アクションゲーム
「今日は皆とプレイしたいゲームがありますっ。」
そう口火を切ったのは灯だ。
「この前ゲームショップで買った『ミープルサーカスでーっす。』
そうして取り出したのはおよそ30㎝四方の箱だ。
「道垣井先輩、コレ持ってきたんですか? 大丈夫でした?」
なかなか大きな箱なので、教室に置いておくには目立つだろう。
「朝、土井先生に準備室Ⅰを開けてもらってここに置いておいたの。だから教室には持っていってないよ。」
「ああ…。そうだったんですね。」
教室に持っていくと、さすがに没収されそうな気がしたので安心した静。
『ミープルサーカス~Meeple Circus』
作者:セドリック・ミレー
販売:Matagot /2017
目的:2回の予行練習と最後の本番で、お題と曲に合わせて曲芸を披露し、高い評価と得点を得よう。
手順:1.使用する演目と曲芸師駒を獲得。
2.公式サイトに用意された曲をかけ始め、一斉に演目に合わせて曲芸師や動物の駒を配置。
3.駒を積み上げ終えたら、早く積み上げ終わったか、客の期待に沿っているかなどのいくつかの条件から採点。
4.多くの拍手喝采を浴びたサーカス団が勝利。
「積み木?みたいなゲームですか?」
「うん。こういうボードゲームは”アクションゲーム”になるね。」
「アクションゲームってのもあるんですね。」
静はまたまた初のジャンルであるため、土井先生に投げかける。
「うん、小さい子向けなゲームにはけっこう多いんだよ。積み木みたいに木製の駒を組み上げる直感的なバランスゲームとか。」
「へぇぇ。可愛らしいですね。」
「大人同士で遊ぶとけっこうエグイんだけどね…。『ヴィラ・パレッティ』とか…。』」
次の手番のプレイヤーが困るような戦略を働かせることが出来るらしい。
「へぇぇ。怖いですね…。」
「基本的には子供から大人まで気軽にプレイ出来て楽しいよ。手先の器用さは問われるけれどね。」
年齢問わず遊べるゲームなんてステキだろ? と先生は笑った。
「ちなみに”ミープル”って何ですか?」
「人型の駒のことです~。ボードゲーム界では色々なゲームを通してよく使われる言い方ですの~。」
人、動物、小道具…たくさんの木製駒がある。
象やラクダなんかも造形が可愛らしいが、派手な衣装を着たシールが張られているミープルは一際目を惹く。
サーカスの花形といったところか。
「ミープルの色と置き方の組み合わせで得点が変わるのは『ブループリント』を彷彿とさせるね。」
「そうですね。あれはダイス(サイコロ)ですが。」
何!? 『ブループリント』って!?
「じゃあ道垣井さんからどうぞ。」
順番に演目、もしくは複数の駒が描かれたタイルを取っていく。
静は象が小さな台に乗っている演目と、ミープルとボールを取得を選択した。
「じゃあBGMかけるね。」
灯がこのボードゲーム専用アプリをインストールしておいたらしい。
「曲を使うゲームなんですか?」
「うん、演目のポーズを取るまでの制限時間を表してるみたい。」
「多くのアクションゲームは砂時計を採用しているけれど、このゲームは”サーカス”という雰囲気を出すためBGMにしているんだねぇ。」
「凝ってますねぇ。」
土井先生に同意する猛。
校内のため、音は控えめなボリュームにしておく。
「BGMが楽し気でサーカスの雰囲気出てますの~。」
「軽快な曲だね。」
楽しい雰囲気は女性2人にとてもウケが良い。
「…けっこう組み合わせ難しいな…。」
取った演目と駒を組み合わせるのに苦戦中。
手先が器用で無いと倒すこともあるが、”ミープルの置き方で得点の有無が左右される”ということに大苦戦だ。
「夢川さんは器用ですね~。」
得点を絡めた置き型には苦労するものの、静は駒を置く事自体は早くて正確だ。
因みに猛はけっこう手がプルプルしている。
…あまりアクションゲームは得意ではないようだ。
「これは完成予想図を描いて駒や演目を選ばないとダメなんですね。」
「ワーカープレイスメントとかも最終形態を描いて進めると良いんだよ。」
土井先生に少し生暖かい目で見られてしまう静。
ただ手先の器用さが幸いして静は初トップを飾ることが出来た。
「おめでとう、夢川君。お友達と遊ぶ際、アクションゲームも良いかもね。盛り上がるよ。」
確かにこのジャンルは勝てそうだが、何となく負けた気がする静であった。
イメージが掴みやすいよう紹介ページへのリンクを用意しました。
ページ中間付近に動画もあります。
MeepleCircus
https://boardgamegeek.com/boardgame/193214/meeple-circus
サーカス時に使用するBGMサイト
http://www.matagot.com/meeplecircus/