Cheese106〜土の中に眠るアレ〜
新学期一日目は波乱の幕開けだった。
謎のイケメン転校生。
ギュウ詰めの廊下。
そして…
高橋先生「おはよう!皆、元気かな〜?」
クラス全員「……」
相変わらずテンションの高い高橋先生…。
高橋先生「これから始業式だから、暑くてもネクタイとリボンは付けていけよー!それから、放課後に美化委員会は花壇に集合!…ああ、そうだ。立川と堤之原は帰りのHR終了後、図書室に来なさい。例の物を配る」
圭&華(補習テストーー!?)
――その後、始業式も早々と終了し、放課後となってしまった。
華(はぁ〜。憂鬱だぁ…)
淳「華ちゃん!俺、委員会さきに行ってるね」
華「うん!わたしもすぐ行くね」
圭「たっちゃん!図書室まで一緒いこ〜♪」
淳「なんでだよ!?お前一人で行け!」
圭「淳ちゃんってさ…実は結構ヤキモチ妬きなんだね〜?気をつけなよ?たっちゃん」
華「えぇ?そうなの?淳くん」
淳「なっ…」かぁぁ
(真っ赤になる淳)
圭「ほら図星」
淳「馬鹿なこというな!…俺、先に行く」
……スタスタ
(足早に教室を去る淳)
圭「な〜に怒ってんだか」
華「堤之原くん、一つ気になってたことを聞いてもいい?」
圭「いいよ〜。せっかくだから、歩きながら話さない?図書室までさ」
華「うん」
―――――――――――
圭「え?転校生と俺達の関係?」
華「うん。本当は朝聞こうと思ったんだけど、タイミングを逃してしまって」
圭「ドラム」
華「え?」
圭「淳ちゃんがギターで、俺がベース、そいでさっきの転校生がドラムでバンド組んだんだ!すごい進歩っしょ?」
華「あの人がドラムさんだったんだ!すごいすごい!夢に向かってまっしぐらだね!」
圭「あとはもう…頑張るしかないよね」
華「うん!」
圭「とりあえずバンドの中では俺が一番下手っぴだから頑張るぞ〜」
華「堤之原くんならきっと大丈夫だよ」
圭「え?」
華「淳くんが見込んだ人だもん!だから練習頑張ってね」
圭「…なんか淳ちゃんに怒られそう」
華「へ?」
圭「んー?なんでもないよん。よぉ〜し!練習がんばるぞ」
華「???」
――――図書室にて。
高橋先生「補習五人衆、全員揃ったな?」
山田「覚悟はできた」
薄井「早くしたまえ!美化委員顧問と委員長が委員会に遅刻するなど、前代未聞だッ!」
田奈(早く帰りたい…。堤之原さんと顔を合わせられない…)
圭(問10の答え、なんて書いたっけな?X=…いや、Y=…?)
華(どうしよう…もしも赤点だったら…)
高橋先生「皆、よくやった!平均点は71点!全員合格点だな」
山田「は?」
薄井「嘘だ…採点ミスだ!本当は全員留年なんだろう!?」
華「決めつけないで下さい!?」
高橋先生「山田は87点!田奈は92点!堤之原は76点!立川は70点!そして薄井は…」
薄井「僕は…?」
高橋先生「32点だ!」
薄井以外全員(赤点ギリギリーー!?明らかにこの人が平均点下げてるよーー!?)
薄井「僕にしてはいい点だな♪」
山田(どこがだーー!?)
高橋先生「とりあえず現段階で留年する者はいないということだ!以上。薄井、立川!委員会に向かうぞ!」
薄井「よし。T.T!花子!」
華「は、はい…?」
高橋先生「なんだ?」
薄井「花壇まで競争だぁーー♪♪」
……スタタタタッ
(図書室を出て激走する薄井)
華「先輩ズルイですよ!?フライングです!」
高橋先生「こ、コラッ!立川まで廊下を走るな!」
……ドタドタッ
(結局、高橋も廊下を走ってる)
――昇降口前の花壇にて
薄井「僕がいっちば〜ん☆」
華「ま…負けた…」
高橋先生「薄井…お前…早過ぎるぞ?体育会系の部活でもやってるのか?」
薄井「いや?Cheese同好会」
高橋先生「…は?」
華(Cheese同好会って、文化系なのかな?一応…)
野高「…あ。先生!例のごとく、三年生は来てません。今のところ集まってるのは、二年と一年だけですね」
高橋先生「そうか、もういいんだ…。三年生はほっといてあげよう」
薄井「で?今日は何をするんだ?」
高橋先生「花壇の活性化だ!ほら、鉢に入った花が昇降口にあるだろ?それを花壇に植え替えるんだ」
華(楽しそう…♪)
淳「よし。じゃあ、やりますか!」
華「うんっ」
――その後、植え替え作業が始まった。
……ザックザック
(土を掘り進む薄井)
野高「…おい、掘りすぎじゃないか?」
薄井「お」
野高「?」
薄井「花子〜♪いいものみつけたぞ〜」
華「何を見つけたんですか?まさかお宝!?」
(薄井に近づく華)
薄井「似たようなもんだ」
……みょ〜〜ん。
(スコップの上に巨大ミミズが乗る)
華「ギャーーーッッ!!」
薄井「あはは〜♪可愛いだろう?」
(スコップ片手に華を追い掛け回る薄井)
華「こっちに来ないで下さいーー!?」
野高&淳
薄井「あはは〜♪…ん?誰かいる」
(校門の方を見て立ち止まる薄井)
華「え?」
野高「マスター!?」
高橋先生「梓さん!?」
梓「あ…」
高橋先生「なんで学校に?」
梓「武さん、私…妊娠…したみたい」
高橋先生「ほ、本当に!?」
梓「あなたの子供が…お腹の中にいます」
高橋先生「バンザーー…」
………バァァンッッ
(突然の爆発音)
高橋「ぎゃひぃっ!?」
薄井「……」
(クラッカーを手に持つ薄井)
野高「どこからそんな物出したんだ!?」
薄井「昨日、僕の誕生日だったから、学校で鳴らしてやろうと思って忘れたんだ。でも、結果オーライだな♪僕の誕生日なんかよりもずっとめでたい!」
梓「ありがとう…。薄井くん」
華
いつも変なことばっかりしてる先輩だけど、この日だけは……
キラキラ輝いてみえた。
〜土の中に眠るアレ〜 完。