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73 オーランドサイド

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★オーランドサイド


ミリーに声をかけた時、優しく穏やかで礼儀正しいミリーは、こちらに顔を向けること無くただ静かに小さく頷くだけだった。


厳しい声になってしまったのは仕方ない。ああでもしないと今にも死にそうな顔をしていた。 


確かに我を忘れてミリーに酷く当たったのは認める。アリーヤは替えのきかないこの世界に必要な存在で、自分はアリーヤとアリーヤの住むこの世界を守る為に産まれたのだと本能が告げている。そんな尊い人物に危害を加えたのだ。守る為に産まれた自分が我を忘れてしまうのは仕方がない。


そんなのは嘘だ。本能なんて関係ない。どんな女性と関係を持ち浮名を流そうと、自分にとってアリーヤは「光」で狂おしい程に愛おしい女性。例えアリーヤがこの世界に必要なくとも、自分の世界にはなくてはならない存在。元から替えのきく女性でない。


(アリーヤは俺の全てだ)


兄だと思っている男に、こんな激情を向けられアリーヤはなんと思うだろうか。気持ち悪いと思うだろうか。気持ちを返せとは言わない。嫌われるのは死ぬよりも苦しいだろう。それでもそれでアリーヤの気持ちが楽になるなら構わない。


(ただ、心の中で想うくらいは許して欲しい――)  


だから。アリーヤを死なせる事は、スラム街の孤児だろうと精霊だろうと自分だろうと万死に値する。ゆえにアリーヤを守れるのなら手段など選ばない。 


だが、化け物と呼ばれた自分を愛情を持って接してくれた公爵夫妻がミリーの死を望んでいないのが分かった。何より、この場にアリーヤが居たのなら彼女が一番に反対していただろう。


勿論自分も。アリーヤを死に追いやる人間は万死に値すると思いながらも、殺したくないなど矛盾していると思う。まるで「俺」と「私」のようだ。それでも、それが本音だ。


(公爵が俺の煽りに怒り、ミリーの罪を撤回してくれて良かった)

 

望んで憎まれ役になった。後悔もない。けれどミリーにどれ程の絶望を味合わせただろうか。想像すると胸が苦しい。


本当にアリーヤは死なせてはいけない人物だった。無自覚でもアリーヤを追い詰めたミリーは死罪が正しい。それでも庇った公爵夫妻の気持ちを無下にしないで欲しい。


(いつか立ち直り、今度こそ幸せになってくれ)  


オーランドは小さく祈りながら眠りについた。 



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