら……薄井先輩の秘密を教えます!」
一年女子「え…?秘密ってなに!?」
(立ち止まる)
…………ガバッ
(一年女子の腕を掴む華)
華「捕まえましたよ!!」
一年女子「ちょっ…離してよ!!薄井先輩の連れの女が、何であたしを追い掛けんのよ!?」
華「連れ!?なっ、なんでわたしが、あんな変な…濃い先輩の連れの女だなんて冗談いうんですか!?笑えません!!」
一年女子「だって……委員会の時だって、二人で楽しそうに追い掛けっこなんかしちゃって……」
華(いつの話ですかーーー!?)
一年女子「先輩と話したくて話したくて……でも!あなたが先輩を占領してるから近づけないのよ!!」
華「目を覚ましてください!?あんな変な先輩の何処がいいんですか!?」
一年女子「何処がって……カッコイイからに決まってるじゃない!!」
華(顔だけーーー!?)
一年女子「薄井先輩、あれで結構人気があるし、早くしないと他の誰かに取られちゃうでしょ!?そんなことになるくらいなら、この想いをぶつけたいじゃない!!好きな人に……!」
華「すごく素敵だと思います」
一年女子「まっ…真顔で言わないでよ!?照れるじゃない…」
華「わたしも一応、好きな人に告白をしたことがあるんです。すごく苦しくて泣いたり、すごく嬉しくて泣いたり……不思議ですね。告白できただけで、世界が変わったような気がする…」
一年女子「……うん。フラれちゃったけど、私もそう思う。勇気出して言えた自分を誇りに思う!」
華「わたしが言うのも変ですけど、元気出してくださいね!」
一年女子「ありがとう…。立川華さん」
華「ひぇ!?なぜわたしの名前を…?」
一年女子「やだなぁ!同じ委員会じゃない!私、樽本繭ってゆーの。よろしくね☆」
華「うん、よろしく」
(握手をかわす二人)
華(あれ?樽本ってどこかで聞いたような名字だなぁ…。ま、いっか…)
―――物覚えの悪い、立川華だった………。
〜爆弾発言〜 完。