八、
「今日は久々の勉強会だね!」
傷口は休日ですっかり治った。作った薬が効いたようだ。触ると少し痛みが走るけれど、我慢できる範囲。包帯を外しても見た目に問題はない。
よし、これで万事解決!
下駄箱に嫌がらせがなかったことを伝えると、睦美と大介は喜んでくれた。
勉強会を楽しみにしていた睦美は笑顔である。小夜もつい、口元がほころんだ。
「おまえ、最近表情ついたんじゃね?」
大介にごつっと蹴りを入れてやる。睦美はそれをも楽しそうに笑っていた。
放課後の足は軽かった。久々の勉強会。ふふ。
本が読める! 課題もできる! あーだこーだ言い合うあの二人と一緒に過ごせる。
下駄箱を開けて靴を取る。と、中に何かが入っていた。画鋲ではない。紙だ。
当然、ラブレターではない。
“五時、旧体育倉庫で待っています”
それだけ書かれていた。
果たし状かよ。
どうせあの三人だ。また数分で終わるだろうし、喫茶店へ行くのはいつもより遅くはなっても間に合う。無視すればまたぎゃぁぎゃぁうるさそうだし、仕方ないのでメッセージに従うことにした。
それは、誤った選択だった。
五時になる十分ほど前、小夜は旧体育館倉庫に着いた。早く片をつけたいのと、時間よりも少し早めに到着して相手を待たせたくない、という律儀な性格からだ。
待ち伏せしているかと思いきや、ドアの前には誰もいない。
そういえば前で待ってるとは書かれていなかったわ。
中にいるかもしれないと思い、ドアに手をかけると開いた。鍵がかかっていない。
入ってみる。
と、外開きの扉が、ばたんと閉まった。
旧体育館倉庫は、真っ暗闇になった。




