7話 衝撃の魔気
試験終わりました〜!復活です!
翌朝、俺は人間の姿で街の市場を歩いていた。露店が並び、商人たちの呼び声が響く。
ガルヴァは昨日同様森の外周で待機中。
脳対話で「異常なし」とだけ伝えてくる。俺はそれを聞いて人混みの中を進んでいく。
市場を見ていると、この街に来たのは情報収集のためだということを忘れてしまう。慌てて俺は耳を澄ませる。
すると突然、近くで声が上がった。耳がキーンとする。
「泥棒! 止まれ!」若い商人が叫ぶ。
男が袋を抱えて走り出している。
(いや普通に考えてこの人の中で逃げられるわけないでしょ…)
その男が俺の前を通り過ぎる瞬間、俺は軽く足を引っかけてみる。
男は容易く転んだ。追いかけていた商人が駆け寄り、抑える。
「ありがとうございます!」
(いやこれ面倒くさくなる奴だ………)
俺は危険を察知して、黙って立ち去ろうとする。すると、後ろから声が掛かった。
「バーザールじゃないか!」
振り返ると、レオンがいた。
志願兵の制服は着ずに、買い物袋を提げている。
「また会ったな!今のはもしかしてお前か?」
レオンが笑って話しかけてくる。
俺は肩をすくめる。
「たまたまだよ。それじゃあ俺はここで…」
早く逃げようとする俺を無視して、レオンが商人を見て言う。
「大丈夫か?この人が止めてくれたみたいだぞ」
「本当に助かりました。ありがとうございます」
「いいことしたなバーザール!」
俺は無視して歩き出す。レオンが追いかけてくる。
「おーい聞いてるか?そうだ!また今度、一緒に飲もうぜ!これ、俺が住んでいるところだ。ここに来れば大体俺は居るからな、いつでも来ていいぞ」
俺は足を止める。これはもらっておいた方がいい。
「暇ならな」
「お前といると、なんか気が楽でいいんだ。そうだ、明後日とかどうだ?前の席で会おうぜ」
「考えておく」
レオンが買い物袋を振って去っていく。俺は再び市場の喧騒の中を歩いていく。
(あいつ、危機感ないのか?ほぼ初対面の男に普通家の住所を渡すか?)
これ、もしかしたらとんでもない逸材と出会ったのかもしれないな…
そんなことを考えながら歩いていると、ガルヴァからの脳対話が届いた。
〈バーザール様。100匹ほどの魔族の集団がそちらへ向かっていっております。どうしますか?〉
ん?まじか。え、まじで??そんな少数で勝てるの?
〈はい。この目で見ました。種族はオークゴブリン、所持不明悪魔、っ………!!〉
どうした?何か問題があったか?!
〈これはまずいです…!バーザール様と同じ魔気がっ…〉
ここでガルヴァとの脳対話が途切れた。直後、衝撃波のようなものが押し寄せてくる。
思わずビクッとなる俺。周りの人たちは、恐怖で体が動いていない。
(なんだ…?戦わずしてこれだけ…?相当強い魔族が来ているのか?)
俺は市場からゆっくり出ていき、その方向へ向かっていく。
悪魔がどうこう以前に、ガルヴァが心配だった。
あいつがいなくなったら……俺は本当に一人になる。
そのころ、街のほうでは、警報が鳴り響いていた。




