8話 未知との遭遇(?)
森の奥へ急ぐ。ガルヴァの気配はまだある。焦らなくていい。
だが、どんどん弱くなっている。言い聞かせてもなお、焦りが頭の中を渦巻く。
俺は途中で人間の姿のまま、羽を出して飛んでいく。
森の入り口に着いた頃にはすでに魔物の群れが動いていた。
オークゴブリン、悪魔?……ざっと見て100はいる。
中心に、赤黒い姿の悪魔が立っている。ドラゴンである俺と同じ魔気を持つ悪魔だ。
やつは俺に気がついたようで、魔気を抑えた。俺を見上げて何か指示をしている。
あれ、俺これ戦って勝てるのか?
〈42%で敗北します。少々厳しい数値です。〉
だよな…俺だって生まれて仲間を殺された挙句知らない奴に殺されて終わるのは嫌だ。
かと言って放っていてもガルヴァも死んでしまう。せっかくの情報源の都市が潰れるのもよくない。魔族への対策が強くなるかもしれないしな。
「おーいそこの悪魔さん。ここら辺で黒褐色の魔狼を見なかったか?1匹でいたと思うんだが」
俺はできるだけ平静を装って話しかける。奴は答えた。
「貴様、やつの知り合いか。安心しろ、少し寝てもらっただけだ。勘違いするなよ?ドラゴンと関わりのある奴に喧嘩は売らない。直前でリスクは追いたくない」
無事なのか。俺は胸を撫で下ろす。とりあえずは安心だ。こいつ、見た目に反して意外と普通に優しいのか?
「情報ありがとう。今後はこういうことをしないように頼む」
俺は少し魔気を出して言う。忠告だ。
〈報告。人間の部隊が集結完了したようです。このまま上空にいると身元がばれる可能性があります。〉
まじか、異常に早くないか?流石と言うべきなのか。
俺は森に降り立ち、ガルヴァが最後にいたであろう所へ向かう。兵士たちは着々とこちらへ近づいてきている。
ガルヴァの気配は……いまだに弱いが、まだある。問題なのは、部隊の経路上だということ。
(間に合ってくれよ…?!)
飛ぶことが許されない以上、あとは時間との勝負だ。急いで避難させなきゃならない。
幸いなことに、森の奥でガルヴァを見つけられた。倒れたまま、息はしている。
よかった、眠らされているだけだ。倒れているところを見た瞬間焦りに焦ったが…
俺はガルヴァに治療魔法をかける。緑の光がガルヴァを包む。
息が安定し、目がゆっくり開く。
「……バーザール様……」
「大丈夫か」
ガルヴァが体を起こす。
「すみません……俺……奴から急に……」
「いい。生きてるだけで十分だ」
ガルヴァが俺を見る。何か言いたそうな顔をしている。まあ言いたいことはわかる。
「バーザール様……あの悪魔は何者なんですか…?」
「ああ。教えてやろう。名前を聞くのを忘れた。別になんのために来たかもわからない。」
ガルヴァが唸る。
「ボケてるんですか…?」
俺は気まずくなり空を見上げる。確かに、人が、いやくまが死んでたかもしれないときにギャグはよくないな。
そうしてシーンとなっていると、まずいことに気がついた。
「やばい!人間の兵たちが近づいてきているのを忘れてた!」
森の奥から金属の当たってこすれる音が聞こえてくる。結構近くにいるぞ。
「今すぐに逃げるぞ。ここは部が悪すぎる」
俺はガルヴァに乗せてもらい、急いで戦場を出る。
その時、すぐ近くにいた部隊の中に彼がいることには気が付かなかった。




