第3話 訂正中
「???」
気が付くと病院らしき場所で横になっていた。
僕は[改 春樹]意識ははっきりしているようだった。
そもそもなぜ自分はこんな所で寝ていたのだろうか・・・・・・
「・・・・・・」
そうだ、友達と話に夢中になっていてそれで横から車が来たことは覚えている。やはり跳ねられてしまったと考える線が当たっているだろう。
それにしては体は動くし、車にはねられた割に言うほどの痛みは感じない。
「いててて・・・」
腰を中心にあちこち少し痛いが目立った外傷は両足の包帯だけのようであった。
まあ、動ける範囲だな、この調子ならあいつも無事かな。
周りを見るとデジタル時計があったので目を細めて見ると4月13日だった。約1日寝ていたようだ。
1日何もお腹に通していなかったのでかなりお腹がすいていた。
その日の夕食時になると看護婦らしき人が病室の戸を開けて入ってきた。看護婦の女性は微笑みながら僕に話しかけてきた。「目を覚まされたのですね。元気になって何よりです。」と僕に言ってきた。
僕は起きた時からの空腹感があったので起きて早々に食事を頼んだ。
しばらくするとさっきの看護婦の女性が戸を開け入ってきた。
お腹はすいていたので自分の経緯を聞くことは後回しにして早速食事を食べることにした。
病院食なので味は薄目であったが、なにせ昨日の事故後からろくにお腹にものを入れていなかったのだ、とてもおいしくいただくことができた。
「いただきます言ってなかったな、ごちそうさまでした」
看護婦の女性は「おさげ致しますね」と一声発し病室を後にし用としていた。
様子見も兼ねてか僕が食べ終わるまで看護婦さんはそばにいてくれた。
僕は聞きたいことがあったので「あの!」と声をかけた。
「はい、なんでしょうか?」
「あいつはどうしてますか?」
「・・・・・・」
「・・・え?」
「・・・大変申し上げにくいのですが 上原 智くんはお亡くなりになられました」
「・・・え?・・・・・・うそ・・・ではないんですよね・・・・・・。」
「・・・ええ」
「そう・・でしたか・・・・・・」
僕はそう言いつつ涙を流していた。
会って一週間と経っていない友達だったがどうしようもない悲しみがこみあげてきた。
その日は泣き続け疲れて寝るまでそうしていた。
次の日、起きた時熱っぽさを感じつつも目を覚ました。昨日聞いたことは今でも信じたくはないが、幾分か気分を落ち着かせることはできた。そうか本当に死んでしまったのか・・・。
これが悪い夢じゃないかとも疑ったが事実が変わることはなかった。昨日は泣き疲れるまでずっと泣いていたため鼻が詰まり体の痛みとも一緒になってすごくだるかった。時計を見るともう8時を回っていた。
少しすると、昨日と同じ看護婦の女性が僕の病室に食事をもって入ってきた。「大丈夫でしょうか」と困ったような申し訳なさそうな顔で訊ねてきた。「大・・・丈夫です」と言ったあと「一人になりたいので食事が終わったらしばらく入ってこないでくれませんか?」と少し強い口調で言ってしまった。看護婦の女性のせいであいつが死んだわけではないなんて分かってはいても人に感情をぶつけなければ耐えられなかった。看護婦の女性は「はい」と言い、僕が朝ご飯を食べ終えると静かに出て行った。朝ご飯の味は最悪だった。きっと本来の味はまずくはないだろうが、今日はまずく感じた。病室の毛布をかぶりその日は食事以外の時間そうして過ごした。