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78 アルバートサイド

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★アルバートサイド


 

「これを私たちが?」


大事な話があると執務室に来たオーランドに、オリヴィエも呼んだ後でアルバートはあるものを渡された。金のチェーンに新緑と海とが混ざったような色の宝石(正確にはパライバトルマリン)の精巧なバラのモチーフのネックレスだ。


だがしかしこれは、ただのネックレスではない。オーランドの魔力で作られたアミュレットだ。アルバートには何が刻まれているか分からないが、かなり強いアリーヤを護る魔法がかけられていると肌で感じる。


(これ1つで城が買えそうだな……)  


「ええ。アリーヤの快気祝いと言う事で、父上と母上からの贈り物と装って渡しして欲しいのです。俺から渡すよりお2人からの方がアリーヤも受け取りますしね」  

「いや、しかし……」


アルバートはそのネックレス色が気に食わない。どう見てもこれはオーランドの髪と瞳の色だ。オーランドは自分の気持ちを、アリーヤには冗談のように伝える。寧ろ抑えられない気持ちを、冗談にさせて伝えているのだろう。


アリーヤはオーランドを兄として見ているから、聞き流すが自分としてはなんとも複雑だ。オーランドには幸せになって欲しい。オーランド以上にアリーヤを守れる人間もいない。オーランドがアリーヤを求めるなら『あんな王太子なぞ』今すぐ婚約破棄して、オーランドに渡そう。

 

しかし、娘を他の男に譲るのは親としては複雑だ。それがどれだけ外見が美しく、頭脳も魔法も社交界一どころか世界一で、アリーヤを深く愛する何処の馬の骨と知っていてもだ。   


「このネックレスの色は……」

「チェーンは金の方が肌馴染みに良いと聞きまして。石は俺の魔力を流したら『たまたま』その色になっただけです。それとも渡すのを辞めますか?アリーヤを王宮の淀んだ空気から守る為のものですが」

「ふふ、あなた。分かっているでしょう?アリーヤの事を考えれば渡すべきよ」


オリヴィエは楽しそうにネックレスを見て笑うが、これはオーランドが魔力を流したからこの色になったのではなく、もともと「パライバトルマリン」なのだ。金のチェーンも肌馴染みが良いなど建前に決まっている。


自分とて公爵家当主として子供の頃から教育されてきた。本物かどうかくらい分かる。それをオーランドはいけしゃあしゃあと「たまたま」と宣う。しかもアリーヤを護るには絶対に必要な物として作るとは。


用意周到で公爵家当主として相応しい狡知さを持つ息子を褒めるべきか、自分の娘を狙うハイエナとしてここで一度父親としての威厳を見せるべきか。そんな事を考えていると、オーランドから盛大なため息が聞こえる。 

 

「父上の考えは手に取るように分かります。まぁ、母上は何か期待されているようですが。言ったでしょう?俺はアリーヤ至上主義。ゆえに俺は『そんな事はしません』よ。『たまたま』その色になっただけ。ですから公爵家のご心配には及びません」


アルバートはなんとも言えない顔で了承した。




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