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魔法使いと侍女の物語  作者: にしのかなで
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聖なる泉

ウルリヒの魔法師らと話を詰めたヤルナ将軍はツカツカとグリンデに近づいて来た。


「小鬼族グリンデ殿にお伺いしたい、あの娘が持つ短刀で誠に私の穢れが落とせるのか?」


北の砦を守る大将が小さな小鬼のグリンデに跪き目線を合わせて問うている。グリンデはギョロリとした瞳を輝かせてコックリと頷いた。


「そうか・・・。ならば早く禊をせねばな。しかし、場所はどこでやればいいものか。」


「地下に聖水の泉がございます。そこがよろしいかと。」


「はぁ〜、そなたらには隠し事は出来んな。しかし、夏場でも冷たい泉に入れというのか⁉︎」


刀鍛冶の妖精が横から口を挟んだ。


「あの剣は泉の側の鍛治場で打ち泉の水を浴び作り上げた。確かに穢れを落とすにはうってつけだな。」


うんうんと一人納得している。


「将軍様、魔法師の方はどのようにして穢れを落とすとおっしゃっていますか?」


「穢れを知らぬ清らかな魂の持ち主・・・普段なら神殿の巫女殿だが、その持ち主に清められるとしかわからんそうだ。おい、ルディ魔法師は穢れを落とせんのか⁉︎」


「やろうと思えばできますが、かなりの時間がかかります。グリンデ、その泉で将軍はどうすればいいのかな?」


「私も詳しくはわかりません。穢れの種類で方法も違うのです。しかし、今回はハプトマン様が全て取り仕切る事になります。そうお告げがありました。」


「カリンが?」


「はい、私がやります。」


いつの間にかやってきたカリンがにっこり笑っていう。


「先ほどの光の効果で暫く敵も近づきません。今のうちに早く終わらせましょう。妖精さん・・・あっよろしければお名前を。」


「鍛治屋でいい。人の子ごときに名は教えられん。」


「では、ヴェランドとお呼びしても良いですか?ハヴェルンでは鍛冶屋さんはヴェランドと言うのです。」


「好きにしろ」


「ありがとうございます。では、グリンデはその泉まで行けるのかしら?」


「はい、あちらでは魔法陣はいりません。」


「よかった・・・心強いわ。それで、ヴェランドさん。穢れが落ちた剣は地下の鍛治場で打ち直せますか?」


「簡単だ。」


ほーっと息をつき、カリンは次にルディを見た。


「では、行ってまいります。」


「え?いや、僕も行くよ心配だし。」


「ルディ様、ご心配おかけしますが今回ばかりはご遠慮ください。この砦には女性は2人しかいませんもの。薄布一枚の姿を私も将軍も見られたくはありません。」


薄布一枚・・・で、泉に入る?あ、あー。はいはい、それはごもっとも。将軍の元には着替えを用意したヴィグリー少尉がいつの間にかいて必死で笑いを堪えている。


「では、参りましょう。」


そうして砦にただ二人の女性は地下へと向かって行った。

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