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3人のヒロインとシェアハウス生活、告白は観覧車のてっぺんで  作者: iron-bow


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7/19

【第03話-05】何度負けても、あなたを好きでいた ― 千紗が選んだ愛のかたち

※本話には、心理描写を伴う大人向け表現が含まれます。

また本作には

「大人向け要素を加筆した別バージョン」が存在します。


※感情描写重視で読みたい方は本作を、

より踏み込んだ描写を求める方はノクターン版をおすすめします。

【Scene14:新妻気分、実家公認!?】


12月といえば──そう、クリスマスである。


「甘えん坊、ぶりっ子、ロリ巨乳、絶世美少女・千紗ちゃんと今年のクリスマスを過ごせる幸せな男……それが晴道君、君だぁぁああ!」


「毎年一緒だったじゃん。それにいちいちキャラ作んなくても」

「そんなこと言って、好きなんでしょ?」


晴道が、ほんの少し黙り込んで、苦しそうにコクリと頷く。

「今、好きって言ってくれようとしたんだよね。」

晴道の苦しそうな顔を見ると私まで泣きそうになる

でもだめ、私がそんな表情したら


晴道がもっと傷付いてしまう


私は晴道を軽くはぐしながら言葉でも伝える

「大丈夫ちゃんと伝わっているよ」


気を取り直して

「優香はイブも当日も塾。今が追い込み時だから会えないって」

(来年は3人一緒に、過ごせたらいいな)


「そうだね、来年は優香も一緒だと良いね」

「だからなんで皆ヒトの思考を読むのー!?」


今日の小泉家は沙織さんが早めに帰宅予定。

いつもなら遠慮してたけど、沙織さんが「たまには一緒に夕食を」って言ってくれたから、張り切って準備しちゃう。


──買い物は晴道が一緒に付き合ってくれた。


「豚ロース厚切り、セールだ!」


沙織さんにレシート提出する制度が定着したおかげで、私は今や『節約上手な理想の新妻』ポジションである。


「晴道、何か食べたいものある?」

「とんかつ、ソテー、ピカタなんでも良いよ」

「じゃあ、“今日は”ソテーで」


“今日は”を強調してくるあたり、わかってるじゃない晴道君。


「なんていうか、新妻って感じだよな」


ぷっしゅ〜〜〜。

自分の頭から湯気が出てるのが判る。

好きって言葉は出せないくせにこういうことは言う。

だから天然ジゴロなのだ。


「ソースはお任せでいい?」

「うん、千紗の作る料理は何でも美味しいから」


天然ジゴロ第二弾! ごちそうさまです!!

今日は醤油ベースに決定☆


【本日の献立】

・ポークソテー

・ポテトサラダ(パケ)

・コーンスープ(パケ)

・甘く煮た人参

・簡単なサラダ

パケ利用は時短&節約の鉄則。

これもうちのお母様直伝。

専業主婦程時間の節約が重要なんだとか


「母さんもうすぐ帰るって連絡あったよ」

じゃあ、ポークソテーだけ後で焼けばいい。


──ピンポーン。

あ、沙織さんかな。

「晴道、私が迎えに行くね」


ドアを開けると

「ただいま、千紗ちゃん」

「お帰りなさい」

そこには目をまん丸にした洋介さんも一緒だった!


沙織さん(くすっと笑って):

「会社でたまたま洋介さんに会ってね。“今日は早く帰れるかも”なんて言うから……」

「これはもう、千紗ちゃんと一緒に夕食ねって、洋介さんには何の説明もせずに無理やり連れて帰ってきちゃったの♪」


聞いてませんが!

しかも私が着てるのは、ピンクのフリフリエプロン……

※もちろん晴道の趣味


「新妻さんだ!ピンクの新妻さんが居るよ!!

あんな小さかった女の子が、こんなに可愛くなるなんてなぁ。あの頃の俺に教えてあげたい、“この子は晴道の運命の子なんだよ”って」


ぷっしゅ〜〜〜。

天然ジゴロ第三弾! さすが親子です。


ご両親が着替えてる間に準備を整えて、

「晴道、スープ温めておいて」

「了解。追加の父さん分の食器も出しとくね」


(……新婚夫婦すぎる)


「ねぇねぇ、完全に新婚さんって感じよねぇ」

「かっ、母さん!」

「あぁ〜早く孫の顔が見たい」

「父さんまで!!」


(わたし外堀を埋めてた筈が、その外堀が天守閣を攻めてる、謎だ)


料理を配膳して、少しでも反撃しよう。

「お母様、お味加減いかがでしょうか?」

「お父様、ビールでもお出ししましょうか?」


「……やっぱり引っ越しの挨拶の時の『おかあさん』はこの未来の予言だったのね」

「何言ってるんだ。温め直しでも美味しい料理が出来たてで食べられるんだぞ。しかもピンクの可愛い新妻さんが目の前に居て。今の俺にビールを飲んでる暇はない! お肉のお代わりはあるかね」

「洋介さん、あなたの新妻さんじゃないんですよ。小泉家の大事な新妻さんなんですからね」


……カウンター食らった。


食後。

晴道と並んで洗い物してたら、


カシャッ。


「!? 今の、シャッター音……」


振り返ると再び──カシャッ。


「沙織、見てくれ。この“初々しい新婚さん”の写真を」

「洋介さん、ちょうだい♡ ねぇ千紗ちゃん、これ田舎のお母さん──つまり晴道のおばあちゃんに送ってもいいかしら?もうすぐ曾孫の顔が見れますよって」


「かっ、母さん!! 俺たち“まだ”そんな関係じゃ──」

「“まだ”、かぁ〜」


ぷしゅ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜。


私の脳内、今、完全に沸騰中。


……だけど、嫌じゃない。

ううん、すっごく幸せだと思ってる自分が、確かにいる。


(でも、この幸せだからこそ甘えてばかりじゃいけないよね)


千紗の“覚悟”は、まだこれから。


【Scene15:二人の母に包まれて】


4人で食事を終え、片付けも済ませたので、

コーヒーをいただくことにした。


「今度のクリスマスイブのことなんですけれども……」

私が切り出すと、沙織さんは不思議そうに首をかしげた。


「あれ? 美優さんから聞いてない?」

「申し訳ありませんが、母からは何も……」


あの人は、人からの頼みを忘れるようなタイプじゃない。

となると──あの美魔女、また何かたくらんでるな?


沙織さんは、笑みを浮かべて続けた。


「クリスマスイブはね、コンサートを観に行くの」

「そしたらね、洋介さんが言うのよ。『俺たちもまだ若いんだから、たまには二人っきりの時間があってもいいよな』って。だから、その近くのちょっといいホテルを取ってくれて」


──ブッシュー。


あ、洋介さん、コーヒー吹いた。

テーブルフキン、回してあげる。


「そんなわけだから、晴道。24日から25日の朝までは、母さんたち帰らないから……千紗と二人きりよ。お泊まり、OKよ」


──ブッシュー。


今度は晴道がコーヒー吹いた。

今度は洋介さんがフキンを回してる。


「それでね、美優さんには私から『24日は千紗ちゃん、朝帰りでも許してあげてね』って話しておいたのだけれど……聞いてない?」


あぶねー。

口にコーヒー残ってたら、今ので絶対吹いてた。

ごめんお母様。これは娘に言っちゃダメなやつです。


私は平静を装って、コーヒーをひと口。


「私はね、晴道と千紗ちゃんのこと、信用してるから」

あー、それ一番フラグ立つやつ……。


「ちゃんと避妊はしてくれるって!」


──ブッッッッシュー!


結局吹きました。

今度は晴道が、無言でフキンを渡してくれました。


「晴道、千紗ちゃん送ってくね」


あ、これは……

何か晴道には聞かせたくない話があるやつだ。


マンションの中庭になっているところへ、ちょっとだけ寄り道。


「千紗ちゃんの、そういう気が利くところが大好きよ」


ふと、小泉家の方へ目を向けると──


「大丈夫。もし晴道が何かに気づいても、洋介さんが足止めしてくれるから」


──沙織さんはいきなり核心を突いてきた。


「ねぇ、晴道。どうなっちゃったの?」

「……気づいてたんですね」

「当たり前でしょ。18年、見続けてきた息子なんですから」


私は一瞬だけ迷った。でも、正直に答える。


「晴道は……今、人に好意を向けることが、できなくなってます」

「え、それって……? だって晴道は、千紗ちゃんのことをあんなに……」


「表向きには“好き”とか、愛情の言葉を口にすることができなくなっていて……」

沙織さんは黙って、続きを待ってくれていた。


「声が出ないってことじゃなくて、“好き”って言葉を口にした瞬間、自分の気持ちが確定してしまうのが怖いんです。彼は、自分なんかが人を愛しちゃいけない──そう思い込んでしまってる」


……気づいたら、涙がこぼれていた。


沙織さんが、そっと私を抱きしめてくれる。


「私が悪いんです……私の自分勝手のせいで、晴道をたくさん傷つけたから……」


自分でもわかるくらい、心が冷えていく。


「私がいなければ……晴道と出会ったのが優香だけだったら、きっとこんなふうには……」


口から出てくるのは、ネガティブな言葉ばかり。


「私さえいなければ、今ごろ晴道と優香は……幸せになってた。

私がいたせいで、優香は選ばれず……晴道は壊れてしまった」


そのとき、背後に人の気配がした。


振り向くと、そこにはお母様──美優の姿。


その目からも、涙がこぼれていた。


そして、後ろから私を、ぎゅっと抱きしめてくれる。


「私の可愛い千紗、そんな悲しいこと言わないで。

晴道くんは、いま千紗に愛されて、ちゃんと幸せよ。ね、沙織さん?」


「ええ。晴道は、いま──とっても幸せよ」

「千紗ちゃん、あの子はね、自分が誰かを愛していいって、まだ信じられないだけなの。

だからね、“信じてもいいんだよ”って、伝えてあげて」


冷たい冬の空の下。

氷のように凍りかけていた私の心は──


二人のお母様の温かい心に、そっと溶かされていった。

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