最終話 土蜘蛛
「師匠、完成しました!」
琢磨はその撫子の声で目を覚ました。粘土の大鬼の面の型は立派にしやがっていた。顎を前に突き出し、顔をへこませるので目付きがさらに鋭くなる。
ちゃんと鼻の穴から外を見ることができるので、ちゃんと神楽面として使う事が出来る。
「よおし、これに和紙貼って乾燥させるぞ」
和紙を何重にも重ねはり、綺麗に丁寧に面をつくっていく。一週間かけ乾燥させる。その間も和紙に入った空気を竹ヘラでしっかりと抜く。そして面をつくる工程で和紙面では必ずある脱活を行う。ハンマーで中の粘土をたたき割り、隅々の粘土を取り出す。
そして次に色を付ける。
初めに貝殻を砕いて混ぜた白い液体を面に塗りたくり真っ白にさせる。そしれから色付けをしていく、ちゃんとその目的にあった色を塗っていく。
そして、乾燥させ、被れるように加工し、髪を付け、角を付ける。
そうして完成した一枚の面を木箱に入れ、同好会に持ち込みをした。
みなの評価は上々、今年はこの面を使って舞うことになった。衣装といっしょに合わせて使うとさらに大鬼になり、迫力が増していた。
今日の練習を終え、琢磨と撫子が一緒に下校する。
そんなときのバスの中で、
「師匠、私、彼女っぽいことできてますかね?」
そう訊いて来た。琢磨は、
「俺は俺で彼氏らしいことは何にもしてないぞ、デートとか」
「デートなら家デートをしているじゃないですか」
「一緒にご飯を食べ、寝て、時間を過ごしている。これはデートではなく同棲ではないだろうか」
「し、師匠は結婚を前提に私とお付き合いをしたかったですか?」
恥ずかしがりながら撫子が言う。琢磨は率直に、
「俺は愛は結構重たいぞ、それでも俺と結婚を前提に付き合いたいか?」
「なんで逆に訊いてくるんですか!?……私も結構引きずったり、しつこいですよ」
「俺と相性はぴったりだな」
「体の相性はまだ決まったわけでは」
「コラ、まだ17だろアホ」
「師匠、私は結婚できますよ!」
「俺は出来ないんだよ、アホ」
「う、うぅ」
「まぁ、でも俺がお前の事を一人前でもう教えることがなくなったときに俺のことが好きなら結婚してやるぞ」
「師匠、神楽面に教えることの終わりなんて無いですよ。来年にも籍を入れましょうよ」
「だから、まだダメなんだよ」
「どうしてですか、師匠!来年は18じゃないですか」
琢磨は静かに見つめて、
「結婚してくださいってのは俺の口からちゃんとした場所で伝えさせてくれ」
バスに差し込む夕日が二人のシルエットを映し出す。これぞまさにロマンチックと言った感じだ。
これでこの物語は完結といったところだ。ふたりがこのあとどうなったのか。三年後の琢磨と撫子の家では元気よく泣く子どもの声が聞こえていた。
夜になると蛍の光を見て、高校の頃を話していたよ。
結論から言えば完全不燃焼と言ったところです。もう少し神楽面について書きたかったし衣装もまだ、神と賊、姫といった様々な登場人物の衣装を書きたかった。
実際は葛城山・土蜘蛛編の次も考えていたのですが、友達にこの小説を読んでもらったところ厳しい言葉を頂き、書き直したいと思い立ちました。
石見・広島神楽関係の小説は夏から秋くらいに投稿したいと思っています。
六月一日からは新シリーズを投稿いたします。
只今、神楽面を創作中を読んでくださいました読者の皆様、今後とも蛇乃目 茶々をよろしくお願いいたします。
※作者が学生の身分でありまして、課題の山に投稿が遅れる、忘れるといったミスが多発しました。本当にすみませんでした。多分、いや絶対、十中八九、このミスを繰り返してしまう可能性は高いです。ご了承の上、私、蛇乃目 茶々の小説をお楽しみください。誠に申し訳ございませんでした。




