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魔法使いと侍女の物語  作者: にしのかなで
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少尉のお願い

アルベリヒにカリンがしばらく侍女を務める事を了承した旨を伝えに二人で面会を申し出た。


「すまんなカリン。だか、ファンテーヌも大分神経を使っているようで環境に慣れるまで少しでも気心の知れた人間を置いてやりたいんだ。助かる、この礼はかならずする。」


「いえ、お礼だなんて!ファンテーヌ様のお役に立つなら喜んで一侍女としてお仕えさせていただきます。」


「殿下、すみませんが今日一日はカリンはまだ暇をいただけませんか?実はウルリヒの客人と面会させたいのですが。」


「ああ、それは構わん。ヤルナ将軍とヴィグリー少尉だな。そうだ、ファンテーヌの所で会うか?なら俺もオブリーも入れるし。なかなかこちらからも挨拶に行けてなくてなちょうどいいんだが。」


「どう?カリン、それでいい?」


「はい、皆さんで楽しくすればファンテーヌ様もお喜びになるのではないでしょうか?」


「決まりだな、では先にファンテーヌの部屋で待っていてくれるか?客人は俺が案内しよう。」


「それなら僕が行きますよ。殿下は少しでも仕事を進めてください。」


恨めしそうな顔をしながら渋々殿下は了承した。それは見なかった事にしてカリンには先にファンテーヌの部屋に侍女に案内して行ってもらう。それからまず少尉を訪ねて行った。中庭を挟んで向かいの建物の来客用の部屋に少尉はいる。部屋の前に来てノックをする。


「ヴィグリー少尉、ガウス魔法魔術技師です。いらっしゃいますか?」


中から入室を促される。ドアを開けて失礼しますと中に入ると少尉は窓辺に立っていた。


「よぉ、いらっしゃい。今日はどしたの?」


カリンが来ていることファンテーヌの所でアルベリヒも交えて面会することを伝える。


「え⁉︎そんな偉い人も来るの?緊張するじゃん。」


と、言葉とは全く反対の態度でポケットに手を突っ込むと何かを握って掌を差し出した。


「あのさ、砦で外套と交換にカリンちゃんにこれもらったんだよ。ちょっと、陽に透かして見てみ?あの子の瞳みたいに色がキラキラ変わるんだ。」


ああ、例の・・・と思い出しながら陽に透かしてみる。確かにカリンの瞳に似ている。


「純度の高い魔法石ですね。でもなんであの子のポケットに入ってたんだろう?短刀のが取れたのかな?」


そう言って少尉に石を返そうとすると


「それさ、高価で稀少な物だろう?俺がもらったままでいいのかな?」


「ああ、それなら心配ないですよカリンから聞いてます。これはカリンが始めて人のために意図的に祝福を授けたモノです。だから遠慮なく受け取ってください。」


「そうなの⁉︎うっわますます貴重品、でも有難くいただきます。で、こっからは君に頼みなんだけどさ。この石指輪に加工できないかな?」


「将軍にですか?」


「///な、なんでそれを・・・⁉︎いや、まぁそうなんだけどねぇ。」


顔を真っ赤に染めた所は昨日のカリンみたいだ、はは。こんなとこは似てるよ二人。


「受け取ってもらえるかはわかんねーんだ。あいつ頑固だし。俺はさ、戦も終わってあとは戦後処理なんだけどあいつをもう戦場に出したくないんだよ。あいつが戦に出る理由は終わったんだ。だからこの機会に、兄貴にゃ負けるけどその・・・な?わかるだろ。」


吹き出しそうになるのをやっと堪えて了承する。


「あ!いけね、サイズがわかんねーや。」


「それは魔法でどうにかします、あとデザインですがこれは最適な方がいるので相談してみますね。」


「え、ホント?助かるよ〜。」


両手で掌を掴まれてブンブン振られた。これで上手くまとまればカリンも喜ぶかな?と、待ちかねているであろう侍女を思い浮かべる。

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