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魔法使いと侍女の物語  作者: にしのかなで
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対の魔具

「お嬢さん、なんでお前さんはグリンデに衣類を贈ったんじゃ?」


「えーと、ここに来た時にもっと沢山の小鬼族の方がいらっしゃると思ったんです。それで、皆さん似た容姿をなさっていたら見分けがつかないかもしれないし、寒い中遥々王宮迄来て下さったので・・・か、なぁ?」


族長はにこにこして見ていた。


「大方、あの王太子どもが説明不足じゃったんじゃろう。」


ー当たってる〜っっ‼︎ー


「グリンデは儂の孫じゃ、そして次の族長になる。その大事な跡取りがあっさりとお嬢さんの配下に下った、・・・はぁ、嘆かわしい・・・」


「す、すみません!私、何にも知らなくて・・・」


「いや、それはいいんじゃよ。これも運命じゃろうて。儂等は風習に従いお前さんの味方になる。さて、本題の魔法石に話を移すかの。グリンデ、あれを持ってきてくれ。」


グリンデは魔法石を取りに奥へと入って行った。


「さて、魔法石はのお告げでお前さんら二人に渡すようになっておる。しかし、あれは大変危険じゃから今まで隠しておいた。持つ者によって、善にも悪にもなる。ヴァンヴィヴリアに渡れば間違いなく悪になろうなあ・・・じゃから女神ハプトマンがわざわざ儂に頼みを告げに来たんじゃろう。じゃがの、聞いておろうが儂等は物々交換をするんじゃ。お主らは一体何をくれるかの?」


「恐れながら族長殿、私共にはこの身に預けられた装飾品しかございませぬ。それでお気に召して頂ければ・・・」


「ふーん。確かに上等な品々を身に付けられて来たのぉ。しかし儂は最初から気になる品があるんじゃよ。」


「それは?」


「お前さんらが長い事身につけているその対の品じゃよ。どうかな?それと交換では。」


ルディは半分ホッとした、これでも足りないと言われたらどうするか考えていたからだ。しかし、この対の魔具は長い事二人を繋いでいる。だが、また新しいものを作ればいい・・・と考えているとカリンがハッキリと断った。


「恐れながら小鬼族の族長様に申し上げます。この対の魔具は主と私を繋ぐもの、主がなんと言おうとこればかりはご勘弁願いたく存じます。」


「ならば、何を対価に置いて行く。」


どこに隠し持っていたのかカリンは短刀を取り出すと言った。


「私は知らぬこととはいえこちらの時期族長たるグリンデ様に失礼なことをしてしまいました。小鬼族の方は光るものを好むとお聞きしております。私のこの髪と交換ではいかがでしょうか?」


「身を捧げるグリンデを解放する意味も込めてかね?本気かお嬢さん、髪を切ると加護が薄れるやもしれぬぞ。」


「覚悟はして来ています。これを持ちグリンデ様を解放し魔法石を頂きたい。」


「はっ!これは噂通りのお方じゃ。」


族長が面白そうに笑った。ルディは慌ててカリンに近付き短刀をとりあげようとする。


「カリン!髪は大事な身体の一部だ、例え君に魔力が・・・あ、あ〜っなんてことを。」


ルディが止める間もなく潔く短刀で髪を切り落とし、服に付いた装飾品もポイポイと外し始める。


「すみません、ルディ様。でも、この指輪は離せません!」


「お説教は帰ってからだ!君は無茶ばかりする。」


普段はカリンに声を荒げないルディがかなり怒っている。ルディも身に付けられた装飾品をはずす。


族長は目を丸くして見ていた。

目の前では魔法師と少女が睨み合っている、そしてほぼ同時に族長に振り向いた。


「「さあ!魔法石を渡してください‼︎」」




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