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27 アレンサイド

★アレンサイド



時間はまた少し遡る。

公爵家に一度戻ると言ったオーランドは、図書室だけ借してくれれば良いので自分は寝ていて構わないと伝えてくれたが、アレンはとある本に夢中でかじりついていた。ふと足音が聞こえ振り向けば


「起きていたのか。」  

「ああ、うん。少しね。おかえり。アリーヤ嬢は?」

「どうだろうな……」


オーランドが綺麗な眉を下げて苦しそうに口にする。仮面を被っていようが、素だろうが自信家なオーランドの言葉とは思えない。アリーヤが絡むとそうなのか、それとも自分にはまだ知らないオーランドがいるのだろうか。アレンは静かにオーランドを見つめる。


「ここ最近、アリーヤは悪夢に魘されている。」

「悪夢?」 


アレンがそう聞くとオーランドは以下のような事を説明してくれた。


彼女に話された訳でも無いし、確証も無いがオーランドは最近夜になると自分の魔力がさざ波のように揺れるらしい。そして目が覚め水を飲みに調理場に行くと、少しして彼女が顔を出す。


単なる偶然だと思っていたが、今日、オーランドがアリーヤをベッドに寝かせ、その後公爵夫妻に説明しに一階にいた時、急に彼の魔力が揺れたとか。彼女が倒れた時は何も感じなかったらしいが、それはここ2日感じたものと同じだったらしい。


オーランドが急いでアリーヤの寝室に行けば、彼女は息をするのも苦しそうな寝顔で必死にもがいるらしかった。オーランドが何度起きるように声を掛けても目覚めなかったという。


オーランドには彼女を何かが蝕んでいるのが分かった。どんな夢を見たのかはオーランドも知りたいが、アリーヤを思えば聞けるはずもなかった。


オーランドは苦虫を噛み潰したような顔で経緯を話す。そんな顔すら絵になるオーランドは美の女神の最高傑作なのかもしれないとアレンは思う。


「君なら何か出来るんじゃないか?」


聞いて直ぐにアレンは後悔した。出来るなら彼なら既にそうしている。オーランドが訳あって(その訳は知らないが)初級魔法しか使えないのは知っているが、つまりは今の彼では太刀打ちできないと言うことだ。


「なんとも言えない魔力……そうだな『歪んだ魔力』とでも言おう。それを寝ているアリーヤから感じた。ただ、相手も相当の手練なのか、あと一歩の所で尻尾を掴ませない」

「君が手こずるなんてね」

「そうだな。正直自分の存在価値を見失いそうになる」


「そんなに!?」とアレンは思わず声を上げた。



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