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とろけるCheese  作者: KoKoRo
108/156

Cheese108〜新聞部の陰謀〜

 薄井先輩の一人かくれんぼから数日が経過した。



華(今日もいい天気だなぁ〜)



雅「はーなちゃん!ぼ〜っとしちゃって、どうしたの?まさか…恋のお悩み!?」



華「そうじゃないよ〜!恋愛の悩みなし!だもん♪」



雅「なんだ…のろけか…。つまんないの〜」



華「えへへ」



雅「……はぁ」



華「元気ないね?雅ちゃん」



雅「そりゃ元気もなくなるよ。姉さんがあんな男の子供を妊娠するだなんて…」



華「おめでとう!雅ちゃん!」



雅「全然めでたくなんかない。むしろ悲劇だわ…」



華「そんなことないよ!これから生まれてくる赤ちゃんには何にも罪はないんだし、可愛がってあげてね?」



雅「わたし、華の子供に生まれたかったわ〜」


(華に抱きつく雅)



華「ちょちょちょッ!?雅ちゃん!?」



淳「相変わらず、仲いいなぁ」



華(淳くん…、雅ちゃんが男の子だってわかったら、少しはやきもちを妬いてくれるのかなぁ…?)



三年男子「あッ!?いたーー!!佐藤雅ちゃん!!」



雅「げっ!?」



三年男子「高橋先生の奥様って、君のお姉さんなんだよねぇ!?詳しく話しを聞かせてくんない?」



雅「だから何にも知らないんだってば!!」


(逃げる雅)



三年男子「そこをなんとかお願いしますよ〜?」


(追う三年男子)



華(あの人、一体何なんだろう…?)



淳「大変だよね。佐藤さん」



華「え…?」



淳「さっきからずっと、新聞部の人に追い掛け回されてるんだよね」



華「新聞部?そんな部活があったんだ…!」



淳「すんげぇ地味なところに学校のスクープ!とかいって、新聞張り出してるけど、あんまり内容が面白くない」



華「辛口だね…。淳くん」



淳「華ちゃんは新聞見たことない?」



華「張り出されてる場所すら知らない…」



淳「それほど地味〜な部活ってことだね…。ますます佐藤さんが可哀相だ」



華(新聞部…かー…)






―――そして放課後。



………ガラガラ


(教室を出る雅)




三年男子「……あ!佐藤さ〜〜ん!」


(廊下で待ち伏せ)



雅「なっ!?まだいたの!?」



三年男子「これでも一応部長なんで、諦めるわけにはいかんのですよ」



雅「そこまでネタにする話題でもないじゃない!?もういい加減にしてよ!!」



クラス男子「佐藤さんが…キレた…?」



華(雅ちゃん…)



??「先輩、うちの担任に子供が出来たって話はもう学校中の噂になってるんで、今さら新聞にしても無駄かと…」



三年男子「……」



玲「ちょっとあんた!名前ー…知らないけど!先輩に対して態度でかすぎなんじゃないの!?」



??「…………」


(玲を睨む)



玲(コイツ〜!!ガン飛ばしやがったな〜〜!?)



??「クラスメイトの名前ぐらい、ちゃんと覚えて下さいよ。伊藤さん?」



玲「そりゃ失礼しました!」



三年男子「副部長の言う通りだ…。もっと話題になるようなネタを探すことにする」



玲「副部長…?」



??「そうして下さい。先輩」



華「なっ!?いくら副部長だかりって態度でかすぎだよ!!」


(小声)



龍「火護のことか?」



華「ひっ!?聞こえてました??」



龍「少なくともお前の隣にいりゃあ聞こえるでかさだな」



華(うぅ…。恥ずかしい…)



龍「あいつがあんな性格だったとは意外だ」



華「え?」



龍「休み時間になっても、いつも一人で熱心に勉強ばっかやってるじゃねーか」



華&玲「そんなこと知らない!」



龍「割り込んでくんなよ…。伊藤」



玲「大体、新聞部なんて変な部活があったこと自体、知らなかったし」



華「わたしもわたしも!」



雅「あ〜〜!!ムカツクッッ!!華ちゃん、ちょっと付き合って!」



………グイッ


(華の腕を掴み、教室から連れ去る雅)



華「えぇ!?なぜわたしっ!?」



淳「あれ?華ちゃん、また佐藤さんと一緒か…」



玲「あらまぁ〜…。いいの〜?池本クン?」



淳「え…?何が…?」



龍「まぁ、知らぬが仏…ってな」



淳「???」



火護「……」


(カメラと録音機材を持って教室を出る火護)



圭「………」







――その頃、雅は華を連れ、音楽室に向かった。



華(雅ちゃん、怒ってる…?握られてる手が痛い…)



………ガラガラッッ


(勢いよく音楽室の扉を開ける雅)



雅「華!!そこに座れ!」



華「はいっ!?」



雅「そして俺の音を聞けぇぇーーー!!!」


(ピアノを弾く雅)




――♪♪♪♪♪♪♪♪



華(は、はや…。でも、上手い…)



雅「………」





――音楽室の廊下にて



火護(美しい旋律だ。佐藤雅がピアノを弾けたとはな。しかし、アイツ、さっき自分のことを「俺」と言ったような…)


(ピアノの音を録音する火護)





それから雅ちゃんは一曲まるまる弾き終えて、大きな溜息をついた。



華「わぁ〜!!すごかったぁ〜!ピアニストみたいだったよ!それ、なんて曲なの?」



雅「ショパンの幻想即興曲。俺が嫌いな曲だ…」



華「どうして?なんだか迫力のある感じがして、わたしは好きだけどな」



雅「華が好きでも、俺は嫌いなの。わかった?」



華「む…。何もそこまで否定しなくてもいいんじゃ…?ショパンさんが可哀相だよ!」



雅「こんな曲を書くショパンの方が可哀相だ…」



華「雅ちゃん…?」



雅「俺が人前でこの曲を弾いたのは、初めてのことなんだぜ〜?感謝しろよな」



華「『俺』なんて使っちゃダメだよ!?誰が見てるかわからないんだから!!」



雅「だいじょーぶだって!誰も俺が男だなんて気付かねーから」



華「うっ…すごい自信だなぁ…」





――――



火護(佐藤雅が………男………?)


(ヘッドホンを装着し、録音したテープを巻き戻す火護)



『誰も俺が男だなんて気付かねーから』



火護(これは……一大スクープだ…。記事に書いて公表してやる…!!)


(テープを握り締め、立ち上がる火護)



…………グッ


(誰かが火護の腕を掴む)



圭「何してんの…?」



火護「!?」










〜新聞部の陰謀〜 完。



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