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36話 辰?

俺が戸惑いながらも、その光を反射させてキラキラ光っている甲羅にそっと手を触れると、張り付いていた貝殻が光りだした


「わっ……!?」


その光は一気に強くなり、俺たちの足元の砂浜を白く染め上げる。気がつくと、波打ち際から沖の方へ向かって、まるで道案内をするように透き通った光の筋が伸びていた。


「ボクについてきて! 案内するよ!」


かめは短い足をパタパタさせて、その光の道の上を滑るように進んでいく。俺たちは顔を見合わせる。


「これ、幻覚か?」


「怪我した後だからですよ。まだ治っていなかったのですね」


「あー遺書はどこにおいたっけ?」


「あと少しでだけ待ってくれたら、嬉しかったのですが…」


「ボクは幻覚なんかじゃない!」


「あれ、もしかしてみんな見えているのか?」


「そうだよ!早くしないとおいていっちゃうぞ!」


俺たちは慌てて追いかけ始める。



しばらく沖まで歩くと、かめはピタッと足を止めた。そこはもう、俺たちは浮かんでいなければいけないほどの場所だ。


「ここだよ! ちょっとだけ息を止めて、ボクと一緒に潜ってみて!」


「えっ、ここで?ちょっとかめさん、場所を間違えていたりしない?」


スフィウスが驚いた声を出したが、かめはもうとっくに水に潜り込んでいた。俺たちは少し顔を見合わせた後、意を決して大きく息を吸い込むと、エメラルドグリーンの水面下へと頭を沈めた。


――その瞬間、耳元で鳴っていた波の音が消え、信じられない光景が目に飛び込んできた。



白い建物。古い街のようなものが目前にずらりと並んでいる。人々が、せっせと働いているのが見える。奥には大木があり、目を凝らすと細長い動物の像も見えた。その中では、地上となんら変わりのない人々が生活をしているようだ。


海底には、地上の街とは比べものにならないほど幾何学的に作られた、白く美しい街並みが続いていた。


『こっちだよ、バーザール!』


水の中でも、あのかめの声ははっきりと頭に届いた。街に近づいていくたびに、不思議な感覚が俺を包んでいく。母に優しく撫でられているような、そんな気がした。


……なんだ、ここ。おとぎ話の世界みたいだ。あれか?浦島太郎の異世界版か?だとしたら、美味しいご飯を食べて、重箱みたいなものを貰って…


あれ?何をしたら老けてしまったんだっけ?まずい。このままだと、ここで俺の人生が終わってしまう。


〈この地は、俗にいう「浦島太郎伝説」には関係がないと思われます。〉


おお!久しぶりの全知王(ヘルメス)だ。俺はお前が恋しかったぞ。


〈………座標が読み込めません。この土地は、この世のものではない可能性があります。注意してください。〉


なに。ここは、あの世なのか?


「綺麗…」


「そうだな…………。この街に、こんなところが隠されていたとは…」


巡雩とラナリリスは、周りに浮かぶ気泡を手で弄んでいる。全員が不思議そうな顔をしている。


「ここはね、アフィラードっていうところなんだ。僕が生まれた地でもあり、バーザールがいずれくるところだよ!」


かめは俺の肩の上に乗り、誇らしげに胸を張った。


「俺、いつかここにくるのか?なんで、そんなことがわかるんだ?」


このかめも、あの神さまみたいに未来が見えるのか?それとも、神さまの友達みたいな(かめ)で、未来を見せてもらっているのか…?昨日話した時、神さまはここでの体験に触れていなかった。


亀さんは、そのつぶらな瞳でじっと俺を見つめる。


「聞いちゃう?」


「…………ああ」


「とっても簡単な話だよ!ちょうどいいし、ついてきて!連れて行かなきゃいけないところがあるんだ」


そういうと、またかめは浮きながら進み出す。全く、せっかちなかめだ。



俺たちは、開けたところに連れて行かれた。そこには、来た時に見かけたあの像が置いてある。


それを見て、俺は驚く。それは、見覚えのある動物だった。


「……龍?!」


そう、来る時に見たあの細長い動物は龍だったのだ。なるほど、どうりでここが神聖そうな場所なわけだ。


「りゅう?ってなんだ?」


かめの反応は、これが龍ではないことを物語っている。そりゃそうだ、元の世界のものがここにあるわけがないからな。


……………だとしても、似過ぎている。角、髭、鱗、足…どれも俺が前世に見たものとそっくりだ。


「これは…蛇?」


「蛇だとしても…足、髭、角…まるで他の生物のようです」


「確かに。でもカッコいいしいいんじゃない?」


「まあ、一旦このかめの話を聞いてみようぜ!」


「これは、(たつ)っていうものなんだって!昔、ここを作った創造主だって聞いてる。あそこの大木は、その時にできたんだ。ボクたちの街では、『今日浜辺に五人組が来るから、その人たちを迎え入れてこれを渡せ』っていう感じの予言がむかーしからあるみたいで」


そうやって言いながら、小さいかめはカメラを取り出した。決してダジャレをしようとしたわけではないぞ。


「これで、次に来る時までに心に残るところを撮ってきて!」


カメラか…使ったことがないので、わかりません。ヘルメス、助けて。


〈使用時に教えます…〉


なんだか、呆れられた気がする。こんなことまでしなきゃいけないのか…みたいな。怒らないでくれ…


「わかった。そうだ!それじゃあ、みんな!ここに並んで…!」


俺は龍の像の前にみんなを誘導して、カメラを構える。頼むヘルメス、教えてくれ…!


〈ボタンを押してください。〉


ボタン…?これか?俺は人差し指を使って、グッと押してみる。



パシャッ!





そこで撮れた写真は、みんなが笑っていた。

これに登場するかめは、僕が昔もらったかめの人形をモチーフにしています。

昔からかめが好きだったので、記憶に残っているんですよね…何せかめもその人形も可愛かったもんで。

いや、年が経つにつれて記念に写真をとっておけば…と悔やまれますね。

可愛いご尊顔を見たい方はぜひ、「アクアキッズ かめ」で調べてみてくださいね。


呟きまで読んでくれて、ありがとうございました!

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