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58 オーランドサイド(過去)


★オーランドサイド(過去)

 


「「オーランド!」」

  

それから少し経った頃、アルバートとオリヴィエが屋敷に帰ってくるなり、オーランドの部屋にやってくる。使用人がベッドに運んでくれたのだろう。起き上がろうとすると手で制される。

 

「……公爵夫妻、申し訳ありません。犯人を死なせてしまいました。お二人の御子を、アリーヤを危険な目に遭わせてしまいました」


オーランドが苦しそうに謝罪すると


「そんな悲しい事を言うな。お前だって私達の息子だ。アリーヤを守ってくれてありがとう」

「そうよ、オーリー。いつも通り、父上母上と呼んで。貴方が無事でよかったわ」  


二人はオーランドが無事だった事を喜び、アリーヤを守った事に感謝しオーランドを抱きしめた。化け物じみた自分の安否を気にしてくれる二人にオーランドは静かに泣いた。

  

その後、アルバートは使用人を下げ、自分達だけになると建国神話の続きを話した。おとぎ話の先を真剣に話すその光景は異様に思うと同時にそれが事実だと理解した。


「父上、アリーヤの声が頭の中で聞こえました」


アリーヤの声が聞こえた時、自分の魔力が突然、熱く、甘く、全身を満たすように増幅した。まるで、アリーヤを守りたいと焦る自分の気持ちが、そのまま形になったかのようだった。氷の魔法が制御できなかったのも、あの声が頭に響いた後だ。あの声は幻聴だったのだろうか?


「……そうか。アリーヤもお前のように念話が使えるのかもな。」


アルバートはオーランドの頭を撫でながらそう答える。確かに念話は自分だけの特別な魔法じゃない。危機的状況に陥り発動したのかもしれないとオーランドは頷く。


それから「知識と魔法を使うな」と厳命した。それは勿論、自分の力が理の外にも作用する異常性だろう。今回は良くも悪くも実行犯は死に、呪詛自体を無かった事にした。故に術師にも呪詛をかける前に暗殺を阻止され死んだと思わせられたかも知れない。


ただ、今はこの程度でも大人になれば、全てを世界を改変できてしまう力を持つかも知れない。その時、自分はアリーヤも、アリーヤの生きる世界も壊すかもしれない。きっとアルバートとオリヴィエもそれを恐れているのだろう。


オーランドは強大な力に頼らず、どんなに弱い魔法でも誰よりも極め精密に、上級魔法にも立ち向かえるまで扱えるようになろうと決める。そして、この先もアリーヤとアリーヤが生きる世界は自分が護っていこうと強く誓った。

 

 

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