第二話「異世界」
「???世紀 ?月?日 不明」
「隊長!!」
聞こえる必死な叫びもむなしく、猛烈な寒さの後に私は意識を失った。
何もない虚無の空間、手足の感覚もなく何も見えない永遠に続く暗黒。
どれだけの長い時間、この空間にいるのかはわからないが次第に暑さを感じるようになった。
それは、我慢できる暑さだったが次第に全身を炎で焼かれるような強烈な痛みに変わっていったが、意識を失うことはなく延々に苦しむことになった。
そして、延々と思われる時間も終わりを迎えた、目が覚めて自分の体の感覚もある。
私はついに自分が生前の犯した罪に対する贖罪が終わり地獄から解放されたと思い安堵した。
久しぶりの陽の光で目がくらみ、目がよく見えない。
「目が覚めたか、まさか成功するとは思わなかった」
何者かが私に話しかけてきた。
次第に私の目は陽の光に慣れてきて話しかけた人物の姿を確認することができた。
顔は髭を生やした渋い顔の30代から40代の男性のなのだが体は小さく子供のようで体に合った科学者のような白衣を着用していた。
私は全裸で眠っていたようだった。
起き上がろう体に力を入れるが動かない。
「永い眠りから目覚めたばかりだ、時期に体が動くようになる」
謎の男は背負っていたリュックを下すと中から服や銃を取り出し、私の足元に置いている様子だった。
「我々はこの世界について知りすぎたが、あまりにも無力だった」
男は取り出した銃を拾い上げ動作を確認し、銃を通常分解してメンテナンスしながら私に話し続けた。
「君には力がある、世界を変えることのできる知識と文字通りの力がある」
彼は銃のバレルを掃除し、各部に注油して作業が終わりると分解とは逆の手順で組み上げて再び足元の服の上に戻した。
「君が世界の全てを知った時に再び再開するだろう、その時に我々にどちらの側についくか教えてくれ」
彼はリュックを背負い足元の服と銃に指をさした。
「これは我々からの選別だ 好きに使ってくれ」
彼は腕に装着している端末を操作すると体がだんだん透明になり、奇妙な音とともに目の前から姿が消えた。
おそらく瞬間移動装置の類だろう。
しかし、モノを送るタイプの瞬間移動装置が開発されたのは知っていたが、もう人間や生き物を送るタイプが存在していたのは初めて知った。
「我々?」 「世界の全て? 」 「再開?」
彼はいったい何者で意味の分からないことを言っていた。
少ない単語で推理しても何もわからない。
ここはどこで、何をしたらいいのかもわからないが、とにかく体は動くようになった。
足元にある服を手に取り確認した、それは国連軍の後方支援部隊用の作業用の長袖のOD色シャツとカーゴパンツだった。
私は着替えてから銃を手に取り確認した。
この銃は何度も扱ったことがある国連軍の正式採用拳銃HG-256A2 10mm hammer pistolだった。
この拳銃は対ボディーアーマー用に開発され貫通力ではなく打撃力に特化した銃で凄まじい衝撃で対象の内臓破裂や骨を粉砕することを目的にした恐ろしいものだ。
強力で大きな10mm hammer弾を使用するためグリップ内にマガジンが収まらず、二度の世界大戦で使用されたマウザーC96ピストルのようにグリップとトリガーの前方にマガジンを付いた独特なデザインをしている。
マガジンは7連発のショートマガジン、12発のノーマルマガジン、20発のロングマガジンがあり、弾は対人用のFMJ弾とロボット兵器・装甲目標向きのAP弾が一般的に支給されている。
12発のノーマルマガジンが装填済みで安全装置がかけてあったの。
私はスライドを操作してプレスチェックを行った、チャンバーには赤いライン塗装がされた弾がありAPが装填されていることを確認した。
次に私は安全装置を外し試しに1発撃ってみた。
動作は良好で問題はなさそうだ。
彼は国連政府の研究者だったのか?
私は銃を手に取り、他に人がいそうな場所を探しに出かることにした。
辺りは深い森の中で長い年月により朽ち果てたコンクリートと思われる建物が多数あり、多くは壁や天井が錆びた鉄筋だけで繋がって辛うじて形を保っている状態だった。
私は建物の中に使えるものがないか探索を開始した。
中は崩れたコンクリートの塊があるだけで使えそうなものはなかった。
そして、しばらく探索を続けていると人影のようなものが見えたので急いで向かうと、そこには異形の怪物がいた。
身長は2メートル程の全身が磨かれた金属のような人型の怪物が錆びた鉄筋を貪り食っていた。
手持ちの武器は弾も残り12発しかなく、この得体も知らない怪物と戦って勝てる見込みもない、私は静かに気づかれないようにその場を離れようとしたが、怪物は私の存在に気づき襲い掛かってきた。
怪物は私の頭にめがけて巨大なハンマーのような腕で殴り掛かってきたので、しゃがんでその攻撃をかわしてから頭に銃弾を3発撃ち込んだ。
しかし、怪物の体は硬く3発の銃弾は跳ね返った。
跳弾が近くにあったコンクリートの壁に当たり、壁が粉々に粉砕された。
怪物は何事もなかったように手を振り回していた。
私は確信した、この怪物には、この銃では太刀打ちできない。
10mm hammer弾を至近距離で撃たれて無傷なのだ、仮にロボット兵器や機械装甲化歩兵だとしても内部には凄まじい衝撃が加わり致命傷を負ったはずだ。
しかし、この怪物は平然と動き続けていることから、見た目の何倍以上の装甲があるか、強力な衝撃吸収装置の類が内部にあることが考えた。
この化け物を倒すには形成炸薬弾が必要だろうが今は手元にはない。
今考えられる一番の策はこの場から逃げることだ。
私は怪物の連撃をよけながら隙を伺い走り出した。
怪物は私を追いかけてきたが足は遅いようでその姿はどんどん小さくなり、逃げ切ることに成功した。
深い森の中で彷徨っていると近くで女性の悲鳴が聞こえた。
私は急いで声がする方向に向かった。
まだまだ序盤なので意味不明ですが全てがいずれ繋がります!!
期待してくださいね!!
勃起!!