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無限図書館の呪われた司書 〜本の世界を歩く物語〜  作者: MithArc


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1/3

最初の書物

都市の奥、誰も覚えていない路地の間に、地図にも載らない図書館があるという。

その書架に並ぶ本は、未来を知り、過去を記し、

決して知られてはいけないことまで知っていると言われている。


図書館の管理人、月城つきしろ

彼はただ本を守るだけではない。

世界を変えるかもしれない秘密までも守っているのだ。


今日、この書架の間で、存在してはいけない何かが目覚めた。

最初に匂いがした。


煙。


濃く、苦く、喉を焼くような煙。


月城ツキシロは目を開けるのもやっとだった。

地面は冷たく、ぐしょ濡れ。

泥が手に張り付く。立ち上がろうとしても重さで腕が止まる。


頭が真っ白になる。


――ここは…夢じゃない。


音が聞こえた。


叫び声。


駆ける足音。


木が火で割れる音。


顔を上げる。


村全体が燃えている。


木造の家々が巨大なたいまつのように赤く揺れる。

炎が夜を照らし、村人たちはバケツを持って走るか、ただ逃げるしかない。


「…ありえない」


心臓が早鐘のように打つ。


最後に覚えているのは図書館。

無限に続く本棚。

黒衣の女。

そして、呪い。


自分の手を見る。


泥。

冷たい感触。

痛み。


夢じゃない。これは現実すぎる。


――その時だ。


「魔女を捕まえろ!」


群衆が押し寄せる。


松明を持った男たち。

槍を握る者もいる。


中央で誰かが引きずられている。


少女。

手首は鎖で縛られ、二人の男に引かれて土に躓く。


「魔女だ!」

「化け物だ!」

「焼け!」


少女はひざまずく。


男が鎖を乱暴に引く。


「立て!」


少女の目が月城と合った。


――凍る。


恐怖だけじゃない。

混乱。

なぜここにいるのか、理解しようとしているような目。


男の一人も月城に気づく。


「おい、お前誰だ?」


口を開けるが言葉が出ない。

――質問が正しい。


別の男が近づき、じろりと見る。


「この村の者じゃないな。」


――疑いが広がる。


「よそ者だ。」

「魔法使いかもしれん。」

「こいつも捕まえろ。」


槍が振り上がる。


――危険。


手を上げる。


「待って、俺――」


――轟音。


家の一つが崩れ、火花が舞う。

群衆が一瞬、注意を逸らす。


その時、ポケットに感触。


――木?


滑らかな感触を掴む。

引き出す。


しおり。


栞――Shiori。


握った瞬間、世界が揺れた。


――二つの景色が重なる。


燃える村。

そしてページ。

巨大な白いページが宙に浮かぶ。


――俺は…本の中にいる?


囁く。


「…何だこれは?」


男が迫る。


しおりを握りしめる。


――もしこれが物語なら。

筋書きがあるはずだ。

そして、あの少女もきっと一部だ。


少女を見る。

今度は彼女もこちらを見ている。

真剣な眼差し。

――希望のような。


群衆が再び迫る。


「魔女を広場に連れて行け!」

「ここで終わらせるぞ!」


鎖が少女を引く。

つまずき、倒れる。


男の手が振り上がる。


――動く。

「待て!」


静寂。


「お前、何者だ?」


深呼吸。

握るしおりはまだ光る。


――もし物語を変えられるなら。

確かめるしかない。


一歩前へ。


「答えを聞きたいだけだ。」


ざわめき。

「何だと?」


少女を指差す。


「一体、何をした?」


男は地面に唾を吐く。

「この畜生め、村に火をつけたんだ。」

燃える家々を指差す。

「魔法だ。」


少女は首を横に振る。


「私、やっていない…」

弱くても確かな声。

「ただ…知らせようとしただけ。」


群衆は再び叫ぶ。

「嘘だ!」

「魔女!」

「焼け!」


しおりを握りしめる。


――この場面はもう書かれている。

物語には結末がある。

――幸せなものではない。


風が火花を夜空に散らす。


――誰かに読まれているような感覚。


しおりを見る。

――介入できるのか?


一歩、また一歩。


「なら、真実を見つけよう。」


少女の目が見開く。

彼ではなく、しおりに。


囁く。

「…あなたも見えるの?」


「何が?」


少女が頭を上げ、空を指差す。


――見上げる。

燃える村の上に、信じられないものが描かれている。

夜空に墨を落としたように。


第一章 ― 焼けた村の魔女


背筋に鳥肌。


――これが第一章なら、

残りの物語を書いているのは誰だ?

最後まで読んでいただき、ありがとうございます。

図書館は少しでも、皆さんの好奇心を刺激できただろうか。


次回の章では、月城が手を出してはいけない秘密に

触れざるを得ない出来事が起こる予定です。


コメントや感想はいつでも歓迎です。

もしかすると、図書館は「聞いている」かもしれません…。

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