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傷あと

作者: 青埜 漠

『傷あと』


いろいろなことができなくなり

たくさんのものを失って

何もかも忘れたとして

私に残るものは

何だろうと考える


それは

きっと

私の躰と心に刻まれた

無数の傷あと


日々の仕事が

出会った人たちが

触れた事々が

知らぬ間に作った

深い浅い傷あと


その醜い

引き攣れの奥で


遠く 近く

潮騒のように

常に

疼きが

鳴り続けている


それは

打ち寄せる波に似て

強く 弱く

私を揺すり

そのたびに

濃く淡く

苦い水が

胸を浸す


やがて

傷ついたわけを

思い出せなくなっても

魂がれて

亡骸になっても

傷あとは

それだけは

決して癒えることなく

残っているにちがいない


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