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魔法使いと侍女の物語  作者: にしのかなで
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穢れた魔具と新しい魔具

「穢れの浄化にはお渡しした短刀をお使いください。」


グリンデがその場の空気を破った。


「わかった。ヴィグリー、浄めの儀式の用意を頼む。魔法師殿にはご教示願いたい。」


「あ、あの!」


「なんだ⁈」


「すみません。ルディ様この指輪どうすれば?」


「あ、ああ。えっとね、その指輪の穢れを先にどうにかしないといけないんだけど・・・なんかややこしく力が絡まってて外せないんだ。」


「ええっ!ど、どうしましょう?」


「見せてみろ」


妖精がカリンの手を取る。


「あ〜ん、これはグリンデがすぐに外せる。魔法師、外して問題はないのか?」


「あ!すみません、僕の耳飾りもお願いします。対になっているので。」


ルディは慌ててカリンと一緒にグリンデに外してもらう。


「へ〜ぇ、対の魔具ねぇ。」


ヴィグリー少尉がにやけながら冷やかすように呟く。


グリンデが二人の魔具を慎重に外す。

途端に指輪からの光がなくなった。

カリンは長い間身につけていた指輪を泣きそうな顔でジッと見つめている。ルディがそっとカリンの手を取り懐から新しい指輪を出してその指に詠唱しながらはめた。それからまた懐に手を入れ耳にグリンデに渡したものとよく似た飾りをはめる。驚いた顔のカリンの頭をくしゃくしゃと撫でて笑って言った。


「ウルリヒの魔法石は僕が持ってたものより上等だから前より護りの力は強くなってるよ。ホントはカリンが最初に違和感を感じた時に交換すればよかったんだけど・・・ごめんね?」


「その耳飾り・・・。じゃあ今まで通り繋がってるんですね?」


「うん、前のを作った時より僕の魔力も安定してるし。今回みたいに穢れがつくこともないはずだよ。」


カリンの顔がパァっと明るくなった。


「ありがとうございます!大事にしますね。」


そう言うとパタパタとヤルナ将軍の元に走り浄化の儀式についての段取りに加わった。


「ガウス様、これはどうなさいますか?」


「あー、それ君らの力が混じって複雑になってるんだ。よかったらその混じってる力を解けるかな?そしたら僕が処分できるんだけど。」


「かしこまりました。穢れと我々の力を取り除きましょう。しかし、そうしてからもう一度身に付けられてもよろしかったのでは?」


「うん、それも考えたけどね。あの子がどんどん大きな渦に巻き込まれていくものだから心配で、より力の強い物を身につけて護りを強固にしたかったんだ。」


そう言ってヤルナ将軍と会話をしているカリンを見遣る。初めてあの指輪を使ってからかなりの年月が経った。名付けの儀で正式にその手に与え、ずっと護り続けてきた。小鬼族の族長に交換しろと迫られても手放さなかった大事なモノを、今度はいとも簡単に渡した。


「ハプトマン様は主であるガウス様との繋がりがあればよいのですね。」


グリンデが言う。そう、彼が今持つ魔具は穢れ二人を上手くリンクさせられない。


「なんだ魔法師、お前は独占欲が強いんだな。」


「///っな、なんですか⁉︎違いますよ、あの子は放っとくと危なっかしいからもう習慣になってるんですっ!」


妖精が話に割って入って来たのはいいが変な誤解をされては困る。


ー困る?誰が?・・・・・・えーっと、そう!カリンが嫁ぐ時にね・・・カリンが・・・ー


そこまで考えて急にがっくりと肩を落としてしまった。いつまで、この関係は続くんだろう。いつか、カリンはルディの手を離れて行くのだろう。


ーその時、僕の・・・覚悟は出来てるのかな?ー


耳を触ると飾りに触れてカリンの居場所、心の安定感などが伝わってくる。いまは、とても安定している。それがルディにも伝わって心地良く感じる。


ーああ、僕は自覚しなくちゃいけないんだ。この心地良い気持ちに、君への想いに。ー



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