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59 オーランドサイド


★オーランドサイド


 

「アリーヤ……」  


オーランドはどんどんと生気が無くなっていく彼女に焦る。いつもならそろそろ悪夢から目を覚まして良いのにその気配すらない。


(もしや、死ぬ事をアリーヤが望んでいる?) 


「夢ごときで」と思わない事も無いが、それを増長させる何かが、──例えば、そうあの時の呪詛のような──そしてそれをするだけの力がこの歪んだ魔力にあるのなら?抵抗を見せない今のアリーヤでは簡単に 


「……死ぬ」


暗殺未遂の時のぐったりとしたアリーヤがちらつく。二度とあんな事をさせないと守ってきたつもりなのに。つもりは、つもりでしか無かった――


いや。待て。確かに自分は王太子の婚約者になってから更に狙われるアリーヤを人知れず守ってきた。けれど3歳のアリーヤは?今でこそ年下の令嬢はいるが、当時は王太子と年齢も家格も釣り合うのがアリーヤしかいなかった。


確実に王太子の婚約者になるだろうアリーヤを暗殺し、公爵家の力を削ぎ落としたいと言う気持ちがあったと言われればそれまでだが……


『アリーヤもお前のように念話が使えるのかもな』


アルバートの声が思い出される。アルバートは使えるの「かもな」と言っただけで断言していない。もし、あの時の己の推測が全て間違っていたら?


あの日、アリーヤの声が聞こえたと同時に自分の魔力が増幅した。誰とでも同調するのかは不明だがアリーヤが魔力増幅器だから狙われた?いいや、違う。魔力を増幅させる人間なら誘拐して利用するはず。


なら何故暗殺しようとした?アリーヤにはもっと深い秘密があるのではないだろうか。

 

それよりも、なぜ、あの時アルバートは建国物語、正確には「(まこと)の盟約」の話をした?単に公爵家の直系のアリーヤが暗殺されそうになったからだと納得していたが、なぜあの「タイミング」だった?アリーヤは


(まさか「(まこと)の盟約」そのものに関わっている?)


そして、自分に話したという事は……確実な事など一切ない。ただの憶測だ。けれど、公爵夫妻が何か理由があって自分を養子に迎えていたのは分かっていた。


(化け物の俺も建国物語(それ)に関わっているのか……?) 


そしてそれを黒幕は怯えている。悪夢なんて遠回しな方法を選んだのは、自分がいる事で物理的にはアリーヤを殺せないから?


アリーヤが王宮の役人達から仕事を押し付けられていたのも、単なる嫌がらせではなく精神的疲労を蓄積させ更に悪夢にかかりやすくしたかったから?


王宮にも蔓延る緑の宝石は単なる媒体なのか?だとしたら、ミリーが持っているだけで十分だ。いっそミリーだけならプレゼントにペンダントを貰ったところで自分も何も反応などしなかった。なぜ王宮、王族までが持っている?


いいや、そんなのはどうでも良い。アリーヤがアリーヤだから。優しいアリーヤが幸せに生きていける世界を護る。それが自分の使命。


「父上、母上、約束を破る事をお許しください──」


オーランドは歪んだ魔力に「強く、強く」干渉していく。


 

 

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