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魔法使いと侍女の物語  作者: にしのかなで
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朝のひと時

二人が歩みを進めるたびに近くの樹々の葉が舞い落ちる。


「すっかり、季節が変わったねぇ。」


「そうですね・・・ウルリヒはもう雪が降ったりするのでしょうか?」


「うーん、凄く寒い日なんかは薄く積もるね。で、ある日朝目覚めるといきなり一面真っ白なんだよ。」


「そうなんですか・・・」


「寒いの苦手なんだよね僕」


「ふふ、知ってます。あまりにも寒い朝は起きてくるのが少し遅いですよね。」


「え、バレてた⁈」


「バレバレですよ〜。あ〜、お腹空いた。ごはん急いで作りますね。」


「うん、今朝はさ簡単にパンとスープでいいよ。朝から色々大変だったしね。」


「すみませんでした。」


「いや、気にしなくていいから。そうだ、エンケル将軍との作戦はどうなった?」


「・・・それが、ウルリヒに着いてから向こうの部隊と打ち合わせしないといけないから、まだ作戦立てれないんです。」


「そっか。まあ、行けばなんとかなるだろう。ただ、カリンの夢の話は王太子殿下と将軍には話とかないとね。」


「そうですね。あの銀の竜さん、一族の長なんでしょうか?」


「話を聞くとそれっぽいけど、どうやったら味方にできるのかな?ヴァンヴィヴリアとウルリヒの近くに確かそういった生き物が住んでる筈だけど・・・」


話している間に二人は既に家の中で、カリンは食事の用意を済ませていた。ルディは温めっぱなしのハーブティーをカリンに渡す。


「わぁ、すみません。お気遣いさせてしまって。」


「元気が出るお茶にしといたから。それ飲んでご飯食べたら出かけようか。」


「はい!」


近侍として王宮仕えになってからパンは近くの店で帰りに買ったり朝早く買いに行っている。今朝は昨日のパンがあったので軽く焼き庭で採れた野菜を挟んでスープを付け足す。


朝食を食べながらいつまで王宮に行くのかなぁと、カリンはまたぼんやり考えていた。王宮仕えもやり甲斐はあるが、家のことが疎かになるのが気になっていた。カリンとしては畑をもう少し手を入れて野菜を作り出来れば鶏も飼い新鮮な卵を手に入れたい。馬の世話もしてとあれこれしたいことがある。今気になっているのは枯れ葉が庭に積もる事だ。夏には草も伸びていた。それらはルディの魔法ひとつでどうにでもなるが、やはり人間の手をかけたほうがいい気がする。

せっかくの生家に戻れた主には家にいる時には寛いで欲しい。


ウルリヒの件が片付いたら元の侍女に戻れるようお願いしてみよう。そんな事を考えながらパンをかじる。カリンはこの辺りが好きだった。隣家までは距離があるが街道に出れば雑貨店や色々な店があり便利がいいし、また人も良かった。よし、あの平穏な日々を取り戻すために頑張ろう!と、心に誓った朝のひと時だった。



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