ババとの想い出
わたしの大好きなババ。
ババはいつも優しい。
小学2年生のわたしはいつもママの困る事ばかりしてしまう。
そんなわたしにママが怒ると、いつもそばに来てぎゅっとしてくれる。
パパがお仕事でしばらく会えなかった時も「大丈夫、パパはなっちゃんの事いつも大好きなんだよ。」って言って安心させてくれる。
そんなババとわたしはとても仲良し。
ババはよく一緒にお買い物につれて行ってくれる。
今日もババがお家までむかえに来て車でドライブしてくれる。
「ねえね、ババ。今日はどこに行くの?」
運転しているババを横目に見るのもわたしは大好きだ。
車で流れてる音楽は、家にいたら聴かないようなものばかり。
「今日はね、なっちゃんに見せたい物があるのよ。」
いつもきれいなお洋服を着ていて、首元には鳥さんのぶろーちをつけている。
凄くきれいな青い鳥さん。
キラキラ光るそれはいつもわたしの目を惹く。
「見せたい物?なあに、ババ!」
わたしはドキドキする。
「着いてからのお楽しみだよ。」
こう言う時のババはいつもイタズラな笑顔をする。
しばらくして、ガヤガヤと人がたくさんいる場所に連れてこられた。
「ねえ、ババ、ここはどこ?」
わたしは少し怖くなってババの手をぎゅうっと握る。
「大丈夫だよ、ここは宝石の展示会だよ。」
「宝石?」
「そうだよ、ババのこのブローチもここで出会ったんだよ。」
わたしは嬉しくなる。
「ほんと!じゃあ、わたしも同じ鳥さん探す!」
「危ないから、一緒に探そうね。」
今にも走り出しそうだったわたしの手を今度はババがぎゅうっと握る。
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「なっちゃん、泣かないでおくれ。」
見つけられなかったわたしは帰りの車の中でえんえんと泣いていた。
「もしあれば、と思ったんだけど逆に悪い事しちゃったねえ。」
ちがうの、ババ。
わたしがババの事大好きすぎるから仕方のない事なの。
ただ、ババと一緒が良かったの。
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それから1年後、ババは急な病で亡くなってしまった。
「なつみ、もう行くわよ。」
ババのお葬式でわたしは泣かなかった。
でも、そろそろ帰る頃なのにわたしがいつまでもそこを離れないから、お母さんは困っていた。
結局、パパに強制的に抱っこされてわたしは連れて帰られる。
お家に帰ってからは、わたしは自分の部屋にこもっていた。
その日の夜、もう遅い時間。
ママもパパも寝ちゃってる頃、まだわたしはひとり窓の外をながめていた。
「ババ、ババ会いたいよ。」
コンコンッ
窓から音がする。
わたしは何だろうと思って窓へ近づく。
「わ!!」
そこには、青く大きな鳥さんがいた。
「ババの鳥さんだ!!」
間違いなく、あのババが首元に付けていた青い鳥さんだ。
違うのは大きさだけ。
わたしは急いで窓をあける。
「鳥さん、鳥さん!ババの鳥さんだよね?」
鳥さんは大きくきれいな羽を広げてここへおいでと合図する。
「良いの?」
わたしは鳥さんの背中に乗る。
バサッ!!
その時、鳥さんは空高く飛んでお家がすぐに小さくなる。
「きれい!」
真っ暗な夜空に浮かぶキラキラ瞬くお星さま。
そんな夜空を明るく照らす大きなお月さま。
バサッバサッ
鳥さんは何も言わず前を向いている。
わたしもなんとなく黙って空の旅を楽しむ。
ひと通り飛んだあと、鳥さんはわたしのお家の近くの公園へおりた。
わたしは鳥さんからおりる。
「ありがとう。」
鳥さんのきれいな羽を撫でる。
すると、鳥さんは優しくわたしの顔に頬擦りをする。
「ババ!」
わたしはその時、我慢していたものが溢れて泣きながら鳥さんの大きな体を抱きしめる。
しばらくすると、鳥さんは鳴き声をあげて羽を広げた。
「もう行くの?」
わたしは叫ぶ。
まだそばにいて欲しい。
ずっとわたしの事を見守っていて欲しい。
鳥さんはまた声をあげて飛んでしまう。
「ババ……。」
鳥さんが空高く上がったその時、鳥さんの体からキラッと何か落ちてくる。
わたしは慌てて手を大きく広げてそれを取る。
「これっ!」
それは、ババの付けていたあのキラキラ光るきれいな青い鳥さんのブローチ。
わたしは大きく手を振って叫ぶ。
「ババ!ありがとう!ババ!大好きだよ〜!!」




