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只今、神楽面を創作中  作者: 「」
神楽面と高校生と美少女と
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第一話 高校生の朝は早い

「さて、今日も作業を始めますか」


 朝日がまだ昇らない早朝。山奥にある家で一人の青年、甘噛あまかみ 琢磨たくまがぐっと背中を伸ばした。天然パーマでショートカット、そこそこの顔立ちで若さがある。浴衣のような作業着、作務衣を身に着け、神楽面の制作を開始する。

 琢磨は敷地内の蔵から赤土の粘土を取り出し、室内にある作業室に持っていく。そこには数多くの石膏の型があり、その中から鬼面の型と女面の型を取り出した。

 赤土の粘土を平たくして鬼面に合わせて詰める。そして、はみ出した余分な個所を取り除く。

 次に女面の型にも同じように詰める。そして、二つとも取り出し、型の形を手で自分が想像する鬼、女面を創り出す。

 自分が納得できる形になったところで朝日が見えてくる頃になった。面を乾燥させるために朝日が当たるように面を長椅子の上に置く。

 作業がひと段落したころで、汚れた手を水で洗い、台所へ向かった。

 炊飯器の中にあるご飯を茶碗に盛り、お椀に作り置きしておいて温め直した味噌汁をよそった。作業前にオーブンで焼いていた鮭をお皿に取り出し、冷蔵庫から麹漬けの胡瓜を取り出して切り皿に盛りつけた。

 それを食卓に持って行き朝ご飯を食べた。

 時計を見ると午前五時半。食べ終え、食器を流し台に持って行き作務衣から制服に着替えた。リュックサックを背負い戸締りをして、自転車に跨った。そしてバス停に向かって漕いだ。

 バス停に着くと駐輪場に自転車を置く。丁度良く止まっていた目的地行きのバスに乗り込み座席に座り、揺れに身を任せ、寝息を立て始めたのだった。

・・・

 一時間後、午前七時半に目的地であるバス停で目を覚まし、バスを降りた。そして、ぐっと背伸びして、目的地に向かって歩き出した。

 四月の新学期。桜が咲き乱れた道を歩き、到着した。数多くの人がおり、琢磨と同じような制服を着ていた。目的地は高校だった。

 琢磨が通う高校は市内で唯一の総合学科の高校で毎年受験で定員オーバーするほどの人気な高校だった。

 琢磨は総合学科の中で普通科を選択している。普通科の他にも福祉科、電気情報科、機械科、ビジネス科がある。

 琢磨は生徒玄関に向かい靴から室内シューズに履き替えた。そして、下駄箱の側面に貼られているクラス表を見て自分のクラスを確認した。クラスは『い、ろ、は』で分かれて、琢磨は『2-は』だった。

 確認を終え、自分の教室に向けて歩き出した。三階にある一室である『2-は』に入り、自分の席に着席した。

 窓際の席で窓が開いており春風が琢磨をくすぶる。あまりにも気持ちよくて朝会があることを忘れ眠ってしまった。

・・・

 琢磨の目が覚めるとHRが終わりかけていて、目覚めたばっかりで視界がぼけていた。その中で黒板に目をやるとクラス委員長という文字の隣に『甘噛 琢磨』と書かれていた。それを見た瞬間、琢磨の視界ははっきりとした。


「よし、これにてHRを終わる」


 去年と同じ担任がHRの終了を告げていた。

 琢磨は急いで担任の元へ向かった。


「ちょっと、先生、あれってどういうことですか!?」

「あれってなんだ。ちゃんと要件を言え」

「俺がクラス委員長って肩書きのところですよ」

「あ、あーあれか。誰もするやつがいなくてな、私の推薦とクラスの満場一致できまったんだよ」

「満場一致ですか…てか、何んで俺を推薦したんですか!」

「お前は朝会をほっぽかして寝ていた罰だよ」

「起してくれれば」

「いや、ぐっすりとあまりにも気持ちよさそうに寝ていたのでな起こすのは悪いと思ってな」

「いや、悪くないです。授業中みたいにちゃんと起こしてくださいよ」

「私は仕事とプライベートを分ける人間なのだよ」

「授業は仕事でHRはプライベートだと」

「その通りだ」

「いや、HRも授業の一環だと思うのですが」


 と言いかけたときに顔すれすれに拳が飛んできた。


「空気を読むことを覚えようか……」


 担任は満面の笑みなのだが、その笑みの中に殺意が含まれているのがひしひしと伝わってきた。


「いや、空気を読むことは関係がないんじゃ「勘の良い餓鬼は嫌いだよ」

「どこぞの錬金術師のセリフじゃないですか」


 多分、ジェネレーションギャップで担任のネタと合うのは数少ない一つである。

 それより、どうにかしてクラス委員長を辞退しないと。と考えていた琢磨の表情を見た担任が、


「そういえば知っているか。クラス委員長になって学校に貢献し続けると所属している部活の部費が増えるのと必要なものを部費関係無しに買える権利があるのだが、それを手放すのはかなり痛いと思うのだが、君がそういうのなら辞退を認め「やります。全力、誠心誠意、真心込めて頑張らせていただきたいと思っております」


 担任の言葉を遮り、琢磨は宣言した。


「よぉし、それではクラス委員長として一年間頑張ってくれよ」

「了解です!」


 琢磨は担任に敬礼をした。

 今日はHRで終わり。琢磨は軽い足取りで帰路についた。

 担任は二学年階室に戻り、席に座る。


「嘘はついてない」


 担任の机の上にある一枚のプリントに、


 部費はアップし、部費関係無しに必要な部活動用具をを購入できる。

 ※しかし一万円以内


 と。

 読んで頂きありがとうございます。自分が今まで書いた作品は中途半端に止めてしまったものが多いですがこれだけは完結させたいと思っています。異世界推しが強い中で頑張っていきたいです。

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