プロローグ
新作です
誤字や脱字があれば遠慮なく言ってほしいです
__皆さんはご存知だろうか?
直径にして40mm、重量はたった2.7gの手のひらサイズの球が高速で行き交う球技を
それは、19世紀のイギリスにて誕生した。
事の始まりは、雨で練習ができなかったテニスプレイヤーが室内のテーブルで練習したのが始まりだという。
その球技は、やがてイギリスで大流行することになる。流行はやがて海を渡り、日本にまで伝播した。それが、今からおよそ1世紀以上も昔の話だ。
技術革新が起こり、最初はテニスラケットを小さくしたものに子羊の皮を張っただけだったラケットも、今では数枚の木材を組み合わせ、その上にスポンジを使ったゴム製のラバーと呼ばれるシートを貼り合わせた物へと進化していった。
道具が進化すれば、それを扱う選手は更に技術を磨き進化していく。また、ルールもそれに倣うように最適化されていき、現在では世界各国で楽しまれるスポーツとなった。
その球技__〝卓球〟は、主に二つ、ラケットの握り方がある事をご存知だろうか?
__まず、一つ目は〝シェークハンド〟と呼ばれる握り方。ラケットに対して握手をするように握るソレは、その扱いやすさから現在の卓球の主流、と呼べるほどに広く普及した。その普及率は凡そ8割ほどにまで登る。
__そして、残りの2割ほどのプレイヤーが愛用している握り方がある。その握り方は、まるでペンを持つように握ることから、こう呼ばれている……
…………〝ペンホルダー〟と
略してペンと呼ばれることが多いその握り方は、卓球の技術が進化していくにつれて淘汰されるように姿を消していった。
だが、忘れてはならない。
例え、主流では無くとも、人口が2割ほどだとしても、彼らは確かに熱く闘っている、ということを
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__初めて経験する感覚だ
押しつぶされそうな程のプレッシャー、何もしていないにも関わらず湧き出る汗に騒がしい会場。
周りを見やれば、期待と緊張に満ちた視線が俺に集中している。
「行ってこいよ、大将!!」
「気張れよ!」
「……がんば」
「全力で頑張ってきてください!!」
ふと、視線を落とせば小刻みに震えている手が目に入る。
「怖いか? まぁ、初の晴れ舞台だしな。勝て! 、と言いたいところなんだが……全力で楽しんでこい!」
____あぁ、でも何故だろうか。不思議と心地がいい
プレッシャーと責任感で押しつぶされそうだ。だが、それ以上に感じるのは、そんな些事を押し退けふつふつと湧き上がってくる圧倒的な昂揚感!
震えはもう止まっていた。周りの雑音も不思議と遠ざかっていく。
何かに後押しされるように足を一歩踏み出す。また更に一歩、一歩と突き動かされるかのように歩を進める。
「……久しぶりだな。友禅」
「うん。久しぶりだね、歩夢」
それ以上、二人の間に言葉は必要なかった。
__俺は小さい頃からあまりスポーツが好きではなかった。どちらかと言えば、スポーツを全力でやっている人間を冷めた目で見ていたほどだ
__なぜ、そんなに必死なのか、と
これは、そんな俺があるスポーツに出会うことから始まる何処にでもあるような、そんな物語。
「__それでは、これより時雨ヶ丘高校VS南城高校。大将戦、第5試合目を開始します」
「「お願いします!!」」
全てのきっかけは、ちょうど今から半年ほど前になるだろうか。
俺が、人生を変えたと言っても過言ではないスポーツ__
____卓球と出会ったのは
読んでいただきありがとうございます。
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