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★ミリーサイド
結局、ペンダントを預けてしまった。使用人の自分がオーランドに頼まれて断る権利などないのだけれど。やはり好きな人から貰ったものを渡すのはあまり気持ちの良いものではない。
何より、オーランドはああは言っていたが、あの宝石を偽物だと思っている。ペンダントヘッドの宝石がレオナルドと同じくらいの石なのは分かる。しかし希少であったとしても、騎士なら買える可能性だってある。
(それなのに、オーランド様はマーチンの収入が低い様な事を言って……)
ミリーはアリーヤの部屋で夕方の空を見ながらため息をつく。アリーヤは今はゆっくり寝ているように思う。久々の安心して寝ている主人の顔にミリーは少しだけ安堵する。
けれど、オーランドの言うことも然り。確かにあの宝石は大きかった。王太子がつけるようなものを一体どこで手に入れたのか。偽物と言われた方が納得出来るのも事実。
たが、偽物なら偽物で良い。それでも自分を思って選んでくれたマーチンの気持ちは本物だから。自分にとっては紛れもなく本物だ。
(そう思うと、今すぐにでも返して頂きたいけど……)




