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魔法使いと侍女の物語  作者: にしのかなで
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妖精と小鬼の剣

鎖は刃が触れた瞬間塵のように離散した。


「ふぅ」


今回王都まで攻めてきたのはこの翼竜一頭のようだ。背中から降り翼竜の顔を見る。


「あの・・・背中の鎖は取れました。どうですか?」


(・・・貴女がハプトマン?長の言っていた通り、流れが変わるのかしら。ありがとう、随分楽よ、背中の男は?)


「あ、気絶してます。痺れ薬を塗り込んだやでしたので。」


(そう、貴女は殺さないのね。)


「出来る限りは・・・そうしたいです。」


そこへ、ニースに乗ってイニャス王子とエンケル将軍が来た。


「無事か!カリン」


「はい!敵兵は痺れ薬で気絶しています。あと、この翼竜さんは私が足に矢を掠めさせた傷と敵国の呪いのかかった鎖が残っています。」


ニースから降りて来たイニャス王子は翼竜に礼をとる。


「私はウルリヒ第三王子イニャスと申します。神の眷属である竜の谷のお方と存じますが、怪我などを治療した後こちらで保護をさせていただきたいのですが。」


(私は竜の谷のスゥレイ。こちらにはそこのニーズ以外にも保護されたものが?)


「はい。ビェリーク砦での戦の際、残念ながら助けられなかった命もありますが助けられるものは王宮内にて保護しております。」


(そう、ありがとう。私の事も頼みます。カリン、というのが貴女の名前?)


「あ、はい。アレクシア・カーテローゼ・ハプトマンです。」


(・・・では、カリン。悪いけどこの脚の鎖も外せるかしら?)


「はい、今見ますね。立てますか?」


スゥレイは少しよろめき立ち上がった。


「・・・これは、なんて酷いことを・・・」


スゥレイの脚には鎖が食い込むように巻かれていた。カリンはまた短刀を出し文言を唱えながら鎖を切る。一見、脚まで傷つけたかに見えたがまたもや鎖は離散していった。


(あぁ、楽になった。ありがとう愛し子よ。イニャス王子、私は王宮へ飛べばいいかしら?)


「あ、はい。私共についてきてください。」


(では、カリン。また後で。)


スゥレイは翼を広げるとニースに続いて飛んで行った。


「スゥレイって、人間だと美人な貴婦人て感じ・・・っと、いけないいけない。街の様子を見なくちゃ。」


再びフィフスに乗ると被害の激しかった場所に戻る。そこにはウルリヒ兵らが来て怪我人の手当てや鎮火してない家屋の取り壊しなどをしていた。


「カリンさーん!」


「ハース事務官、お疲れ様です。随分片付きましたね。」


「ええ、カリンさんが出た後すぐにガウス魔法師が結界に入口を作ったんです。カリンさん達の離れを解放していただいてたのでたすかりました。あ!それからヴィルヘルミナ様もご無事です。王太子殿下から感謝していると伝えるよう頼まれてました。はは、色々あって混乱してますよ。」


「ウルリヒ兵の方々が街に出てくれてみんな心強いと思います。中からはあまり出ない方が結界の安定の為にいいと思っていたので。」


「それが、小鬼族がデカイ魔法石を特別に貸してやるって持ってきてくれたんです。その石のお陰で安定とか入口とか早く出来たと魔法師達が言ってました。お陰で中はユベール殿下が外にはイニャス殿下がそれぞれ役割を分けられて、全体の指揮は王太子殿下が取られてましたね。」


「・・・それ、ホント?」


「へ?なんでですか。」


いやぁ、あの迷惑殿下も立派になられたんだなぁ・・・なんて言えるわけもなかった。


「ん?あれ・・・」


目が霞む、あの塵みたいなの少し吸ったせいかな・・・。


「ごめんなさい、ハース事務官。私、王宮に・・・」


そこまで言ってカクンと倒れた。自分の名を呼ぶ声が遠くに聞こえる。身体も寒気がしてきた。瞼はもうどうやっても開かない。


「カリンさん⁉︎」


ハース事務官は慌てて脈を取る。そして、その手の冷たさに更に慌てると、カリンを背中に担いだ。


「しっかりしてくださいよ!すぐガウス魔法師に届けますからっ‼︎」





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