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とろけるCheese  作者: KoKoRo
109/156

Cheese109〜協力するから〜

 一大スクープを前に、俺の邪魔をする男が一人いる。



圭「何してんの…?お前」



火護「なんだ、堤之原か…。お前も今の話、聞こえただろ?佐藤雅が男…」



圭「だから何?お前が今やってることは、盗聴だろ?犯罪じゃんか!」



火護「犯罪とは侵害だな。新聞記事のネタに使わせてもらうだけだろ?それに、今まで女だと嘘をついて過ごしてきた奴の方が、罪は重いんじゃないか?」



圭「テープ貸して」



火護「お前…今の話、聞いてたのか!?」



圭「聞いたよ!でも明らかにお前も悪いだろ!?録音したテープを回収するのが正義のヒーローじゃん!?」



火護「話にならないな。お前にテープは渡さない。これが証拠になるんだ。邪魔をするな」



圭「いいから渡せ〜〜!!」



華「…二人共、こんなところで何してるの?」



火護「!?」



圭「たっちゃん!コイツからテープ奪うの手伝って!じゃなきゃ、佐藤さんの秘密がバレちゃうんだよ!」



華「え!?」



火護「佐藤雅は女装をした男…なんだろ?このテープが証拠の品だ。記事に書いて公表する。なんなら、放送で流してやってもいいんだぞ?」



雅「!?」



圭「なんか…マジ切れそう……」




……バチンッッ


(火護の頬をひっぱたく華)



圭「たっちゃん…」



華「そんなことしか新聞に書けないの?人の秘密を記事にするなんて、ひどい。それを平気でしようとするあなたは最低だよ…」



火護「……」



雅「火護、このことは誰にも言わないで欲しい。テープも捨ててくれ…。頼む」



火護「嫌だと言ったら?…諦めて俺に記事を書かせてくれるのか?」



雅「!」



華「いい加減にっ…」



圭「ふざけんなッッ!」



………バキッ


(火護を殴り飛ばす圭)



圭「新聞ってそんな記事ばっかじゃないじゃんか!?昇降口にある花壇に花がいっぱい咲いてることとか、部活で頑張ってる人とか、くだらないかもしれないけど、色々落っこちてるじゃん。記事に出来そうなことがいっぱい…」



火護「そんなこと書いても、見る奴なんかいないんだよ…」



華「そんなことない!見る人がいないって勝手に思い込んでるだけだよ。貼る場所を変えれば…」



火護「貼る場所?あそこにしか新聞は貼れない。生徒会から言われてるから…」



圭「生徒会なんて言えばなんとかしてくれるって!」



華「そうだよ!昇降口前とか、皆が必ず通る場所に貼れば、きっとなんとかなるよ!だから…雅ちゃんのことを記事にしないで下さい。お願いします」


(頭を下げる華)



火護「なんで…?なんでそこまでして庇うんだよ?佐藤雅が男だってバレても、あんたは何の被害も受けないじゃないか…」



華「雅ちゃんはわたしの大切な友達だからだよ。友達が傷つくようなことは絶対させない!!」



雅「華ちゃん…」



火護「友達…か…」



………シャッ


(録音したテープを引き伸ばす火護)



火護「これで文句ないだろ?こんなネタより、もっとマシな記事を書いてやる…」



華「ありがとう。笠護くん」



火護「火護ですけど…?」



華「わっ!?ごめんなさい!!」



圭「…そうだ、ネタ!ネタならあるよ!」



火護「え?」



圭「じ・つ・は!最近、バンド組んだんだ!で、それを記事にしてくれたら、もしかして俺、モテモテになっちゃうかもじゃん!?」



雅「何一人で興奮してんだか…」



圭「あ、でも見る人が少ないか」



火護「……」



華「そんなことない!じゅ…池本くんはちゃんと読んでるよ!口では面白くないって言ってたけど、それはちゃんと読んでるからだよね」



圭「なんで『池本くん』なの?他人行儀だな〜。たっちゃんは!付き合ってんだから、恥ずかしがんないで、もっとオープンにさぁ…」



華「ばっ!!」



圭「へ?」



火護「へぇ。池本くんと立川さんって、付き合ってたんだ?それは初耳。早速記事にでも書かせてもらおうかな」



華「堤之原くんのバカーーーッッ!!」



圭「たっちゃんだって馬鹿じゃんか!?俺達、補習した仲だろーー!?」



華(この人から…薄井先輩と同じ匂いを感じるーー!!??)



雅「火護。そんなこと記事に書いたら……コロスぜ?」



火護「……」ぞぞぞっ


(震える火護)



華「とっ、とにかく、生徒会長さんに新聞の貼り出し場所を変えてもらうよう、頼みに行こうよ!」



圭「今から行くべ!」



雅(…はぁ。お人よしな奴ら。ま、そこが好きなんだけどよ…)



火護「……」




――生徒会室前にて



華「わたし、生徒会長さんとは顔見知りだから、まかせといてね!」



圭「おう!まかせた!」



華「いざッッ!!」



………ガラガラ


(生徒会室の扉を開ける華)



浅井「あら?何かご用ですか?」



華「はいっ!単刀直入に言います!新聞部で制作している、新聞の貼り場所をもっと目立つところに変えてもらいたいのです!」



浅井「残念だけど、今の場所しかスペース取れないのよ。あの新聞、大きいでしょ?他の掲示物の邪魔になると困るし、無理ね」



華「はひ…」



圭(さっきまでのまかせとけ〜!な勢いは何処へ…?)



??「掲示物なんて引っぺがせばいいじゃないか。浅井くん?」



華(え…?)



浅井「何であんたまでここに来るのよ?薄井翔。話がややこしくなるから、帰りなさい」



薄井「よし。ジャンケンだ♪僕が勝ったら、新聞でも何でも貼り替えを許可したまえ。これならややこしくないだろう?」



浅井「……わかった。なら私はチョキを出す」



薄井「予告宣言…ね」



浅井「ジャンケン…」



華(!)



浅井「ポン!」



(薄井がグーを出して勝つ)



浅井「なッ!?」



薄井「浅井くんは嘘をつけない人だね。約束は守るんだぞ?」



浅井「わかりましたよ!新聞の貼り替えを許可します…」




―――数日後、薄井先輩の活躍あって、新聞は昇降口に貼られることになった。その内容とは……



『突如として現れた謎の三人組高校生バンド誕生!!』



ババ〜〜ンとした見出しが話題を呼び、たちまち新聞を見る人が増えていった。



華「詳細は次号の学校新聞にて…か!楽しみだね!淳くん♪」



淳「……ない」



華「へ?」



淳「こんなの知らない……。誰が取材OKしたんだ……?」



圭(………(゜.゜;)



淳「お前かぁぁ!?堤之原ぁぁぁーーー!!」



圭「すいましぇーーーんッッ!!!」



ありゃりゃ…



火護(ありがとう。堤之原…)







〜協力するから〜 完。



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