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とろけるCheese  作者: KoKoRo
112/156

Cheese112〜抑えられない衝動〜

 野高先輩の意外な過去を知ってから数日が経過した。いつもと変わりない、おだやかな日常が戻った。



華「ふんふ〜ん…♪」



龍「ご機嫌じゃねーか、立川。鼻歌なんか歌って」



華「今の聞こえてた!?すごく小さな声で歌ったつもりだったのに…」



龍「そうかぁ?モロ聞こえだったぞ?」



華「えぇ!?恥ずかしい…」



雅「コラ!鈴木!!かわいい華ちゃんをいじめないでちょうだいよ!教育委員会に訴えるわよ!?」


(華に飛びつく雅)



華「ぎゃあっ!?」



龍「何が教育委員会だ?俺はお前を訴えてぇよ」



雅「ふーんっだ!安心して?華ちゃんは私が守るから♪」



華「ぐ…ぐるじぃ……」



圭「こらぁーーー!!!たっちゃんから離れろーーー!!」



華「づっ、づづみのはらぐん!?」



雅「やぁよ。乙女のじゃれ合いを邪魔しないでちょうだい!」



圭「なぁにが乙女だよ!いいから離れろ〜!?」


(雅の腕を引っ張る圭)



華(さらに苦しいっ!?)



淳「何ムキになってんだよ?圭」



圭「何のんびりしてんだよ?淳ちゃん!!たっちゃんが佐藤さんに捕られてもいいワケ!?」



淳「いいもなにも…佐藤さんは華ちゃんの友達だろ?」



圭「友達以上恋人にしたい!…とかだったらどうすんだよ!?」



淳「……は?」



龍「堤之原、お前…知ってんのか?コイツがお…」



華「ダメーーッッ!!」



龍「!」



淳「華ちゃん…?」



華「え、えと……わたし、水やり当番に行ってきます!」


(教室を飛び出す華)



龍「なんでこんな奴かばうんだ?立川は」



雅(今のって…俺を守ってくれた…?そうだとしたら……)



龍「おい、何ぼけぇ〜っと突っ立ってんだよ?佐藤」



雅「優しすぎでしょ…」



龍「……」



淳(今日も華ちゃんとあんまり話せなかったな…)



圭「……佐藤さん、人を騙してることに罪悪感ないの?そんなことしてまで嘘つくワケって何?」



淳「さっきから何言ってんだよ?お前…」



圭「鈍すぎなんだよ!!淳ちゃんは!!そんな余裕かましてる間に、誰かにたっちゃん捕られるよ!?俺とかに――…!」



淳「――お前…」



圭「いや、嘘だけどね?本当です!そんな恐い顔すんなって!!」



龍「……意外とそうかもな」


(教室の窓から花壇を見下ろす龍)



淳「え!?あ゛?!あ゛ーーーーー!!!」


(花壇を見下ろした後、教室を飛び出す淳)



圭「え?なになに?ま、まさか、たっちゃんが絶賛浮気中現場!?」


(花壇を見る圭)



圭「うわっ!誰あの茶髪!?たっちゃんの愛人!?」



龍「俺の獲物…」



圭(――え゛?鈴木くんの愛人…?)






――その頃、花壇では…



優「ずいぶん花が大きくなったね。植えた時はまだ小さかったのに…」



華「はい!綺麗に咲きましたねぇ…」



優「…うん」



華「………」



優(立川さんの方が……綺麗だな…)




淳「華ちゃんッッ!!!」



華「うわわっ!?淳くん!?どうしたの?」



優「やぁ、池本く…」



淳「もう少し離れて下さい!」



優「……へ?」



淳「華ちゃんも無防備すぎるよ!水やり当番なら当番だって俺に言ってくれれば手伝ったのに…」



華「ご、ごめんね…。淳くんのギターの練習の邪魔しちゃいけないと思って…」



淳「ギターも大事だけど、俺は――…」



優「俺一人で水やりするから、立川さんは池本くんと帰ってもいいよ」



華「でも…」



淳「じゃあ、お言葉に甘えて。華ちゃん、行こう」


(華の手を引く淳)



華「待って…!淳く――…」



―――グイッ


(華の手首を握る優)



淳「先輩…?」



優「……ごめん。さっきの言葉、君に言ったわけじゃないから」



淳「――!」




―――ザッザッザッ


(柔道着を着た集団が前方から走ってくる)



優「――…」


(華の手を離す優)



玲「あれー?華じゃない!やっほ〜☆」



華「玲…?あ、そっか…部活中なんだよね」



玲「そう!道場が剣道部に占領されてるから、今日はランニング。もうバッテバテ」



淳「……」



玲「あら、池本くん?華の手をガッチリ掴んじゃってラブラブ強調ってわけ?顔に似合わずやるわねぇ〜」



淳「そんなつもりないから…」


(華の手を離す淳)



華「………」



玲「バカタレッッ!!華を哀しませんな!!今ここで背負い投げかますわよ!?」



淳「ひっ!?すいませんすいません!!」←玲が苦手な人



―――カコーーン


(玲の頭に空き缶が落下)



玲「あたっ!?」



龍「はははは!伊藤、お前、サイコー!」


(教室の窓から顔を覗かせる龍)



玲「龍!?あんたねぇ!あたしが石頭だったからよかったものの、華に当たったらどう責任取るつもりよ!?」



龍「俺が外すわけねーだろ?ばーか」



玲「……駆除ッッ!!」


(龍のいる教室にダッシュで向かう玲)



華「あ…」



淳「華ちゃん、俺も教室戻るよ。それから、明日は一緒に帰ろう」



華「うん」



優「………」



華「さぁ、先輩!水やり当番の任務を続行しましょう?わたし、ホース繋いできますから、ホース持って下さい!」



優「は、はい…」



―――タッタッタ


(蛇口まで走る華)



華「水出しますよーー!」



優「うん、いいよ」



―――ゴポゴポゴポッ


(奇怪な音を出す蛇口)



華「あれ…?先輩ーー!ちゃんと水流れてますかー?」



優(なんか嫌な予感…)


(華のもとに駆け寄る優)



華「おかしいな?詰まってるのかな…?」


(蛇口を覗き込む華)



優「あぶないッッ!!」



華「ふぇ?」



ブシューーーッッ


(ホースがすっぽ抜け、水しぶきが華と優にかかる)



華「ゲホッ…あはははは!」



優「笑ってる場合じゃ…」



華「前にもこんなことありませんでしたっけ?確かあの時は綺麗な虹が見えて…」



優「うん。そういえばそうだったね…」



華「うわぁ〜、ビショビショになっちゃいましたね…。どうしよう…」



優「―――…」


(突然、華を抱きしめる優)



華「先輩!?」




―――その時、初めて




―――人の彼女を奪いたいと思った。







〜抑えられない衝動〜

完。



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