一時限目 青の広がる屋上で
秋。晴天の日のとある学校の屋上。
時刻は昼休み。普段から一人で過ごしている八代りなはいつもように、出入り禁止の屋上で昼食を取ろうと階段を上がっていた。
〈…ん?〉
〈なんか今日屋上開いてんじゃん…誰かいんのかな〉
いつもなら自分が開ける扉から、外の光が漏れていた。
誰かがいるのなら、あまり長居はしたくない。でも、屋上以外で過ごすのは落ち着かない。
仕方なく、金属の擦れる音が鳴っているにしては軽い扉を開く。
外の白に思わず目を瞑る。
青に慣れてきた頃に、改めて目の前を見る。そこにはレジャーシートを広げて楽しそうに昼食を取る三人の人間の姿が見えた。
制服につけているバッジを見るに、自分と同じ一年が一人と、一つ上の二年が二人いるらしい。
早く終わらせてあいつの元に帰ろう…と思い、刺さる視線を無視して扉の近くの柵の段差に座り、自分で作った弁当を出す。
そんなことをしている間も、視線は刺さったままだった。
この学校は人間も獣人も通う。草食動物の獣人も、肉食動物の獣人も、関係なくクラス分けされる。
あいつ…"カッピー"は、草食動物の獣人だから、ある程度周りとも馴染みやすい。だが、オオカミである自分は、肉食動物の獣人でもあり、何より凶暴という偏見が基本。
今日も、カッピーはクラスメイトとわいわい楽しくご飯を食べていることだろう。
いつもカッピーは自分を誘うが、きっとその後ろにあるあの目を、カッピーは知らない。
古臭い偏見で見られる目を。
惨めな気持ちになりながら、弁当を完食する。
獣人は人間よりも五感が優れていることが多い。
目の前の三人の話も、クラスメイトの聞きたくない話も、大体の内容が理解できるぐらいには聴覚も良い。
目の前の三人はどうやら自分のことについて話しているらしい。
〔オオカミなのかな?〕[耳としっぽの大きさ的にはそうだな]「うわ〜いいなぁ…」
などという声が聞こえてくる。
〔イブちゃん行かなくてい〜の〜?〕
「でもなぁ…急に言うのも…」
[名前だけでも聞いといたらいいんじゃないか]
「う〜ん…」
何か言われる。
その前に早く出なければ、と思い、少し焦りながら扉に手をかける。
「あっ!!」
突然の90デシベルに体が跳ねる。
「あの!!」
変わらず80デシベルぐらいの音が出ている方向を振り返る。
「クラス!何組ですか!?」
〈……は?〉




