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とろけるCheese  作者: KoKoRo
102/156

Cheese102〜ウソツキ〜

 何で僕は…ここにいるんだろう?



??「うーすいかけるーー!」




誰だ…?



僕を呼ぶのは………?



??「あんた、いっつもそんなとこで寝てんのー?」



…そんなところ?



そんなところって……どんなところだっ!!??




……………ガバッ


(起き上がる薄井)



薄井「ひぇっ!?」


(自分の居場所に驚く薄井)



浅井「あ。起きたー?おはよ」



薄井「小さいなぁ…。浅井くん。まるでアリのようだ……」



浅井「あんたが屋根の上にいるからでしょー?そんなとこで寝返りなんかしたら、落っこちて死ぬわよー?」



薄井(…そうか。僕は自分ん家の屋根に登って、そのまま寝たのか…)



浅井「今、夏なんだから焦げるよ?…ま。今日は曇りだし、涼しいから別に心配いらないだろうけど」



薄井「なんで浅井くんが僕の家の前にいるんだね?」



浅井「たまたま。近くに用があったから。あんたまだこの家に住んでたのねぇ…」



薄井「悪かったね。ボロ家で」



浅井「なにもそこまで言ってないじゃない。…あ。ねぇ!ちょっとだけあたしに付き合わない?」



薄井「……やだ」



浅井「…なんでよ」



薄井「うっそー。すぐ行くから待ってなさい」



浅井(馬鹿にしおって…)




―――その後、浅井と合流した薄井は……



薄井「で?どこに行くんだい?」



浅井「カフェ。山田んとこの」



薄井「……なんで?」



浅井「なんでって…行きたいから」



薄井「…ふーん。」



浅井「なによ」



薄井「山田のこと好きなの?」



浅井「そうだよ」



薄井「!」



浅井「…って言ったら、薄井翔はどんな顔をするのかな〜…」


(薄井の顔を覗き込む浅井)



薄井「……」



浅井「薄井?」



薄井「そんな風に男を試すようなこと、しない方がいいよ」



浅井「……ごめん」




―――それから会話のないまま、二人はカフェに辿り着いた。



浅井「……」


(カフェの扉に手を掛けたまま、動こうとしない浅井)



薄井「入らないのかい?」



浅井「今、カフェの中にいる女の人と目が合っちゃった…」






―――カフェの中にて。



茜「誰が来てるわよ。可愛い子」



山田「茜さん、久しぶりにキスでもしない?」



茜「なぁにぃ?突然。今してくれるの?」



山田「今じゃなきゃダメ」



茜「いいよ…」





「―――――」






浅井「!!」



薄井「せっかく来たんだから入ろう。ほら」


(扉に手を掛ける薄井)



浅井「駄目っ!!」


(薄井の手を抑える浅井)



薄井「なんで…」



浅井「邪魔しちゃ悪いもの」



薄井「浅井く――」



浅井「……っ」



薄井「………」





彼女の涙を見たのは初めてだった。



なんで泣いているのか理由もわからないまま、彼女は僕を引っ張るようにカフェから離れて走り出した。




原因は山田だ。


そんなことは馬鹿でもわかる。




彼女は山田のことを……











浅井「――はぁはぁ」



(薄井の腕を引きながら、走り続ける浅井)



薄井「どこまで行くの?」



浅井「知らない。わかんない。なんもわかんないよっ!!」



薄井「………せ」



浅井「はぁ…はぁ…」



薄井「離せよ」



浅井「!」


(立ち止まる浅井)



薄井「行く場所がないなら、僕は帰る。山田に会いたいなら一人で行けばいい」



浅井「なんでそんな冷たいこというのよ…?らしくないじゃない。いつもみたいに笑ってよ?ねぇ…、そんな怖い顔しないでよっ……」



薄井「山田なんかより僕の方が…………」



浅井「――え…?」



薄井「男前だぁ〜…!わはははは…」



浅井「……っぷ!なによそれ!」



薄井「そうやって笑っていてくれよ。泣きっ面なんか君に似合わないから」



浅井「……うん。ありがとう…。薄井」










―――――――――――




その頃、カフェでは…




茜「――ねぇ、なんで突然、キスなんかしたの?」



山田「あれ?いけなかった?」



茜「もしかして、演技?さっきの子に見せつけるための」



山田「そんなわけないっしょ?演技なんかでキスできる男なんか……最低だよ」



茜「あたしは演技でも構わない」



山田「茜さん…」



茜「でも、あたしにはあなたがあの子のこと好きみたいに見えた」



山田「たぶん…逆」



茜「え?」



山田「あいつが俺のこと好きみたいに見えるから、警告したんだ。俺なんか見ないように」



茜「なんでそんなこと…?」



山田「最低だから。俺」



茜「確かに最低ね。好きでもない人と、演技でキスできちゃうんだから」



山田「すいません。俺、茜さんのこと傷つけた」



茜「あたしは傷つかないわよ。あなたが他のお客さんに口説かれてるのも見たことあるし、あたし以外の女にだって優しいもんね?」



山田「……」



茜「さっきの子が羨ましい。あなたに冷たくされて、特別みたい」



山田「そうじゃないし…」



茜「そうかな?」



山田「茜さん、いじわるすぎ。…でも、そーゆーとこ、可愛いなって思いますよ。マジで」



茜「本当のあたしを知らないんだなぁ……山田クンは」



山田「―――え」




……………グイッ


(山田の腕を引きながらキスをする茜)



茜「………」



山田「……なっ!?」



茜「……じゃあねぇ、山田クン。お仕事、頑張って」




………カランカランッ


(店を出る茜)



山田してやられた……





――店を出た茜は、近くの喫茶店へと向かった。



茜「ごめーん。待ったぁ?」



男「ぜーんぜん待ってないよ。今日、何処行く?」



茜「うーん、どうしよっか?」





――――ゴメンネ、山田クン。





あたしの方が最低だね











〜ウソツキ〜 完。



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