62
★アリーヤサイド
アリーヤはがばりと起きる。顔がどうしようも無い程熱い。近くを見るとオーランドもミリーも誰も居ない。いて欲しかったような、居なくて良かったようなそんな気がする。
(と言うか!兄妹なのになんてはしたない夢を!!)
しかし、夢と言うには、額のキスの感覚も、優しく抱きしめられた硬く広い胸板も、腕の温もりも、オーランドが好む爽やかな香りも、自分を熱ぽく見つめる視線も全てが本物だと感じた。
「夢じゃなかったら良いのに……」
ふいにぽつりとそんな言葉が零れアリーヤはまた顔が熱くなり心臓が大きく鳴り焦る。
「……?声が……??」
いつの間に戻ったのか。きっとあまりの夢の衝撃に驚いて声が出たのだろう。うんうんとアリーヤはそれ以上深く考えない事にする。
「お嬢様!」
ふとミリーではない別の使用人の声がした。振り向くと涙を流している。いつもと同じように眠ってそんなに経ってないと思っていたがどうやら3日も寝ていたらしい。
「旦那様に奥様、ああ、坊っちゃまにもご報告せねば!」使用人は慌てたように声を振るわせ部屋を出ていく。
「お兄様はまだ呼ばなくて良いのだけど……」
アリーヤは顔を赤くし布団に顔を埋めた。




