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話数がずれていたり、重複していたら気兼ねなく教えてくださいm(_ _)m




★アリーヤサイド


(お兄様ってお父様とお母様の事大好きだったのね……)


オーランドがアルバートやオリヴィエを嫌っているとは勿論思っていないが、次期公爵の仕事から逃げて自分の秘書になったりと適当な所が多いため、家族の事は「大好き」ではなく「好き」程度だと思っていた。


けれど、片眉を上げたオーランドのいつもより刺々しい嫌味に、ヒヤヒヤしながらもアリーヤはオーランドの怒りが見えたようで嬉しかった。しかし、言い負かされて出ていったレオナルドは、自分に何か用事があったのではないだろうか。


「……って!お兄様!殿下からお預かりした仕事はもう終わっているのですか?」

「当然だろう?私を誰だと思っている?優秀なお前の秘書だ。緊急のものはお前が倒れて直ぐの頃に処理しておいた」      

「お、お兄様……がですか!?」

「最初に請け負ったのは私だ。別に仕事が滞って王宮が困る分には問題ないのだが、真面目だけが取り柄のお前の評判に傷がついては困るからな」


オーランドが自分を気にかけて苦手な事務処理をしていた事に、アリーヤは少し嬉しくなると同時に照れてしまい、ニヤけてしまいそうになるのを必死に堪える。


「ふむ……そのなんとも言えない崩れた顔は淑女としてどうなのだ?」


しかし、オーランドのデリカシーにかけた言葉に、一気にニヤけていた顔が真顔に戻る。正論なのだが、もう少し優しくは言えないのだろうか。すると急にガタリとオーランドは椅子から立ち上がり、

 

「それとお前がいない中、真剣に働いていた私の評判はうなぎ登りでね!『社交界一の美貌の私』の『才気縦横(さいきじゅうおう)(才能が盛んに発揮され、自由にあちこちに活躍するさま)さ』が露見してしまったのだよ!天は二物も三物も与えていたと知られたら他の男達に申し訳が立たんと隠していたのに。秋波を今まで以上に寄せられしまってね。ああ!私の体は1つしかないと言うのに。どうしたら良いのか……!」


そう言いながら何通もの恋文を満更でもない様子で見せてくる。少し不格好な文字の封筒はきっと下女からだろう。下女も本気でどうなりたいかは思っていないのだろうが、一生懸命文字を覚えて気持ちを書いたという事は分かる。

 

「おお、アリーヤはこの封筒の淑女が気になるのだね?公爵令息と使用人という禁断の身分違いの恋と言うのも情緒があるし私にピッタリだな」  


(でも、所詮はこんな人なのよね)


アリーヤは思わず大息する。自分の評判を傷つけないようにしてくれたのは有難いが、どう見てもここぞとばかりに王宮で、見かければ誰彼構わず女性に声をかけていたのだろう。


(やっぱりあの夢のお兄様は夢だったんだわ……)



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