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とろけるCheese  作者: KoKoRo
101/156

Cheese101〜ドラム、スタンバイ〜

夏休みも残りわずかとなったある日、ついに奴の音を聞く機会が訪れた。



圭「あ。淳ちゃん!こっち!こっち〜!」



淳「でかい声で呼ぶな!ここ、ファミレスなんだぞ!?」



圭「すいましぇーん」



淳(反省してないな…コイツ)



圭「はい!淳ちゃんの分のドリンクバー、頼んどいたから飲んでいーよん」


(コーラを差し出す圭)



淳「お、サンキュ。ところで、あいつはまだ来てないの?」



圭「ところで、たっちゃんとはどこまでいったの?」



淳「ブーーーッッ」


(コーラを吐き出す淳)



圭「ぅわっ!?吐くなよ〜…!俺にまでかかったじゃんか〜」



淳「おまえのせいだろ!?つーか、今の質問は絶対おかしい!」



圭「…で。実際のところ、どうな具合っすか!?」



淳「おまえ、キショイよ…。つーか鼻の穴膨らんでるし。気持ち悪い」



圭「教えてくれてもいい問題じゃない?ねぇ?? 」



淳「日本語変だよ…」



??「よっ。久しぶり」



圭「お!よく来た!オダギリジョー!」



譲「…は?」



淳「あのさ、圭。店内にいる女性がこっちに注目するから、冗談でもオダギリジョーとか口にしないほうがいいと思うよ」



圭「そっかそっか!すんげぇ勉強になった!じゃあ、あしたのジョーとかにすればよかったんだな!俺って超うっかりさんだよなぁ」



譲&淳(コイツ、絶対馬鹿)



圭「んでさ!早速、譲ちゃんのドラム聞きたいって淳ちゃんがうるさいんだよね〜。なんとかしてやってよ」



淳(…え?俺?俺だけか!?聞きたいのって?おまえはどうなんだよ…?堤之原ーーー!!!)



譲「家にドラムセットあるけど、狭いからなぁ。しゃーねぇ!知り合いのライブハウス借りるか」



圭「ら…らいぶはうす?」



淳「え…マジで!?ハコあんの!?」



圭「…はこ?」



譲「あるぜぇ。音出すには最高の場所だ。極端に狭いわけでもねーし、広くもない。音を体で感じられるってとこだな」



淳「そんないい場所があったとは知らなかった…。つーか、全然関係ないけど、その長い髪、切った方がよくない?」



譲「…は?」



圭「すいませ〜ん、うちのリーダー、こうゆうとこ真面目なんで気にしないでね〜?」



淳「君が例えドラム上手くても、ビジュアル系バンドにはなりたくないんで」



譲「あ゛あ゛?俺が化粧してドラム叩くと思ったわけ?」



淳「例えば。の話しだよ」



圭「例えば譲がオダギリジョーだったらよかったんじゃねぇの!?」



譲「絞め殺すぞ?」



淳「おまえは黙ってろ」



圭「扱いひどくない?」





そんなこんなでファミレスを出た三人はライブハウスへと向かった。





――――歩くこと5分…



譲「はいここ!着いたぜ」



圭「な〜んだ。ただのレストランじゃん」



淳「確かに広くもなく、狭くもないって感じだな。この中にドラムとかあんの?」



譲「ああ。誰か使ってなきゃいーけど…」




―――――ガチャ


(扉を開ける譲)



圭「ほ〜ら、やっぱりレストラン……じゃねぇ!?」



扉を開けた先には、薄闇に包まれるかのようにドラムセットとステージが並んでいた。



譲「ラッキー。誰も使ってねぇじゃん」



淳「え?勝手に使っていいの?それ…」



譲「いーのいーの!だってここ、いとこん家だから」


……………バンバンッ


(ドラムを軽く叩く譲)



圭「いとこさんの家?」



??「かかっ…勝手に触らないで下さい…」


(ものすごい小声)



圭「ぎゃひぃぃっ!?淳ちゃん、なんか言った??」



淳「何にも言ってないよ。つーか、なにびびってんだよ…?」



圭「いいい今、下さい〜って聞こえたんだよ!何をあげたらいいの!?俺!!」



淳「なに馬鹿なこと言ってんだよ。馬鹿」



圭「どさくさ馬鹿やめてー(?)」



譲「もしかして桜か?」



??「………」



譲「桜だな…。出て来いよ!ちびっこ」



桜「ちびっこじゃないやい!」



圭「ぎゃあっ!?」



淳「おお。後ろから出て来た」



桜「お…お兄さん達、誰ですか!?法律相談所に訴えてやるっ!!」



譲「親父さん、いるかー?つーか今日、店休み?」



桜「お店はお盆休みだからやってない!だから勝手に触っちゃダメ!!」



譲「ドラム借りるぜ〜」


(椅子に座り、スティックを掴み取る譲)



桜「ダッッ………」


(飛び出そうとする桜の道を手を伸ばして塞ぐ淳



淳「少しだけ。いい?」



桜「………」



譲「予備のギターとベースあるけど、弾かないか?」



圭「そりゃもう是非っ!」



淳「……いや、お前の音だけ聴きたい」



圭「そっか…!ならお邪魔しません」



譲「…いーけど。腰抜かすなよ?」



淳(……誰が)



譲「―――すぅ」


(息を思いきり吸う譲)




――――――♪♪♪♪



圭「すご…」



淳「―――――」





―――言葉を失った。


技術のレベルが違う。



コイツ、本当に―――…







―――――――――――



譲「…ってな感じで、どーでしょうか?」



圭「すげぇ!天才と凡才は紙一重って感じなんですけど(?)」



淳「…なんで東京きた?」



譲「なんでって…決まってんじゃん。プロになりたいからだよ。お前らだってそうなんだろ?」



圭「俺は……淳ちゃんについてく!」



淳「俺はただがむしゃらにギターが弾きたい。ギターぐらいしか取り柄もないし。だからずっと…弾いていける道に進みたい」



圭「知ってるよ。そんなこと」



譲「俺達も加えてくれよ。その『夢』ってやつに」



淳「―――!」



仲間ができたみたいだった。


今までずっと願い続けていたことが、叶った気がした。



ようやく夢へのスタートラインに立てた。


今出来ることを精一杯やるしかない。





最高のメンバーと共に。








〜ドラム、スタンバイ〜


完。



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