表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

47/94

46 オーランドサイド


★オーランドサイド

 


アリーヤが倒れてから3日が過ぎた。公爵夫妻に自分の力を解放したいと言った事は愚策だった。アレンとの話し合でアリーヤにはドーソン伯爵の監視が付いていると結論を出したのに。


ああ言う時こそ、いい加減なオーランドで居なければならなかった。力があるなど知られてはいけなかったのに。あの日取り乱した自分をどうか見られていない事を祈るしかない。オーランドは窓の外に広がる青い空を見て思う。 


ふと自分の魔力がまた揺れる。アリーヤがまた寝たのだろう。それを裏付けるようにドアをノックするミリーの声が聞こえる。


あの日からアリーヤが少しでも楽で居られるよう、アリーヤが眠るとミリーや、ミリーが別の事をしている時は他の使用人に知らせてもらう事にした。そしてアリーヤの部屋で自分が出来る最大限でアリーヤへの歪んだ魔力が少しでも侵入しないようにと魔法をかける。


本当はアリーヤが眠る時にずっと隣にいたい。そうすれば、悪夢を見る原因も探れるかもしれない。しかし声が出ないと聞いて部屋を訪れた時、彼女に拒絶されてしまった。


声が聞こえた訳ではなかった。ただ頭の中に「来ないで!」と強くアリーヤの言葉が響いたのだ。理由は分からない。けれどアリーヤが自分を拒絶するならどうする事もできない。


それ故にアリーヤが寝た後に、こうしてささやかな事するしか自分には出来ない。 


(だが、どうしてだ──)


アリーヤはいつもリリアーナと会った時に悪夢を見てたり倒れたりしていた。だからこそ、阿婆擦れが関係しているのだと思っていた。しかしここ3日、アリーヤは、阿婆擦れは勿論、童貞王太子にすら会っていない。


(なのに、ずっと悪夢を見たままだ……)  


昼夜問わず、執務室でしたように魔力の網をアリーヤの部屋だけでなく、この屋敷にも張り巡らせてはいるが、依然として自分の魔力の網にアリーヤに不審者は引っかからない。


それでもこの家に蔓延る淀みはだいぶ消えたのか、使用人達の動きも軽いので良しとしているが……


(それとも、眠ると悪夢を見る魔法があるのか?)


探せばあるだろう。自分が言いたいのは対象者の寝る時間が分からないのに、毎回ではなく「ほぼ毎回」眠ると悪夢を見る魔法があるのか、と言う事だ。


ここ3日、アリーヤは悪夢のせいでろくに寝れず、起きては寝て、寝ては起きてを繰り返す。故に悪夢を見る回数も多い。大抵アリーヤは眠ると同時に悪夢を見るが、寝て1、2時間後に悪夢が発症することもあれば、全く見ない時もある。


毎回眠ってすぐに悪夢を見ているなら確実に魔法と言い切れるが、まるでタイミングがバラバラだ。 

アリーヤが悪夢を見ると何故か自分の魔力が揺れる。だからこそ分かる事だ。


仮に、魔法があったとして、アリーヤの近くに魔術師がいるなら話は別だが、長期間に渡って離れた場所から魔法かけ続けるなど、自分と言わなくても上級魔術師並の魔力とスキルが必要だ。


眠ると悪夢を見るようにアリーヤが催眠術にかけられたことも考えたが、それなら今も少しずつアリーヤに侵入していく歪んだ魔力の説明がつかない。


(催眠術と魔法の複合?それとも呪い──?) 


いや、まて。それよりも……アリーヤが悪夢を見る時、殆どの確率でアリーヤのそばに居るのは……


オーランドは、はたと、アリーヤから一瞬だけその隣で心配そうに見つめる侍女に視線を移す。


(まさか……?)

 


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ