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56 オーランドサイド


★オーランドサイド


 

前回と同じようにティターニアにアレンを迎えに行き、アレンに魔法をかけたままリュクソン邸の中へと入った瞬間、自分の魔力が波打った。


「嘘だろ……!?」

 

誰にも触れられないようにミリーから取り上げた緑のペンダントは、毎日持ち歩いている。スボンのポケットに思わず手を突っ込み、硬い感触の物を取り出すとネックレスはここにある。


「なら……なぜ?」


考えている暇は無い。しかし、ここでまた焦っては自分がアリーヤの悪夢を見ると直ぐに感じ取る事が気付かれる。オーランドは一瞬、背後にいる透明なアレンに向き


「俺の部屋に居てくれ。決して姿を見せるな。」


と小さく囁き、自分の部屋にアレンを押し込む。そして深呼吸し努めて冷静にアリーヤの部屋へと向かう。     


ノックをするも答えを待たずアリーヤの部屋に入ると、オーランドには濃いピンクの歪んだ魔力が部屋中に充満している。


(……色が違う?) 


ミリーは焦ったようにアリーヤへと声を掛けている。


「近づくな!」

 

急いで部屋中に防音魔法をかけ、叫ぶ。アリーヤの部屋に魔力を張り巡らせ空気を清浄にしていく。ピンクの歪んだ魔力の中心にはミリーが居るように見える。

 

(………まさか!伯爵はこの短期間でべつの媒介を用意したというのか……!?)


いつもよりずっと濃い、ピンクの歪んだ魔力がアリーヤを包んでいる。部屋は落ち着いてきてはいるものの、アリーヤへの侵入がいつもより早い。なんとか止めようとアリーヤに魔法をかける。が、


(冷たい……)


アリーヤの顔色は白を通り越し、だんだんと土気色になっている。死に向かっている証拠だ。


「……何をした?」

 

想像よりもずっと低い声がミリーに向くが当然だ。彼女は、いや、コイツは……それだけの事をしている。俺の視線が怖いのかミリーはガタガタと顔を青くして震えているが、顔色が青色で終わらせてやっている自分に感謝して欲しい。アリーヤは死に向かって顔色を青くもできないのだ。


「何をしたと聞いている!お前は今、何を持っている!?」 

「わ、私は、何も……ただ……」


身体を震わせ、部屋の隅に行くだけで何も答えないミリーが忌々しい。一秒だって無駄に出来ないのに、こうして時間を稼ぐつもりか。ならば今は用はない。


「なるほど……言いたくないと言う事か」


ミリーの足元にジュッと音を立て小さな炎の魔法で床を少しだけ焦げさせ線を作る。


「そこから一歩でも動けば消し炭にしてやる」


オーランドは再度ミリーを鋭く睨むと、アリーヤに侵入する魔力を何とか今出来うる限りの魔力で少しでも防ぐ。


「アリーヤ……」   

   

もう『二度』とこんな思いはしたくなかったのに……


 

 

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