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ゲームのタイプと楽しみ方

 今日の資料準備室Ⅰは女性陣2人がいない。


駅近くに新しいスウィーツ店がオープンしたとかで、団体で食べに行っているらしい。





 静は丁度良いと思い、土井先生と猛に、先日中学時代の友人に会い、ボードゲームに誘ってほしいと言われた旨を話した。


「T大生がやっていたってのは『ナインタイル』だね。お題にあるシンボルの組み合わせを素早く作るスピードパズルゲームだよ。」


9枚のタイルの表と裏に、異なるシンボルが描かれており、よく考えて配置しないとなかなかお題に辿り着けないらしい。


「…俺はちょっと苦手かもしれないです。」


ある程度はイケると思うが、津村に通用する気がしない。





 「運と戦略の要素が程よくあるボードゲームが楽しいと思うよ。」


津村の高校名を聞いて『ダイスシティ』勝負はまだ早い と察してくれる土井先生。


嬉しいような切ないような。





 「それならタイルゲームが良いかもしれませんよ。タイルめくりは運で、配置は戦略でしょう?」


猛のオススメはドイツゲーム大賞を取った『カルカソンヌ』と『キングドミノ』だ。


 『カルカソンヌ』は、2000年に発売されて今も世界大会が行われているゲームで、道を砦を繋げて作り、その大きさや長さで得点を競うゲーム。


 『キングドミノ』は、2エリア描かれたドミノタイルを、5×5マスに高得点になるよう配置する(王国を作る)ゲームということだ。





 「心理戦も良いんじゃないかな? 深読みが裏目に出たりして面白いよ。」


土井先生のオススメは『ババンク』と『コヨーテ』だ。


 『ババンク』は、カジノがテーマで、任意でチップを掛けたテーブルに、それぞれ”ダミー”や”横取り”などのカードを付けて他プレイヤーを揺さぶり、お金を多く貰った者価値のゲーム。


 『コヨーテ』は、自分の数札を見ないよう額辺りの高さで持ち、周囲の数札を見、周囲の合計宣言から自分の数札を予測して、合計を言い当てるゲームだそうだ。





「ダイスゲームは皆で楽しめて良いですよね。」


確かにサイコロを振るのはいちいち熱が入って楽しい。


猛のオススメは『ブラフ』と『街コロ』だ。


 『ブラフ』は、名前の通り、サイコロの中のある出目が、全体に何個あるのかを予測し、ハッタリを掛けつつ予想数を吊り上げていくドイツゲーム大賞受賞作品。


 『街コロ』は、サイコロの出目に応じてお金を獲得し、施設を建てていき、施設の効果なども使ってゴールとなる大型施設の早期竣工を目指すドイツゲーム大賞ノミネート作品だ。





ただ、自分の戦略のみでゲームを進めたいプレイヤーだと、ダイスゲームを敬遠する場合があるとのこと。





 「相手に負けたくないなら、協力型ゲームもいいんじゃない?」


皆で一つの目標を達成出来たら勝ちらしい。


土井先生のオススメ『パンデミック』は、世界に蔓延しそうな新たな感染症を防ぐため新型ウィルス対策チームの一員となって、ワクチンを完成させウィルス根絶を目指すゲーム。


『EXIT』は謎解き脱出ゲームで、皆で知恵を絞って進めるので、人数が多いほど良いとのこと。





 「ただ脱出ゲームはスマホのゲームを同じで、一度プレイすると攻略法が分かってしまうから、1回しかプレイ出来ないボードゲームなんだ。」


「えっ? 1回遊んだら終わり なんてゲームもあるんですか?」


確かにスマホの脱出ゲームは一度クリアすると二度とやらないけれど―。


静はボードゲームは繰り返し遊べるものだと思っていたので、これは衝撃的な話だった。


「スマホ等の脱出ゲームの流行りから生まれた最近出てきたタイプのボードゲームで、昔は無かったよ」


と先生。





 「しかし本当に色々なボードゲームがあるんですね。」


準備室Ⅰの棚に並んだボードゲームの数や、ゲームショップの品数からとてもたくさんあるな とは思っていたが、遊び方…協力するとか心理戦とか、静の思いもよらない方法で遊べるものなんだなと、しみじみ感心していた。





「ゲームデザイナーのアイディア次第だね。ボク達は面白ければ何でも受け入れるし。」


「受け入れ幅が広いのも、ボードゲームの良いところなんでしょうね。」


土井先生がニコニコしながら頷いた。





 「夢川君、友達と遊ぶまでに、一度ゲームショップに一緒に行こうか? 先日は行けなかったし。」


「…はい! よろしくお願いします、坊坂先輩。」


猛の有難い申し出に、静は赤べこのように首を縦に振る。





 「じゃあちょっと『トマトマト』でもやろうか?」


「…トマトマト?」








『トマトマト』





作者:Taisei Kato


発売:オインクゲームズ/2018


目的:「トマト」「的まと」「魔ま」「戸と」のカードをむくった順に並べていき、言葉がつかえないよう順番通りに言う活舌ゲーム。


手順:1.裏向きにした山札を1枚めくり、表向きにして並べていく。


    2.並んだカードに書かれた文字を全て読み上げる。


    3.途中言葉が詰まったプレイヤーが出たら、そのプレイヤー以外は場に並んだカードから1枚取って自分の手元に置く。


    4.最終的に手元にあるカードで「トマト」の単語を多く作れたプレイヤーが勝利。





 「マトマトトトマトママトマ…マ…。」


「はい、夢川君、ミスー。」





本当に色々なゲームがあるのだな と静は改めて思うのだった。

イメージが掴みやすいよう紹介ページへのリンクを用意しました。


トマトマト

https://boardgamegeek.com/boardgame/256479/tomatomato

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