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★アリーヤサイド
「アリーヤ!やっと来たのか!」
バンという音ともに扉が開く。今まで体が軽かったのに急に体中にありとあらゆる重りが乗ったようだ。オーランドもノックをしないが「しなくてはいけないのにしない」のと「する事を忘れてるからしない」では大いに違う。どちらが尚悪いかと言われると、どちらも同じだが。
しかし、ここ数日見ないだけでレオナルドの装飾が少し派手になったように思う。ジャボのブローチはピンクの大きな見た事のない宝石に、緑の宝石のカフス。それだけなら普通だが、そこにブローチやカフスと同じ石の指輪を幾つもしている。
(こんなに装飾の好きな方……だったわ。この石ミリーも持っていたけど流行ってるのかしら?)
「レオナルド殿下にご挨拶申し上げま……」
「そんな事はどうでも良い!それより、俺が預けた書類は出来ているのだろうな!?」
そう言えばレオナルドから仕事を依頼されたあの日、その後すぐに倒れてしまったのだ。既に期限切れのもあったはずだ。こちらも忘れていた。「今すぐ取り掛かります」と口を開こうとしたその時オーランドがアリーヤを庇うように1歩前に出て
「恐れながら殿下。そちらに関しましては、つい先日『レオナルド王太子殿下ご自身』でご確認召されたはずですが?まさか『高材疾足(優れた才能と手腕を持つ人、またはその状態を指す)』な殿下が失念なさるなど……貴殿も影武者殿か。一体『あんな』殿下に何人影武者がいるのか……」
頭を恭しく下げては頭を少しだけ上げてレオナルドへとニヤリと笑う。レオナルドはピクリと眉をあげる。
「オーランド、貴様、最近調子に乗っているのでないか?俺はルミニス王国唯一の王子にして王太子のレオナルド・ルミニスだ。今すぐ不敬罪で捕らえても良いのだぞ?」
「なるほど。殿下ご本人でしたか。それはとんだ御無礼を。ですが、私は元からこう言う性格なので調子に乗るも乗らぬもございません」
「なるほど……リュクソン公爵は子育てには失敗したようだな」
今度はオーランドの美しい眉が少しだけ上がる。
「ええ、まぁ、私の場合は『親は親、子は子』と申しますからね。でも、どこかの王子のように『親が親なら子も子』とも申します。こればかりは仕方ない」
「……っっ貴様!この私を、王家を侮辱する気か!」
「……はて?何を仰っておられるのですか?私は『どこかの王子』と申しただけで『レオナルド王太子殿下』とは一言も申し上げておりませんが?」
アリーヤはオーランドとレオナルドのやり取りをハラハラと見ている。流石にこれは不敬罪になってもおかしくはないが、オーランドは相変わらず傍目には飄々としている。
しばらくして口では勝てないと思ったのかレオナルドは大きく舌打ちをして部屋を出ていく。
「な、なんだったでしょう……?」
「知らん。体調が漸く回復した婚約者のアリーヤを気遣うどころか、いきなり怒鳴り散らすとは。その上、父上と母上まで侮辱するなど……おかげで、さすがの私も少し言い過ぎてしまったよ。だいたい、欲しくもないが、可愛いアリーヤに見舞いのカード一つも寄越さないクソガキだ。常識人の私達には計り知れないお考えなのだろう。」
オーランドは行儀悪くドサリと椅子に座り、背もたれに寄りかかっては肩をすくめる。オーランドが常識を語るのは些か納得しかねるが
(お兄様ってお父様とお母様の事大好きだったのね……)




