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滋賀作。

 今回の日記は、京都のお隣の県である滋賀県に住んでる滋賀県人とわたくしをはじめとする京都人との不毛な戦いについてお話いたします。題して京都VS滋賀って感じかな。関西に住んでる方ならお分かりになるかものなのですが、京都と滋賀の不毛な戦いの大部分は京都人の滋賀県民に対する偏見が原因なんです。具体的に言いますと、京都の人間は平安時代に都があってから、ずっと都人としてのプライドが高く、京都以外の地域の人間を小ばかにしてる風潮があります。いまだに、東海道新幹線の東京行きを「上りというのは間違いや、東京行は下りやろ」や「首都は京都やでー」、天皇陛下は「ちょっと東京に出かけてるだけ」と思ってる方も少数になったといえ、おられるのも事実です(ほんまかいなー)。そういった選民思想があるものですから、お隣の滋賀県に対しても一方的に当たりが強く、何かにつけて小ばかにしてるのが発端なんです。そういった意味では、わたくしの嫁さんなんかも生粋の京女でして、滋賀県民に対して、いけず(意地悪)だったりします。たとえば、京都市内で滋賀県ナンバーの車を見ると、「このゲジナンめーとろとろ走りくさって」と親の仇ならぬ過剰な反応みせたりいたします。あ、ゲジナンってのはナンバープレートに書かれてる滋賀の滋の字が毛虫のげじげじに似ているから京都市民の多くがそう呼んでおります。

 それで、そのゲジナンと呼んでる京都人の多くが、ゲジ=田舎もんの滋賀作は道を知らない、運転不慣れでへたくそといった勝手な偏見を持っており、滋賀ナンバーの車に対して、幅寄せや道を譲ってやらない等のいけずをしたりします(ほんまかいなー)。そんな風に一方的な攻撃を受けてる滋賀県民なのですが、滋賀県民の京都人に対して、唯一言い返す言葉がありまして、それは「琵琶湖の水止めたるぞ!」といった弱い抵抗なのであります。琵琶湖は京都のみならず、京阪神のみずがめであって、それこそ水を止められたら我々の生活が成り立たないのですが、実際にそんなことにはならないので、なんとも京都人からしたら「何眠たいこと言うとんねん滋賀作」といった感じで鼻で笑うようなところがあるのです(ほんまかいなー)。

 それでも、腹の底で滋賀県民をやれゲジナンや滋賀作と小ばかにしている京都人でも、お隣の滋賀県ですわ。ふつうに友達も多くいますわ。そういった滋賀県の友達が京都に遊びにきたら、「よーきたなー、大津とあんま変わらないけど、楽しんで帰ってや」と、滋賀県の県庁所在地をたてつつ、この「滋賀作めー」などおくびに出さないのであります。(書いててほんま京都怖いわー)

 と、まぁ、ここまでの話でしたら京都人が一方的に悪く、他府県の人からしたら滋賀県民かわいそーって声が聞こえてきそうなのですが、こと、わたくしに関しては滋賀県在住の友達にはやられまくってます。そんなわけで、わたくしが滋賀作である友人に恨みを持ったエピソードをお話しさせてもらいますわ。

 この滋賀作の友人は高校の時に知り合った同級生で名前は正樹っていうのですが、顔は昔流行ったビジュアルバンドのイケメンボーカル風で、性格はやんちゃで、早い話、高校時代はヤンキーです。趣味は高級車とパチンコで大の女好きときてます。住んでるところは滋賀県の和邇(わにと読みます)って超ど田舎です。紹介してるだけでむちゃくちゃな正樹ですけど、わたくしをこけにすることも天下一品の特技でして、今からお話しする以外にも、彼には散々痛い思いをさせられております。正樹とは長い付き合いですので、彼とのエピソードは数多くあるのですが、尺も長いとあれですので、今回は二つほどお話しいたします。

 つい最近の出来事なのですけど、携帯に正樹から連絡が入りました。「また、結婚したのでお祝いしてくれや」、女癖が悪いのですけど顔がいいのでよくもてる正樹、彼は先日まではバツ2だったのですけど、その電話で三回目の結婚を知ったわたくしです。「とにかく、新しい嫁を紹介がてら、焼き肉でも奢ってくれよ」とのこと。もちろん、店は正樹指定の守山にある高級焼き肉店ですわ。特上カルビが一人前2000円近くするみせで、正樹の子供かわからない赤子をつれた年齢差の激しい若い奥さんと会食とあいなりました。三回目で結婚に対して祝儀やる義理立てもないのですが、その焼き肉店で腹いっぱい食べられた正樹家族。式に呼ばれて払う祝儀以上の出費となりました。店の会計を済ませて、駐車場で高級車のセルシオに乗ってる正樹。「おまえ、むちゃくちゃ羽振りいいなー」と声をかけると「おうよ」と一言。なんで、こんな奴に新婚とはいえ三回目の結婚に飯おごらなあかんねんと思っていたら、心が読めたのか「おまえ、日産で働いてるのやったな。セカンドカーにフェアレディ―Z欲しいねん。紹介してくれ買ったるわ」とのこと。ふだんから自動車会社で働き生計を立ててる者としての拡販はわたくしの業績評価をつけてる上司が最も喜ぶお仕事であります。その正樹の一言でさっきまで、急な出費でブルーになってた気持ちも吹き飛び「やっぱ持つべきものは友やなー」となったわけです。そして帰りの琵琶湖大橋でセルシオに乗って大橋の料金所を先に出た正樹。あとから来たわたくしに料金所の人が「前の車のおつれさんですねー後ろの車が料金払ってくれると言ってましたので通行料2台分の400円いただきます」と言われても、「拡販につながるなら」と思い腹も立ちませんわ。たとえ、やられた感があっても、200円ぐらい笑って許せるレベルですよ。そういうわけで、料金所の一件はあっても、その日はご機嫌な気分で正樹家族とお別れしました。

 そして、次の日。早速、横浜から単身赴任してきてる下手くそな関西弁を無理して話す業績重視の上司に「鈴木さん、車売れそうですわ」と自信満々で言ってやったのです。上司は「おおきにー」と下手なイントネーションで言うと「ほんじゃーディーラーの営業に行ってもらうわ」と手早く成約に向けての手配にはいります。「ほんで、場所は滋賀の和邇なんやな」、ディーラーの営業と電話で正樹の自宅を確認しつつ「ちょっと遠いですけど、確実に成約取れるといってるのでお願いします」と上司はご機嫌で営業の電話を切りました。「これで、お前の成約となったら、あと2台で今季のノルマ達成できそう」と上司は満面の笑みを午前中である、その時までは浮かべていました。だが、この日記のタイトルが滋賀作となってることを忘れてはなりませぬ。ちゃんと、ろくでもないおちがわたくしには待っておりました。

 午後になって、そろそろ営業の成約達成の連絡でもあるかなーと思っていましたら、上司からわたくしに「事務所にくるように」とマイク放送がはいりました。きっと成約取れた報告だと意気揚々に事務所に行くと、いきなり上司から罵声をあびせられました。「おめえーの友達ってのいったいどうなってだよー、今営業から連絡あってなー、おめえーの友達、借金ダルマで真っ赤だってよ。ローン組めねーんだよ」とのことですわ。この借金ダルマの正樹のおかげで、わたくしも上司の面子も丸つぶれであります。営業を滋賀くんだりまで行かせた上司の顔はあまりの怒りのために正樹のローン審査同様真っ赤であります。もはや、下手な関西弁など出る由もなく、きつーい横浜弁でわたくしを叱責するのでありました。ちゃんちゃん。てか滋賀作正樹おそるべしであります……。

 

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