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ゲームショップへ

 静は今電車に揺られている。


左手にはキレイ系美少女の灯が。


右手には可愛い系美少女の仄がいる。


ハーレム状態に、幸せ過ぎて心の中で悶える反面、





―俺は明日死ぬんじゃないか…?





と、死亡フラグに恐怖する静かであった。





 何故この状況になったのかと言うと、時は少し遡る―。





 木曜日の放課後、何とはなしに言ったセリフから始まったのだ。


「自分でも面白いボードゲームを買ってみたいですねぇ。」


「それならば私がショップまでご案内して、面白いトコロをチョイスしますわ~。」


挙手をし、名乗りを挙げたのが仄だった。





 ちょっとした希望で、今すぐどーの という話をしたつもりは無かった。


ついでにショップの存在も、静の頭の中にはなかったので、ネット通販するつもりであった。





「ハイハーイ! 私もお店行きたい! 土曜日空いてるけど、仄ちゃんはどお?」


「私も大丈夫です~。では土曜日で~。」





―俺の都合は?





と一瞬よぎったものの、実のところ特に予定はない。


まぁいっか、皆で買い物行くのも楽しそうだ、とすぐ気持ちを切り替えた。


「坊坂君は?」


灯が声を掛けると


「ゴメン。土曜日は妹と一緒に父さんの誕生日プレゼントを買いに行くんだ。」


と返ってきた。





―イケメンの上に妹属性があるのか…。





ちょっと羨ましく思いつつ、でも女の子2人に囲まれて行けることに心の中で万歳した。





 そんなわけで、3人でお買い物に行くことになったのだ。


「ここで降ります~。」


目的駅に着いて少し歩くと、こじんまりとしたお店が現れた。





「いらっしゃいませ。」


店員さんに声を掛けられつつ扉の先を見た。





 「うわっスゲェ…。」


資料準備室Ⅰにもたくさん置いてあるが、きっちり収納されているのに対し、ゲームショップは見せるためのディスプレイが施され、カラフルな場が広がり、どれも面白そうだ。





 「何かキラキラだねぇ~。」


無邪気に喜んで笑顔を向けてくる灯に、静は内心ドキドキだ。


「そ、そうですね。綺麗ですね…。」


「目移りしちゃうね。こっちも可愛いし、これも面白そう。」





―ウキウキしている道垣井参拝も可愛いです…。





 「店員さんにオススメを訊くのも良い方法ですが、今回は私が灯ちゃん向きと、夢川さん向きをいくつかチョイスしましたよ~。」


買い物で目を輝かせている女の子は可愛いな…と思ったのも束の間、静は”女性の買い物に付き合う”ということの真実をこの後思い知るのだ。





 「この『マジェスティ』は『宝石の煌めき』のデザイナー、マーク・アンドレの作品で夢川さんの好きな”拡大再生産”ですよ。こちらの『オーマイグーッズ!』や『センチュリー:スパイスロード』もお手軽でオススメです~。」


仄がアレもコレもと薦めてくる。


たいへん有り難いが、試しに1~2個買ってみよう と思っているからそんなに薦められると逆に迷ってしまう。


仄が灯の側に移動した隙に店員さんにコソっと訊ねてみる。


「すみません…。1人でも出来る”拡大再生産”ってヤツのオススメってどれですか?」


「はい。1人から遊べるものも多いですよ。人気は『カヴェルナ』、『テラフォーミング・マーズ』、『大鎌戦役』、『コロニスト』ですね。」


(何この箱の厚み! そして高っ!)


「こちらの『ハーバー』や『ダイスシティ』は先程挙げたものよりぐっとルールが簡単になるので入門用に良いですよ。」


こちらの顔色を見てすぐに簡単・安い方に切り替えてくれた。


いい店員さんだ。


結局静は、仄オススメのバージョン違いである『センチュリー:ゴーレム』と、店員さんに説明を聞いて分かり易そうに感じた『ダイスシティー』を購入した。





 「…まだかな。道垣井先輩…。」


灯は『ミープルサーカス』『ミラリス』『王の請願』『ガンシュンクレバー』でかれこれ1時間決めかねている。


それから30分後にようやく『ミープルサーカス』と『ミラリス』に絞り込んで購入したようだ。


灯の買い物が長かったので、思わず喜んでテラス席に腰を下ろす静。





 「近くのカフェで休憩しましょう~。」


しかしこの後、静は口をはさめない、女子トーク90分耐久レースの幕開けとなるのだった…。





 「芸北先輩、道垣井先輩、今日はありがとうございました。」


「いえいえ~。」


「また行こうね~。」


2人との買い物は凄く嬉しかったしとても楽しかった。


が。


(次行く時は坊坂先輩と行こう…。)


もしかすると妹をダシに旨く逃げたのかもしれないな と静は思うのだった。

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